ひよっこ (第79回・7/3) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第14週『俺は笑って生きてっとう!』『第79回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ビートルズ来日の日。みね子(有村架純)が働く赤坂にはファンが押し寄せる。東京に滞在中の宗男(峯田和伸)はすずふり亭を訪れるが、元治(やついいちろう)はそのハイテンションぶりについていけない。一方、柏木(三宅裕司)は近所の人々に気前よくあんみつをふるまおうとするが、鈴子(宮本信子)が疑うと「ビートルズ公演の警備員のために、大量の弁当作りを安請け合いしてしまった」と白状する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
いよいよ「今日から後半戦」だ!
※今回の感想文も、長げぇよ(謝)
冒頭で「語り」が「今日から後半戦」と言うなんて珍しいが、確かに既に3か月が過ぎた。1か月区切りに「奥茨城編」「向島電機編」と進んで、3か月目からイレギュラーに2か月目突入の「赤坂編」だ。しかし、先週の宗男(峯田和伸)がビートルズ来日に合わせて上京してから、本作に笑いがやって来た。
N「ビートルズ上陸間近。
今週もみね子と一緒にシェケナベイベー!」
アバンタイトルの増田明美さんの「語り」もかなりノリノリのご様子。朝から手例日の前のお茶の間を明るく楽しくしてくれるのはありがたいことだし、それも朝ドラの大きな役割だが、本作は笑いの後にどーんと暗いのを持って来る傾向がある。まっ、その事は終わりの頃にまた書こう。
本作5人目で本作は初担当の演出家・川上剛氏が登板
主題歌明け、昭和41年6月27日、ビートルズ来日前夜から始まった第14週。ここ、難しいとは思うが、週の始めだから台風が近づいてるラジオの音声と東京タワーの情景カットで始めたかったね。先週の演出担当・田中正氏ならやってそうだが、今週の演出・川上剛氏はやらない派らしい。因みに、川上氏は本作初担当ね。
川上氏は『まれ』では第13週だけ担当、本作では「制作」にも名を連ねているから、将来の演出家候補のために1週間だけお試しってところだろうか。今週は、演出もどうなるか楽しみ&注目ポイントになるだろう。まず、いびきをかいてる宗男(峯田和伸)のアップから1カットで引いていくなんて面白味ないね。と言っておく。
脚本家の意図と演出家の方向性がずれてる
漫画を読みながら倒れちゃう時間経過の表現も中途半端だね。過労や心労で倒れたにしても、もう2カット位ないと、時間経過をさせた意味がない。だったら、1枚目を読み始めた時点で倒れた方が面白いし、宗男らしい。
啓輔「慣れとりますから」
祐二「いや、慣れたらあかんやろ」
この↑の啓輔(岡山天音)と祐二(浅香航大)の会話もスルーしていたが、ここのボケとツッコミをきちんと描くことで、その前の宗男に漫画とお菓子を出す場面が活きるし、その後の「お父さん…」との落差が楽しいのに。どうも、脚本家の意図と演出家の方向性がずれてる。週末までに修正されると良いのだが。
回想シーンの使い方も今一つ
久し振りに、元気な姿の実(沢村一樹)と実がいる頃の奥茨城の谷田部家の回想シーンが挿入された。あかね荘と谷田部家の宗男の顔の角度やアップのサイズが同じなら、カットチェンジで回想に切り替わっても楽しいが、角度もアップも照明の色具合も違うから、ここは編集でひと手間ワイプを入れるか、奥茨城の夜景だよね。
みね子(M)「あの頃が遠い昔に思えます」
冒頭で「今日から後半戦」と言ったのなら、この回想がどう言ういつのどう言う場面かの説明も欲しかった。脚本の「柱」通りに撮影して編集すれば良いってものじゃない。ここまでいいとこなしだぞ、頑張れ、演出の川上剛氏!
脚本は、明と暗のメリハリがあって良い感じだ
その分、脚本はいいね。脚本だけに注目すれば、漫画家志望のコンビの笑いのあとに、更に補強する奥茨城の回想シーンがあって、この↓宗男の寝ながら何かにうなされている宗男に続いて、明と暗のコントラストを付けてる。
宗男「(寝言)嫌だよ。死にたぐねえよ…
母ちゃん。助けでくれよ…。父ちゃん。兄ちゃん」
更に、いつもとあまりに違う宗男に驚き、何も出来ないみね子に、早苗(シシド・カフカ)が大人の女性として、きちんと指示を出す↓と言う流れも、あかね荘の住民たちの助け合いが描かれて、とてもいい。ただ、これは脚本がってこと。
早苗「手、握ってあげな」
演出、演技指導の観点から見ると、みね子は早苗に言われるのを待ってるだけ。「何で私が?」みたいな演技にOKが出てる。これがダメなの。
順番が逆の方が、エキストラが活きたのでは?
場面は、来日当日。なぜ、すずふり亭が「CLOSE」の看板を出した途端に、ファンが店先を数十人だけ走り抜けたのかも意味不明。ここは、営業中の店内で、キャーと言う歓声が聞こえて、鈴子(宮本信子)ドアを開けたら女子たちが…でしょ。順番が逆なのだ。折角のエキストラを無駄遣い。あー、もったいない。
みね子が自腹で全メニューを制覇する話はどうなった?
