ひよっこ (第78回・7/1) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第13週『ビートルズがやって来る』『第78回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
突然、東京にやって来た宗男(峯田和伸)。ビートルズの公演のチケットは持ってないのにウズウズして来てしまったと言う。みね子(有村架純)は、さっそく早苗(シシド・カフカ)、島谷(竹内涼真)らあかね荘の住人に宗男を紹介する。美代子(木村佳乃)の様子をみね子に伝えると、「行きたいところがある」と言いだす宗男。それは実(沢村一樹)が目撃された場所だった。そこで宗男は意外な行動をとる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
冒頭転倒したのはNGカット?でも、熱い宗男が見えた
※今回の感想文は、長げぇよ(謝)
冒頭、好き勝手する宗男(峯田和伸)が、あかね荘の住民たちに引越し?間借り?早々迷惑をかけまくっているのを見ていられなくなったみね子(有村架純)が、宗男の手を強引に引っ張って、廊下に連れ出す。がその時、2人して同時に転んでしまった。そこで、こんな↓やりとりがあった。
宗 男「恨むよ、今のは」
みね子「ごめん」
カメラは、ちゃんと廊下側にも配置してあったから、俳優の動きはリハーサル通りなのだろう。しかし。この2つの台詞を喋る場所には照明がなく、照明が当たっているのはもっと廊下の突き当り。これ、恐らく本番は「宗男さん、今日は静かに寝て」とか言って、2階に上がる段取りだったのを、転んだ方をOKテイクにしたような。
これだと、みね子なら宗男に「ごめんなさい」と言わない違和感も、みね子がそわそわしたまま主題歌に流れ込む強引さも納得できる。でも、宗男の弾けんばかりのロックンロールのエネルギーが、転ぶと言う行為でしっかり映像化出来た。こう言うのはいい…
"間" と "訛り" が不思議な空間を生み出した
主題歌明けも、宗男とみね子の会話に妙な “間” がたくさんあった。恐らく、台詞の段取りは決めておいて、各自が喋り出すタイミングは俳優任せで撮影したのだろう。その役になり切ったからこそ生まれた “間” があったからこそ、この↓みね子側の “間” の答え合わせが活きて来る。
みね子「何か、久々に訛り聞いたら、ちょっと…」
宗 男「へぇ、そう言うもんけ?」
みね子「そうみでえ、へへへ!」
宗 男「うん」
この “訛り” が持ってる不思議な力が、「バー 月時計」のママ・邦子(白石美帆)の方言の勉強に繋がってるのだろう。そう言えば、邦子の出番が久しく無いが…
ストレス解消したみね子と宗男の清々しい笑顔が印象的
場面は、父親が最後に目撃された夜の飲み屋横丁。宗男の願いでみね子が連れて来た。ボーっと横丁を行き交う人たちを見ているみね子と宗男だが、宗男が突然ご近所に丸聞こえの大声で叫び出す。
宗男「兄貴~!俺だよ、俺!宗男だよ!兄貴!
みね子もこごにいんだど!
みね子は東京にいんだど!
帰って来いよ、兄貴~!兄貴!兄貴~!」
その怒鳴り声を聞いて、店の中からたくさんの客が店外に出て来て、田舎者をバカにしたような物言いで、路地のあちこちから東京弁で「人、捜してんのかよ?」が聞こえて来る。指さして言う輩までいる。うーん、酒が入っているとは言え、東京にはいい人ばかり、味方ばかりでないと言う厳しい現実の描写だ。そこで、みね子も叫ぶ。
みね子「お父ちゃ~ん!お父ちゃん!みね子だよ!」
宗 男「兄貴~!いい年して隠れんぼとかしてんじゃねえぞ!
いい加減よ、出でこねえどよ、
父ちゃんに頭(あだま)ただかれっど!」
みね子「あんまし帰ってこねえと忘れちまうよ、
お父ちゃんのこど!
知んないよ、もう!お父ちゃんのバガ!
