映画「忍びの国」 感想と採点 ※ネタバレなし

2017/07/4 08:41 記事更新
映画「忍びの国」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『忍びの国』公式)を本日公開初日の夕方、劇場鑑賞。採点は、★★★★(最高5つ星で4つ)。100点満点なら70点にします。
なお、原作小説:和田竜氏の『忍びの国』は未読。

私の評価基準(映画用)

※当blogは、原則的に原作と映像作品は比較しない立場です。

ディレクター目線のざっくりストーリー(ちょい長め)

戦国時代。天下統一に向けて諸国を次々と攻め落とし、あの織田信長でさえも攻め入らなかった唯一の国が伊賀。そこには、超人的な戦闘能力を持ち、人を人とも思わぬ忍者たちが暮らしていた。

その中の一人・無門(大野智)は、虎狼の族(ころうのやから)と呼ばれる伊賀忍者たちの中では超凄腕だが、普段は無類の怠け者で、女房のお国(石原さとみ)の尻に敷かれている。

また、無門に弟を殺されて伊賀への復讐を果たそうとする下山平兵衛(鈴木亮平)や、盗賊・石川五右衛門に忍術を教えたとされる伊賀の伝説の忍者・百地三太夫(立川談春)や平兵衛の父で伊賀の武将・下山甲斐(でんでん)らの忍者たち内部の争いに、無門も巻き込まれていく。

そんな中で、天正7年9月、信長の次男・織田信雄(知念侑李)が父の命令に背いて、伊賀討伐に乗り出す。圧倒的な戦力で伊賀に攻め込む織田の大軍。伊賀は武力や兵力で到底敵うはずもない。しかし、無門率いる忍びの軍勢は想像を絶する秘策で織田軍に抗戦する…

大野智さん中心の "お祭り的アイドル映画" の一面はある…

『のぼうの城』等が人気の作家・和田竜の小説『忍びの国』を実写化した戦国エンターテインメント・アクション時代劇映画『忍びの国』。伊賀一の忍者なのに女房には頭が上がらない無門が、伊賀の最大のピンチを救うべく秘策の頭脳戦で織田軍に立ち向かう姿を壮大なアクションで描きつつ、命の大切や忍びの愛も描かれる…

演出は、『ジェネラル・ルージュの凱旋』『予告犯』等の中村義洋監督。主演は、中村監督作/映画『怪物くん』等のアイドルグループ「嵐」の大野智さん。衣裳は、巨匠・黒澤明の長女で数多くの黒澤作品の衣裳も手掛けた黒沢和子さん。音楽は、映画『図書館戦争シリーズ』の高見優さん。

脇役陣もバラエティーに富んだ俳優や芸人さんやタレントがわんさか登場。一種のお祭り的映画と言っても過言でない。更に、ナレーションが名優・山崎努さんなのだが、最後の最後に…言えない。もちろん、番宣で話題の大野さんと鈴木亮平さんとの「川」と呼ばれる1対1の決闘は見応え十分だ。

私の「伊賀の忍者」のイメージとは違う "忍び" が描かれる

原作は未読だが、原作と脚本が同じ和田竜氏だから、原作の設定の斬新さや新鮮さが小説より活かされているのだろう。やはり、物語として面白いのは、一般的な「伊賀の忍者」のイメージ “ストイックに修行をしご主人様のために命も投げ出して命を果たす” 的な007のようなカッコいいスパイみたいな忍者が出て来ないこと。

社会風刺はチラリズムで、誰もが楽しめる王道アイドル映画

そして、お金のためなら雇い主が誰でも構わず、任務のためなら人をと人も思わず、大人子どもも関係なく訓練する。それ以前に “忍び” はあくまでもお金のための “労働” と言う設定が新鮮だし興味深い。この設定なら、容易に現代風刺的作品に仕立てられるし、その方が “アイドル映画” のレッテルも貼られずに済むはずだ。

また、途中の戦国時代の日本地図なんてオジサン世代には懐かしい「カノッサの屈辱」風描画だから、オトナ世代向けのテイストをもっとふんだんに取り入れても良いのに、社会風刺は終盤にチラリと編集効果で魅せるだけ。最後の最後まで徹底的に大人も子どもも楽しめるアイドル映画の体を崩さずに、描き通したのはお見事だ。

"ジャニーズ" と言う色眼鏡を掛けて観るのは勿体ない

私はこう言う括り方をしたくないのだが、敢えて言うなら “ジャニーズタレント” と言う色眼鏡を掛けている人は見ても楽しめない作品に仕上がってる。なぜなら、監督の「いつもの大野さんで」の指示通りに、スクリーンの中で動く主人公「無門」は『VS嵐』で貼り切ってる大野さんの延長線上だから。

その上、戦国時代が舞台なのに信長が登場せず、話の中心は信長の次男・信雄と無門の対立構造で、その重要な信雄役が知念侑李(Hey! Say! JUMP)さんだから、トップツーがジャニーズってことになる。そのせいもあって、初日3回目の上映回でも400席中300席は埋まっていた。集客能力、映画ビジネスには大事なことだ。

伊勢谷さん相手にデリケートで難しい役柄を演じた知念さん

知念さんは、『必殺仕事人シリーズ』や『超高速!参勤交代』などの時代劇風映画に出演されているせいもあるだろうが、本作の信雄は演技の素人の私が見えても立川談春さん演じた百地三太夫よりも明らかに複雑な役。そんな役を伊勢谷友介さん相手に演じ切ったのはきちんと評価しないと。

「いつもの大野さん」が創出した,憎めない "ダーク・ヒーロー"

また、大野さんに話を戻せば、監督の「いつもの大野さんで」の真意は、自分が興味関心を抱いた事柄は徹底的にやり、そうでない部分は意外と手を抜くみたいなところでないかと(私はテレビや絵画やDVDでしか知らないが)。それが、「無門」と言う一風変わった “ダーク・ヒーロー” に反映されているのは、監督と俳優の秀逸さだ。

残念なところもある…

残念なところもある。まず、上映尺が125分と少々長い。出来れば95分位だとビールとポップコーンまで楽しめる。また、お国のバックボーンの描写が少ないから、折角石原さとみさんが、ぶりっこ演技を抑えて演じてる鬼嫁風の “無門の想い女” と、無門との純愛がちょっと薄っぺらに見えてしまった。

また、忍び同士の騙し騙されの心理戦で、誰が誰をどう騙し(呪い?)ているのか分かり難かった。「十二家評定衆」ももう少し説明があっても良かったような。

あとがき

人を騙し殺して任務を遂行し、金を貰って密かに生きる「悪」である忍びの心にも悲しみがあり、それ故に女を一途に愛したり、忍びの生活から逃げ出したい気持ちとの葛藤があると言うお話。そして、登場する善と悪のそれぞれにプライドや苦悩があり、善と悪も実は不確かな価値観であることを、鑑賞後に改めて考えさせられました。

これぞ、戦国エンターテインメント・アクション時代劇映画です。出演者のファンでなくても、十分に楽しめます。壮大なモブ(群衆)シーンも見応えあるので、是非大きいスクリーンを選んだ方がお得です。


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