ひよっこ (第112回・8/10) 感想

連続テレビ小説「ひよっこ」

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』公式
第19週『ただいま。おかえり。』『第112回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


谷田部家に帰ってきたみね子(有村架純)は、美代子(木村佳乃)に実(沢村一樹)の東京での様子を伝え、安心させる。実のために、好きだった料理を用意する美代子。そして久しぶりに家族全員で食卓を囲む。茂(古谷一行)は明日の田植えのことを「百姓にとって大事な日」だと実に語りかける。翌朝、みね子たちはおにぎりをこしらえ、支度を終えた実とみんなで田んぼへ。いよいよ谷田部家の田植えが始まる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

実の "2年半" の失踪に、ベテランも若手も演出に苦慮してる

中身の精査を一切せずに(要は、脚本を無視して)今回のアバンタイトルを見ただけで、4月の名作「奥茨城編」を創出した黒崎博氏の演出が光っているのが分かる。実は、今朝方に世津子(菅野美穂)があかね荘のみね子(有村架純)を訪ねて来た第102回から前回の第111回までの録画を見直した。

演出家が黒崎博氏→『ビートルズがやって来る』でやらかした田中正氏→黒崎氏と言う演出家の変化。10回分を見て感じたのは、実(沢村一樹)が「二年半」の間を空けて再登場してから、ベテランも若手も演出に苦慮しているのが明確に見えた。今回は、まさに “ディレクター目線” で演出家に迫ってみる。

奥茨城の農家・谷田部家のファーストカットこうでなくっちゃ

主題歌明けのファーストカットは、昭和では当然で、実は東京の実家では80歳過ぎの私の母親が今でも毎日使ってるガス炊飯器から湯気が立ち上り、美味しそうなお米の香りがテレビの外まで伝わってくるような印象的なカット。ファーストカットはこうでなくっちゃ。

炊飯器に日が当たっていないことで、このカットがアバンに続く夜の時間帯であることも表現。今朝、読者のTERRYさんからの拍手コメントにも書いたが、“映像って本来うんちくで語るものでなく、心の目で見て楽しむもの” だから、こう言う見て分からせる演出が絶対に必要。

カメラを居間側からどーんと引いた広い台所のカットも、上手(画面右手)に1/4ほど照明の当たらない障子をなめる(画面に入れる)ことで、奥行き感と奥にいるみね子と美代子(木村佳乃)が強調される。

ヒロインの前をお尻を向けて歩くちよ子の演出家の意図は?

更に言えば、3人で一番目立つ白の割烹着を着るちよ子(宮原和)がカメラの前を大胆に左右に横切ることで、“みね子と美代子の言い訳やら形式的な面白味の無い会話” だから、敢えて何も隠さず真正面から視聴者に見せずに、ちよ子が邪魔をすることで、“嘘くささを取り除こうと言う演出家の意図” が見えた。

だから、ちよ子が最初は座布団を持って上手から下手へ、次はカメラにお尻を向けて下手で座布団を並べる。これ、以前も何度かあったし、当blogでも書いたが、ダメな脚本への演出家の困惑から生まれた僅かな抵抗と修正でなはないかと。

だって、ヒロインが(一応)大切な話をしているのに、その手前を視聴者にケツを向けて横切るなんて意図しなければやれないこと。その意味を私なりに汲み取れば、そう感じる。もちろん、私が黒崎氏の演出プランを想像したらの話だから、事実がそうかどうかは別の話なのは分かって頂きたい。

また、そう言う意図だけではいけないから、座布団を整えるちよ子だけのカットをしっかりと入れて、大人になったちよ子が美代子ら大人たちの会話に聞き耳を立てていると言う、ちよ子の成長を見せ、朝ドラのお約束をちゃっかりと施すことで、演出家の意図を上手に隠していると考える…

時報は鳴ったのに,柱時計のアップ無しの演出家の意図は?