宗 男「兄貴~!」
みね子「お父ちゃ~ん!」
宗男は奥茨城で溜まっていた感情が、みね子は良い子ぶっていた自分への感情が、同時に爆発した。もちろん、感情の矛先は失踪中の実(沢村一樹)。正にストレス解消したみね子と宗男。清々しい笑顔が印象的だ。
東京タワーや街の明かりがキラキラと輝く夜景の1カット
そんなスカッとした気持ちを、奥茨城のように星は輝いていないが、その代わりに東京タワーや街の明かりがキラキラと輝く夜景の1カットが約5秒。この位の尺があると、次のシーンまでに、みね子と宗男が落ち着いたと言う印象になる。なかなか上手い編集だ。
もはや、"ビートルズ旋風" でなく、 "宗男旋風" だ
場面は、すずふり亭の裏の広場。あかね荘の住人たちに大判焼きを振る舞うみね子と宗男。日頃のみね子へのお礼を伝えつつ、ドラマで有りがちな主人公から聞いた情報を脇役が自分なりに再構築しておかしな他己紹介をするってくだり。
ドラマあるあるだが、主人公の本心だけでなく、その場にいる脇役らの考え方まで見えてくるから、やはりやって正解。そして、宗男のビートルズへの思いが、まるでマグマの噴火のように一気に噴き出す。それにしても、これ↓すごい長台詞だね。
宗男「思ってるこどをよ。かっこつけずに思いっきし叫ぶと、
何だが力が出っぺ?それに笑えっぺ?何だか。
それが、ビートルズだ。んだから、好きなんだ。俺は。
うん、何でもいいんだ。難しいこどじゃなくていいの。
何でもいいんだ。腹立つこどでも、仕事休みでぇでも、
あの子が好きだぁ!でも何でもいいんだ。
今、思ってるこどをな、叫ぶんだ。音楽に乗せでな。
エレキギターとがでよ、
わ~っとでっけえ声で叫んでで、
うるせえわって思うがもしんねえけど。
でもな、
あれは出来るだげ遠ぐまで届けるためになんだ。
気持ぢをな。んだから、でっかい音なんだ。
んだからよ、聴いでっと何だか一緒に声出してる
みでえな気分になって心(こごろ)が晴れんだ。
一緒に歌いたぐなんだ。
んでよ、それがレコードとがになっと、
イギリスから茨城まで届くんだよ。すげえよね!」
熱弁のあとに、島谷(竹内涼真)が冷静に「チケットは手に入ったんですか?」と聞くのも面白い。しかし、宗男の “ロックンロール魂” は全く冷めることはない。
宗男「いいんだよ、そんなもんは無くても。
俺はな、あいづらが東京に来たとぎに、
一緒に東京にいる。それだけで十分なんだよ」
宗男の食べかけの大判焼き越しに、大判焼きにかぶりつくみね子。早苗(シシド・カフカ)、啓輔(岡山天音)、祐二(浅香航大)の3人も、宗男のパワーに押し切られて、いや生きる力に共感したに違いない。島谷の表情だけが意味不明だったが…
「見えねえだけで無い訳じゃねぇぞ」
思いのたけをぶちまけた宗男が、まるで先の夜の東京タワーの情景カットを受けるように、広場から見える小さな夜空を見上げて、ぽそっと言う。
宗 男「星があんまし見えねえなあ、東京は」
みね子「んだね」
宗 男「でもよ、若者諸君。
見えねえだけで無い訳じゃねぇぞ。分がっか?」
みね子「うん」
いいね、この台詞。失踪中の実にも通じるし、漫画家志望のコンビの夢にも繋がるし、150人も「バカ野郎」と言いたい相手がいながらOLとして生きる早苗にも繋がっていくし。「東京で待ってっとう!ビートルズ!」と天に叫ぶ宗男が、強引に全員に大声で「ビートルズ!」と言わせたのは、もはや “宗男旋風” だ。
みね子(M)「お父さん…。
もうすぐビートルズがやって来ます」
みね子のこの↑モノローグも、何となくみね子が一皮剥けたような雰囲気。今週のサブタイトルは『ビートルズがやって来る』だったが、本当は『宗男がやって来た』って感じ。何か思わせぶりな島谷を含めて、大人数過ぎるのではないか?と心配だった「赤坂編」だが、今週を見る限り “過ぎる” ことは無いと確信した。
あとがき
予告編で随分見せちゃってましたね。宗男の妻・滋子(南海キャンディーズの山崎静代)も上京して来てたし、ビートルズのチケットも2枚重なってるみたいだし、日本武道館のカットもあり、私の妄想が的中した赤飯弁当あり、時子(佐久間由衣)を含めた乙女荘5人娘も久し振りに登場。更に、奥茨城の谷田部一家も描かれる。
そして、既に報道済みの菅野美穂さん演じる子役時代から活躍する人気女優・川本世津子も登場。菅野さんは『べっぴんさん』に続いて朝ドラ2作連続出演。脚本の岡田恵和氏が熱望したそうです。だから、当然あて書きになるますね。それは、面白そう。
ただ少し心配なのは、沢村一樹さんがこんなに登場せず、菅野さん投入に大人の事情を感じます。ただ、父親が見つかったら見つかったで物語が一区切りしちゃいますから、来週でビートルズと菅野さんをどう描くかで、本作の折り返しが成功するかどうか決まるかもしれません。
最後に。前回の感想に、116回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。さて、前回に続いてロックンロール魂炸裂の宗男に共感しっ放しの15分間でした。来週は、盛りだくさんで楽しそうで良かった。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
連続テレビ小説「ひよっこ」 オリジナル・サウンドトラック
がらくた (初回生産限定盤A)
がらくた (初回生産限定盤B)
がらくた (初回生産限定盤C)
連続テレビ小説 ひよっこ Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 ひよっこ 上
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」1964年の食卓 (TJMOOK)
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」 若い広場 (NHK出版オリジナル楽譜シリーズ)
有村架純主演 連続テレビ小説 ひよっこ 完全版 ブルーレイ全3巻セット(先着300名様にひよっこメモリアルブックプレゼント!)【NHKスクエア限定セット】
有村架純主演 連続テレビ小説 ひよっこ 完全版 DVD全3巻セット(先着300名様にひよっこメモリアルブックプレゼント!)【NHKスクエア限定セット】
昭和40年代ファン手帳 (中公新書ラクレ)
★本家の記事のURL →
http://director.blog.shinobi.jp/Entry/10091/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方は、
http://dmesen.seesaa.net/article/451403471.html でも受付けております。
【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
●「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1
2
3
4
5
6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7
8
9
10
11
12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13
14 15
16
17
18
第4週『旅立ちのとき』
19
20
21
22
23
24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51 52 53 54
第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
67 68 69 70 71 72
第13週『ビートルズがやって来る』
73 74 75 76 77
- 関連記事