ひよっこ (第82回・7/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第14週『俺は笑って生きてっとう!』『第82回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ビートルズ公演の初日を迎える。夜通しの赤飯作りですっかり寝不足のみね子(有村架純)らすずふり亭の人々。眠気と戦いながら仕事をしている元治(やついいちろう)は、毎日ハヤシライスを食べに来ては大騒ぎする宗男(峯田和伸)が腹立たしくて仕方ない。そんなとき、調理場にいた省吾(佐々木蔵之介)が何かに驚いて大声を上げる。そこにいたのは、宗男の妻・滋子(山崎静代)だった。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
前回の終わりを、チケットのやりとりにしたら良かった
何か、何かあぁと主題歌明けから見ていたのだが、みんなであくびをするのは良しとして、前回で夜明け(みたいな中途半端な照明)で弁当作りが終わった描写が主題歌明けの2分過ぎで6/30。その後の13分間で、大きなしゃもじで歌って、チケットをあげるのあげないのがあって、奥茨城で丈治がいるまで話が進んだのね。
で、今回の冒頭があくびの連続。それも、ご丁寧に6/30のテロップ入り。当時の東京の日の出が04:27で、すずふり亭の昼の部の開店時間が11:00だから、2日間で僅か7時間ほどしか経っていない事になる。話が進んでいないことを嘆いているのでなく、チケットのやり取りで前回を終えたら良かったってこと。
そして、今回のアバンで歌って、主題歌明けにあくびが最良の構成でないのかってこと。丈治のダジャレなんていつでもいいでしょ?残念ながら、脚本家の「1話入魂」に陰りが射したとも言えるし、この位は演出家が編集で巧い事いじって修正するのが普通で無いのかなぁ。
なぜ、宗男に閑古鳥の無く営業時間に食事をさせたのか?
更に不思議なのは、なぜ宗男(峯田和伸)を昼の部の営業時間内に食事をさせたのか?その前に、滋子(南海キャンディーズの山崎静代)が宗男の妻であることをみね子(有村架純)が説明しないまま、話が進んだのも気になるし、どうして宗男がすずふり亭にいるのを知ったのかも気になるし。
鈴子「今、お客さんいないから、良いのよ。好きにして」
そう言う↑問題ではない。宗男は型破りでロックンロールな性格なのだから、休憩時間中に自分勝手に乗り込んで来て、みね子たちの休憩の邪魔をする方が面白いのでは?いつもは営業時間を描かずに、休憩時間ばかり描くのに、肝心な時にそれをやらない。本当に「1話入魂」か?と疑いたくなる設定だ。
休憩時間と思えば、全ての違和感や不自然さが消える…
滋子が宗男にTシャツを出した辺りから、休憩時間として見てみると、これが営業時間であるがためにとても勿体ない事をしたことが良く分かる。まず、滋子が「休憩時間にすみません」と言って休憩時間に飛び込んで来れば、繁子が急いで来たことも、慌てん坊の性格も描けたはず。スペル間違いがもっと楽しくなったはずだ。
また、全従業員がホールに出て来た違和感も無くなる。その上、なぜビートルズが来日しただけで、すずふり亭で閑古鳥が鳴く不自然さも無くなる。
すずふり亭に "愛がある" ことも、ちゃんと描けたのに…
そして、すずふり亭のお約束 “地方の人には優しく” のパターンで、夫を追い掛けて来た滋子に、省吾(佐々木蔵之介)が「うちのハヤシライス食べて行って下さい」と言えば、省吾が「戦争」に妙に過剰反応するおじさんキャラも払拭出来るし、元治(やついいちろう)のあくびも不満もすごく普通に受け取れる。
当然、すずふり亭の人の優しさも表現できる上に、みね子が滋子に給仕すれば、みね子が東京の人にまた1歩近づいたと言う部分まで表現できる。要は、宗男が休憩時間に食事をするだけで、今回で漂った違和感や不自然さがすべて無くなる訳だ。それに、この方が遥かに “愛がある” シーンになったと想像できるのだが…
いつも細かい部分まで描写する岡田恵和氏らしからぬシーン構成だ。今回は異例中の異例と言うことで、私は乗り切っておく…
"みね子たちにとってのビートルズ" が描けてない!