さて、先程「CLOSE」の看板を出したから、休憩時間だと思われるが、なぜ宗男は毎日(?)休憩時間に食べてるのだろう?お金は誰が?鈴子のおごり?その辺の描写が無くて、ハヤシライスのエピソードが突然始まった。こう言う部分も丁寧な映像的な補強をして欲しいんだよなあ。
宗 男「いや、兄貴がね。
『赤坂のすずふり亭のハヤシライスは
世界一だ世界一だ』って何度も言ってたからね。
ほら、稲刈りんとぎにな」
みね子「うん」
宗 男「あ~俺も思うわ。世界一だっぺよ、これは」
みね子「んだよねえ」
鈴 子「それはどうも」
宗 男「まっ、世界一っつっても俺も兄貴も、
こごでしか食ったこどないんだけどな、アハハ」
折角、谷田部家とすずふり亭の関係性を描く大切なエピソードだし、それを宗男が面白くしてくれているんだから。そう言えば、みね子が自腹で全メニューを制覇する話はどうしたんだろう???
この宗男の "間" の "撮り方" には違和感を覚えた
ハヤシライスを食べ終わった後の厨房でのカット割りも “変” の一言。宗男と元治、峯田和伸さんとやついいちろうさんのお芝居が上手いから、それなりに楽しいシーンに仕上がったが、元治の「指さすんじゃねえよ」」の直後の宗男の “間” の “撮り方” は明らかに違和感を覚えた。峯田和伸さんのアドリブについていけないか?
ビートルズの曲名が入る「語り」は楽しい
場面変わって、数日前の店の裏の広場。今回2度目の回想なのと、後出しジャンケンする必要があったかどうかは気になるが、大忙しの種明かしだ。まあ、「語り」にこれ↓を言わせたかったってことにしよう。15分間の放送で、2度ビートルズの曲名が入るって言うのは楽しい事だから。
N「600人分の赤飯づくりを、
ヘルプすることになったのです」
バイクに乗る宗男と雨。こう言うのをどんどんやるべき
で、場面は当日の朝。宗男はあのバイクとヘルメットで東京へやって来たと言う訳か。このシーンでの雨は、頑張ったね。それと、雨に濡れた女の子3人のエキストラも。お蔭で、宗男のハチャメチャぶりと当時の熱意が伝わった。演出家には、こう言うのをどんどん続けて欲しい。
シリアスな戦争の話と笑いをどう融合させて描くか?
さて、赤飯の種明かしに続いて、今度は宗男の明るさの種明かしのネタフリ。ここにも2回回想が入ったが、15分に4回は流石に多い。でも、戦争に話を持って行くくだりとしては、脚本は良く書けてる。
鈴 子「いいよね~、あんな風に笑えるのは」
みね子「はい。俺は笑って生きるこどに
決めたんだって言ってました」
高 子「えっ?じゃ、何?あれは、
そうやってやってるの?」
みね子「そうなんですかね。
まぁ、何でかは大人になるまで
教えでやんないって言われましたけど」
省 吾「へぇ」
みね子「あっ、でも小さい頃は
おとなしくて喋んなくてお父ちゃんの後ろを
黙ってついでくるような子だったって
私のお父ちゃん言ってましたよ」
元 治「あいつが?」
省 吾「宗男、いくつだ?」
みね子「え~お父ちゃんより3つ年下だから44歳ですね」
省 吾「じゃ、行ってるか」
鈴 子「そうだろうね」
みね子「行ってる?」
省 吾「戦争に」
みね子「はい」
省 吾「そうか」
ただ、問題はずっと↑に書いた “本作は笑いの後にどーんと暗いのを持って来る傾向” についてだ。これ、どう言うことかと言うと。ドラマの脚本と言うのは、主人公の生き様を他の登場人物たちの生き様を借りて描くことだ。その点で、まず本作は主人公自身の生き様が、今のところ明確に的確に描かれているとは言い難い。
しかし、脇役の生き様については、父の実の失踪、三男(泉澤祐希)の農家の末っ子の苦悩、工場取り壊しの際の豊子(藤野涼子)の乱など、結構ガッツリとシリアスに描いた。それ自体は誤りで無い。むしろ、ドラマのメリハリとして当然だ。しかし、問題はそのシリアスがきちんと主人公に帰着(フィードバック)されていないこと。
シリアスな場面があるだけでは困る
本来は、脇役の人生を変えるようなシリアスなエピソードを源にして、主人公が変化・成長しなくては面白くないのだ。省吾たちとの会話を見ても未だ “ひよっこ” のみね子は何も察していない様子。この状態で宗男の笑顔の真相が明らかになっても、感動し合うのは鈴子と省吾らの大人たちだけ。
宗男もみね子が大きくならないと喋らないといっているが、本作で描かれるみね子の人生はあと8年分位しかないのだから、またシリアスなシーンがありましたと言うだけになる可能性があるってことだ。そこが心配なのだ。
宗男の「笑顔」の意味をしっかり丁寧に描いて欲しい
今週は中盤の厨房のシーンで宗男が言ったこの↓の台詞が、すべてと言って良い。
宗男「苦くても、笑うのは、いいこどだよ」
辛くても笑う。そう言う人生の悲喜交々を脚本と演出がしっかりと描き、それを主人公でありヒロインのみね子にちゃーんと帰着(フィードバック)出来るかどうか。そこを楽しみに半年間の残り半分の始まりの第14週を楽しみたい。
あとがき
脚本と俳優さんたちは良かったんですが、演出の粗さが目に余りました。やはり、演出家が誰かと言うのは作品の質に大きく影響するってことです。でも、まだ初日ですから週末に向けて尻上がりになるのを期待します。
最後に。前回の感想に、126回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。宗男が動くと物語も動き出すので良いですね。今週は、演出に注目して観て行こうと思います。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
●「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
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第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
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第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
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第4週『旅立ちのとき』
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第5週『乙女たち、ご安全に!』
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第6週『響け若人のうた』
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第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
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第8週『夏の思い出はメロン色』
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第9週『小さな星の、小さな光』
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第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
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第11週『あかね荘にようこそ!』
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第12週『内緒話と、春の風』
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第13週『ビートルズがやって来る』
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第14週『俺は笑って生きてっとう!』
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