夕食の支度が整って、時計の時報が6つ鳴った。柱時計のアップを加えるかどうか、演出家なら悩ましい所だが、黒崎氏は時報だけを選択した。そのことで、アバンのあとからの時間が途切れていない印象を視聴者に与えることに成功した。

本当は、実(沢村一樹)の「これ、ぴったしだ…ありがとう」の浴衣のシーンと、実の「あ~惜しい」で始まる夕食のシーンの間には幾らかの時間経過が存在する。「浴衣」と「めんこ」は連続氏はいない。だから、本来は時計のアップと時報を挿入することで、明確に時間経過を表現するのが常套句だが黒崎氏はしない。

おかげで、浴衣のサイズに驚き、次にみね子の「お父さん、こっちね」に驚く実の困惑が際立つ。何故か?時間経過を意図的に見せたら、何分めんこをやってたの?とか、夕食の支度に何10分かかったの?とか、要らぬ詮索を視聴者にさせてしまうから。これも後述する脚本家への演出家の困惑から生まれた僅かな抵抗と修正だろう…

この実の台詞こそ、脚本家と演出家の今の心の叫びでは?

そろそろ、ネタ証しをしよう。それは、前回で聞き、今回のアバンでも採用されたこの↓実の台詞に深~い意味が込められていると言う私なりの解釈だ。

実「こごで取り戻してえ。もういっぺんやり直してえ」

もちろん、字面の表面的な意味は、読んで字の如し。実が人生を再構築したいと言う意味だ。しかし、脚本家と演出家の心の叫びにも聞こえると言うのは、意地悪過ぎるだろうか。「残りの2か月で何とか本来の『ひよっこ』の面白さを取り戻してえ」って。

夕食のシーンに、俳優や演出家の戸惑いが見えた

これを書くと、「私はこう捉えました」と言われそうだが、世津子との「不適切な生活」では標準語で話していたのに、奥茨城に来たら奥茨城弁になってる。違和感を書くのは面倒だから、好意的に脳内補完したからご心配なく。

さて、恐らく本作を好意的に見て楽しんでいる多くの視聴者が感動の涙々で見たであろう、あの夕食のシーン。やはり、私は素直に感動することは出来なかった。実が寝付くまでの約4分半の家族団らんが、とても助長的に感じてしまった…

その理由は、標準語で「覚えていない」を連呼(していたように感じた)実=俳優・沢村一樹さんの存在に対して、あの夕食のシーンや「実って、いい名前ですね」のシーンでも、俳優や演出家の戸惑いが見えたから。

"為すすべなく理不尽で恐ろしく悲しい事" が置き去り…

「頂きます」の美代子の涙と戸惑いも含めて、目の前にいる男が、父親や夫とは中身が別人の “谷田部実のそっくりさん” だから、美代子らが戸惑いのも、谷田部実との共通点を見つけて喜ぶのも自然だ。実の “人生のやり直し” と田植えが “新しい年の始まりみたいな日” を掛けているのも悪くはない。いや、物語として正しい。

ただ、実の記憶喪失の原因が、窃盗犯にお金を盗まれた時の暴行による外傷性でなく、世津子からの手紙にあった「どうしようもなく理不尽でおそろしく悲しいことが起こってしまった時に、それについて考えたくない強い気持ちから来た」心因性のショックからの記憶障害で…

その根本的な原因が “どうしようもなく理不尽でおそろしく悲しいこと=お金を盗まれたこと” だとすれば、演技は格段に難しくなるのは当然。

家業の農業収入とみね子の仕送りで生活できてるから…

だって、現時点での谷田部家は家業の農業収入とみね子からの仕送りで生活できているから。これが実本人だろうと “谷田部実のそっくりさん” だろうと…

一緒に働いてくれたら経済的にも更に余裕が出るし、上手く記憶が戻れば一石二鳥。そんな状況で、演技をするのだから迷うし難しいのは当然。更にそれを6人で合わせるのは至難の業に違いない。

