ひよっこ (第115回・8/14) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第20週『さて、問題です』『第115回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
みね子(有村架純)の乙女寮時代の仲間・豊子(藤野涼子)の呼びかけで、乙女たちがあかね荘に集まることに。愛子(和久井映見)や時子(佐久間由衣)とごちそうを作り、「騒がしくなるので」と、富(白石加代子)や早苗(シシド・カフカ)におすそ分けをするみね子たち。そこへ幸子(小島藤子)と澄子(松本穂香)、豊子が訪ねてくる。妙に明るい豊子を澄子が不思議がるが、豊子は「そのうちわかる」と教えてくれない。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
ついに、6人目の演出家の登場だ
前回の感想で、“来週からは、これまで山済みされた違和感と都合の良さを忘れて、笑いあり涙ありの、いい人たちが演じる寸劇を楽しもう” と書いたから、思い切って演出家も交代してくれたら良いのにと思っていたら、今週の演出家は本作初担当の松木健祐氏。過去作は『全力離婚相談』がヒットしたが私は未見。
とにかく、これまでのモヤモヤを払拭するには、良くも悪くも演出家が変わるのは手っ取り早い。さあ、お手並み拝見とするか…と観始めた。もう、主題歌明けからこれまでと全然違う。主題歌明けから間髪入れずにBGMと語りがスタート。あかね荘の全景カットの真正面のど真ん中に「1967/昭和42年6月11日」のテロップ。
演出技法としては至って普通、平凡、初歩的過ぎる…
なんか、この演出家さんは先を急いでいるのかい?と伺いたい位。2カット目の向島電機時代の写真のアップも真正面から。3カット目の共同炊事場の引きのカットも意図的に緑色ののれん?を左右対象に入れ込んで、奥の3人を真正面のど真ん中。
3人のカット割りもダイアローグカット(台詞を話している人を撮影・編集)する超オーソドックスなカット割り。早苗(シシド・カフカ)が登場してからも、喋る人はバストショット(胸より上:以下「BS」と略)の似たようなカットの切り返しの連続。何か、昭和の頃のテレビドラマみたいな短調なカット割り。
お蔭で見飽きた感のある漫画家コンビの登場ギャグが強調されなかったのは、何よりの怪我の功名だ。でもこれが、劇中の時代を意識した演出・編集なのか分からない。しかし、明らかにこれまでの6名の演出とは違う系統。演出技法としては至って普通、平凡、初歩的な今週の演出が、脚本家の意図に沿うかどうか、お手並み拝見だし、楽しみだ。
まるで柱が主人公みたいな同窓会
ホント、カット割りも編集も平凡だね。乙女寮時代の仲間・豊子(藤野涼子)たちが広場にやって来るシーンでも、不自然な位に3人揃って横一列だし、その際も邪魔な位に3人の前に水飲み場?と柱が入れ込まれて、普通なら奥行き感を出せるのに、画面に入れる位置も分量も悪いから、3人の邪魔にしかなってない。
3人の会話も、3人とも例のBSで切り返すだけ。まるで、立ってる3人を4台のカメラをスイッチングして撮影しているだけの印象。これじゃあ、3人の心情が見えてこない。その上、愛子(和久井映見)が加わって、久し振りに6人集合のカットで、画面の手前ど真ん中に白い柱が鎮座して…。まるで柱が主人公みたい…
幸子が富さんに手土産を渡すシーンも違和感が…
幸子(小島藤子)が富(白石加代子)に手土産を渡すカットもおかしかった。まず、富さんと愛子の2ショット(これもBS系ね)に、上手(画面右側)から後ろ姿の幸子が手土産を富さんに渡す…かと思いきや、渡すカットは別カットの引きになって、下手に横顔と肩だけ映り込んでる富さんに乙女寮の5人がダンゴ状態で渡す。
これさ、せめて富さんは下手に入れ込んであげて…そう、もう少しカメラを引けば全員映るんじゃないの?そうすれば、奥のテレビの上のアンテナと日本人形が、昭和風情を表すいいアイテムになって、このシーンの昭和感を醸し出せたろうに。みね子が映ると平成になるから、こう言う部分を注して欲しいんだよね。
写真、張り紙、アップルパイ、何れも静止画みたい
スタートして、まだ5分だか正直疲れるね。おどける富さんのすぐ後ろが壁だから、画面そのものが狭苦しくて、大家さんが部屋の隅に追いやられているように映しておいて、アップルパイのアップは箱が開いて開放感って?逆じゃないのかな。冒頭の乙女たちの写真、廊下の張り紙、アップルパイ、何れも静止画みたいだもん。
誰も座ったいない後ろ向きの椅子が気になって…
そして、時間経過の表現無しに、唐突に広場で食事会で乾杯。座っていない画面手前の薄汚れた椅子が気になって気になって…。食事会の会話も、内容はともかく映像的には “動く紙芝居” 以下って感じ。澄子(松本穂香)が席を立って例の柱を邪魔にして立ち位置に行くまで1カットの必要ってあったのかな?座る位置の工夫でクリア出来たような…
さおりの登場場面に、さおりの説明がなかったのが新鮮