では、岡田氏がビートルズを描きたい余りに筆が鈍ったか?そう捉えると、この数回で描かれているビートルズの本作に於けるポジション、位置付けがちょっとおかしな事に気付く。それは、今回の序盤でヒロインのみね子が言ったこの↓台詞に、重大な意味を感じるからだ。しかし、演出上は視聴者が聞き流してしまう扱い。
みね子「あど、お赤飯(せぎはん)の匂いとか、
思い出すかもしんねえですね」
そう、宗男と滋子はともかく、今週で岡田氏が最も描きたかったのは、「赤坂編」の登場人物たち全員にとっては、「ビートルズ=お赤飯の匂い」では無かったか?ってこと。そう考えると、先週のラストで柏木堂が「大変だ!」で終わり、月曜日からお赤飯弁当作りの話の中に、歌あり住民らの協力あり、戦争の話もあった。
みね子の "思い出" に見せなかった演出の罪は大きいぞ
しかし、この4回の放送はそうなっていない。正しくは、演出家による演出が、 “みね子たちにとってのビートルズはお赤飯の匂い” だと言うように見せなかったと言うことだ。
だから、今回での演出の正解は、戦争も知らない、ビートルズにも興味が無い主人公でヒロインのみね子にとって、「ビートルズ=お赤飯の匂い」 が昭和41年6月の大切な思い出になったことをもっともっと描くべきだった。こう言う時こそ、「お父さん…」のモノローグで「思い出が出来ました」でしょうに。
それが、ホームドラマだし、朝ドラだし、主人公の人生を描くってことだから。それを完全に読み違えた今週の演出担当・川上剛氏の罪は大きいぞ。
あとがき
日本武道館の外に漏れ聞こえて来たMCの声、パトリック・ハーランさんだったんですね。なかなか、洒落たキャスティングでした。終盤の宗男さんと滋子には愛が溢れていましたね。でも、何であそこに食事をしている家族をインサートしたんでしょ?本作で言う「愛が溢れてる」って、今回は意味が違うような。
今週は、ヒロインのみね子の存在が薄過ぎます。これも脚本上はそれなりに登場しているのに、演出が物語に上手く組み込んで描いていないからです。早く、次週になって演出家が交代してくれるのを待つばかりです。
最後に。前回の感想に、96回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。今回は、面白いけど不満もありって感じ。やはり、演出家の脚本を読む力が大切だと言うことが良く分かった15分間でした。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
連続テレビ小説「ひよっこ」 オリジナル・サウンドトラック
がらくた (初回生産限定盤A)
がらくた (初回生産限定盤B)
がらくた (初回生産限定盤C)
連続テレビ小説 ひよっこ Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 ひよっこ 上
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」1964年の食卓 (TJMOOK)
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」 若い広場 (NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)
有村架純主演 連続テレビ小説 ひよっこ 完全版 ブルーレイ全3巻セット(先着300名様にひよっこメモリアルブックプレゼント!)【NHKスクエア限定セット】
有村架純主演 連続テレビ小説 ひよっこ 完全版 DVD全3巻セット(先着300名様にひよっこメモリアルブックプレゼント!)【NHKスクエア限定セット】
昭和40年代ファン手帳 (中公新書ラクレ)
★本家の記事のURL →
http://director.blog.shinobi.jp/Entry/10110/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方は、
http://dmesen.seesaa.net/article/451556694.html でも受付けております。
【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
●「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1
2
3
4
5
6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7
8
9
10
11
12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13
14 15
16
17
18
第4週『旅立ちのとき』
19
20
21
22
23
24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51 52 53 54
第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
67 68 69 70 71 72
第13週『ビートルズがやって来る』
73 74 75 76 77 78
第14週『俺は笑って生きてっとう!』
79 80 81
- 関連記事