だから、流石の超ベテラン俳優の古谷一行さんですら台詞を言っていない場面では飯を食うしかないし、息子から名付けを褒められた時の涙が速すぎるのも、演出と俳優の戸惑いの1つだと感じてしまった。

実が画面にいなくなると、あの名作「奥茨城編」が蘇る

実が同一画面にいなくなると、映像も会話もあの名作「奥茨城編」が蘇る。みね子が2段階で優しく襖を閉める動作に始まって、茂が酒猪口を持つ仕草も、みね子が湯呑みをさりげなく持つのも、美代子が実の洋服を畳むのも…

実がいなければ、(私にとっての)無意味で良い効果の無かった長期間のヒロインの実父の失踪によって生じている物語の歪みや不自然さを意識せず、単純に「みね子に面倒なことを頼んだ」と言う気持ちで芝居が出来るから、本当にいい感じのシーンに仕上がっていた。約3分間の回想シーンの賛否は言わずもがなだ。

雨降りの田植え初日の朝に、一筋の光明が差したかも?

夜が明け、緑色の山に白い霧が掛かった朝。ぴょんと飛ぶカエルの印象的なインサートカットを撮影するのは、さぞ大変だったろう。カエルに続く、曲がりくねった道と小高い丘の上に建つ屋根が雨で光る谷田部家の美しいロングショットが、日本人の誰もが描くような日本の田舎の原風景。屋外ロケとスタジオセットの馴染みもいい感じ。

雨降る中、線引機で作業する茂をロングショット→フルショットと繋いだのも丁寧だし、みね子たちが茂に合流する直前の超ロングショットの土地の高低差と奥行き感もお見事。古谷一行さんが大雨の中、どれだけ線引きの芝居をしたのか心配になる位だ。とにかく、田植えもこの先の物語も、“雨降って地固まる” と行ってもらいたい…

あとがき

深夜ドラマ『わにとかげぎす』が昨夜の放送がお休みだったので、冒頭に書いた通り、実が戻って来てから今回の放送を見ました。雨合羽が新品に見えたとか、大雨の中の身内だけの農作業であそこまでキメキメのメイクはどうかなとか、思うところはありますが、概ね『奥茨城編 第二章』の幕開けとしては良かったです。

ホームドラマとしては、ここ最近の朝ドラの中では良く出来ていますし、全体の雰囲気も良いのです。でも素直に本作を楽しむには、あの無意味で良い効果の無かった長期間のヒロインの実父の失踪によって生じている物語の歪みや不自然さを、私自身が好意的な脳内補完しなくてはならないのは頂けません。余程の大人の事情で改変したとか…

最後に。先週土曜日の感想に88回、月曜日に95回、火曜日に56回、そして前回に93回ものWeb拍手とたくさんのコメントを頂き、ありがとうございます。前回までとは打って変わり、今後が今回程度なら、自分で都合の良い脳内補完をしながらなら「新章」を楽しめるかも知れません…

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【これまでの感想】
[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
ひよっこ 総集編(前編) (2017/7/8) 感想
奇跡のコラボ 「ひよっこ」の三男が「コード・ブルー2」に出演していた (2017/07/12)
「ひよっこ」のオープニング映像が、後半戦から一部変わってます (2017/07/20)

第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1 2 3 4 5 6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7 8 9 10 11 12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13 14 15 16 17 18
第4週『旅立ちのとき』
19 20 21 22 23 24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51 52 53 54
第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
67 68 69 70 71 72
第13週『ビートルズがやって来る』
73 74 75 76 77 78
第14週『俺は笑って生きてっとう!』
79 80 81 82 83 84
第15週『恋、しちゃったのよ』
85 86 87 88 89 90
第16週アイアイ傘とノック』
91 92 93 94 95 96
第17週『運命のひと』
97 98 99 100 101 102
第18週『大丈夫、きっと』
103 104 105 106 107 108
第19週『ただいま。おかえり。』
109 110 111

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