さて、8分過ぎまで演出への感想だけだったから、少し脚本にも触れてみよう。それにしても、唐突に登場したね、さおり=本名:米子(伊藤沙莉)が。それも回想シーンで。ここで感じたのは、第112回でのこの↓実(沢村一樹)と第113回でのこの↓きよ(柴田理恵)の台詞に込めた脚本の岡田恵和氏の思いだ。
実「こごで取り戻してえ。もういっぺんやり直してえ」
きよ「気ぃ遣わないで、みんな笑っちまえばいいんだよ」
さおりと時子の関係の説明を、敢えて省略したことで、今一つ意味不明だった安部米店でのくだりに、決着をつけたいと考えているのではないだろうか?これまでなら三男(泉澤祐希)とさゆりの回想を更に加えて、時間繋ぎをしていたような場面なのに、しなってことは。
豊子「そのうぢ」を2段階にして、何とか15分間持たせた
また、澄子が、“腹が立つと腹が減る” のくだりも回想シーンは無く、視聴者の心の中の記憶に頼った脚本になってる。そう考えてみると、実は今回の愛子を含めた乙女寮シスターズの同窓会なのに、向島電機も乙女寮も冒頭のスナップ写真しか説明がない。
以前のすずふり亭での同窓会よりも、ここの人物設定の紹介が省かれて、現状報告に徹している。お蔭で、正直、この同窓会の15分、ここまで時間を割いて描くような実のある内容ではなかった。しかし、8分過ぎに一度豊子が発したこの台詞↓が、終盤の14分過ぎに効いてくる。
豊子「そのうぢ分かります」
でも、サブタイトルが『さて、問題です』だし、予告編でテレビのクイズ番組に出演しているようなカットがあったから、賞金を貰ったのは、ほぼ間違いないだろう。しかし、この↓豊子の台詞には、澄子へのメッセージも含まれている。
豊子「そこで分かります、すべてが。
私の実家の問題が、なぜ解決したのか?
そして澄子にどんないいこどが起こるのか?」
イベント連打の脚本を「騒動至上主義」に見せない演出を…
どうやら、2日跨ぎ、前後編で『さて、問題です』を描くようだが、第16回で「奥茨城聖火リレー大会」のテレビ放送をみんなで見て盛り上がった、あのテレビ鑑賞会を超える内容になるのか?どうやら脚本は、かなりイベント性に力を注いでいるようだが、演出が如何せん平凡でつまらない。
どうか、演出がドラマを「騒動至上主義」に見えないように、上手に映像化するような週になって欲しい。そう願うしかないと思った、月曜日だった。
あとがき
脚本は若干助長気味、演出は平凡で退屈でしたが、これまでの4か月半とは違ったエピソードの構成や演出が見られたのは良かったです。また、無駄な回想シーンが無かったのは、これからが再出発と言う本作にとっては良かったと思います。
とにかく、笑いあり涙あり、コミカルありシリアスありの群像劇で良いです。どちらか一方に極端に振ると、漫画家コンビや失踪事件みたいになりますから。
最後に。前回の全編ほぼ愚痴大会の感想に、94回ものWeb拍手とたくさんのコメントを頂き、ありがとうございます。今回のヒロインみね子の存在感の薄さには驚きましたが、これまで山済みされた違和感と都合の良さを忘れて、笑いあり涙ありの、いい人たちが演じる寸劇の始まりは感じ取りました。良き方向に進むことを期待します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
●「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
●ひよっこ 総集編(前編) (2017/7/8) 感想
●奇跡のコラボ 「ひよっこ」の三男が「コード・ブルー2」に出演していた (2017/07/12)
●「ひよっこ」のオープニング映像が、後半戦から一部変わってます (2017/07/20)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1 2 3 4 5 6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7 8 9 10 11 12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13 14 15 16 17 18
第4週『旅立ちのとき』
19 20 21 22 23 24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51 52 53 54
第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
67 68 69 70 71 72
第13週『ビートルズがやって来る』
73 74 75 76 77 78
第14週『俺は笑って生きてっとう!』
79 80 81 82 83 84
第15週『恋、しちゃったのよ』
85 86 87 88 89 90
第16週アイアイ傘とノック』
91 92 93 94 95 96
第17週『運命のひと』
97 98 99 100 101 102
第18週『大丈夫、きっと』
103 104 105 106 107 108
第19週『ただいま。おかえり。』
109 110 111 112 113 114
第20週『さて、問題です』
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