ひよっこ (第75回・6/28) 感想 ※追記あり

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第13週『ビートルズがやって来る』『第75回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ビートルズの来日公演が発表された。うれしくてたまらない宗男(峯田和伸)は自分の秘密基地にこもって情報収集。しかし妻の滋子(山崎静代)に働くよう怒られる。一方、宗男から電報を受け取ったみね子(有村架純)は、商店街の人々にビートルズが好きか尋ねてみることに。すると盛り上がった柏木(三宅裕司)や省吾(佐々木蔵之介)ら男たちのコーラスが始まる。その夜、同じ質問を島谷(竹内涼真)にぶつけてみると…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
"音楽" が主題になることを提示したアバンだ
やっぱり、いつ何度聞いても劇伴「がんばっぺ!みね子」(連続テレビ小説「ひよっこ」 オリジナル・サウンドトラック)の19曲目←リンク先で試聴できます!)は、朝から元気がもらえる楽曲。おっと、アバンタイトルの冒頭で流れた勇ましいラッパの曲のことね。
因みに、次のみね子(有村架純)ら3人が電報を回し読みしている時の劇伴は、未発売。ヒヨコがピョコピョコ歩いてるみたいな可愛い楽曲。早くサントラ第2弾を発売して欲しいものだ。そして、ヤスハル(古舘佑太郎)のギターの音。やはり、今回は音楽が主題になることを提示したアバンだってことだ。劇伴にも注目しよう。
※ヤスハルが弾いた1ストロークのコードのこと…(追記 2017/06/28 12:15)
ビートルズの「A Hard Day's Night」のとても印象的なギターのイントロの「Gsus4」を弾いてました。
短いシーンだが、宗男夫婦のシーンはほっこりした
主題歌明けの「昭和41年月27日(水)」の朝刊のアップ。なんか久し振りの増田明美さんの「語り」だが、やはりこう言う解説口調がピッタリと嵌まる。劇伴もウエスタン調の元気な曲調で、新聞からドンと引いた奥茨城の宗男(峯田和伸)の家をわざわざ2カットで寄って、室内の…
リンゴ・スターのドラムセットのベードラを模した「THE BEATLES」と書かれたドラム缶のアップへ。ほんとテンポが良い。それに文字が右寄りになったために「S」で改行せざるを得なかったと言う、じっくり計算せず思い切りで書いてしまった宗男の性格もちゃんと表現されている。
だから、その直後の缶を徐に叩く宗男の “胸の高鳴り” が活きて来る。そこへ、宗男の妻・滋子(南海キャンディーズの山崎静代)が登場。
N「やっと、登場しましたね」
私も心の中で、増田さんと一緒に言ってしまった。今回の「語り」は適材適所になってる。ボクシングのゴングの効果音もグッドタイミング。そして、宗男がイギリスに何か特別な思い入れがあるようなネタフリも自然な流れ。いいね。
みね子が、宗男を "変" を必死に説明したのが良かった
場面変わって、すずふり亭の休憩時間。みね子が従業員たちに宗男の人となりを一生懸命に説明。みね子が一生懸命に説明したくなる宗男の “変なところ” は視聴者の多くが知るところ。でも、ここでみね子の言動で描いておくのは良いこと。全員が「奥茨城編」を見ている訳でないから。こう言う丁寧さも良い所だ。
秘策! "裏の広場に、ほぼ全員集合" は大成功
舞台は、すずふり亭の裏の広場。また休憩時間かよ?と言う疑問はこの際置いといて、このシーンが素晴らしいのは「すずふり亭」「柏木堂」「福翠楼」の総勢10名、ほぼ全員集合させたこと。それもこれまでの広場のシーンは偶然に数名が通りすがって…みたいなのが多くて、今一つ個々のキャラが見え難かった。
それにまず、今回は柏木堂の「あんみつ」を皆で食べることで、柏木堂の売り上げに貢献したと言うネタを挟むことで、互いの店が持ちつ持たれつの関係にあることが、一目瞭然になった。次に、ヤスハルだけが「ところてん」を食べているのをきっかけに、話は “1人だけ違うものを食べるあるある” へ。
どうでも良いような話だが、僅か16秒の回想シーンでもみね子の働く姿をチラッと入れたのは良かった。やはり、みね子はお金のために働いてこそ、キャラが活きるのだから、今後はもっと就業中のみね子を描いて欲しい。
省吾ら4人のドゥーアップ調の「ラブユー東京」が面白過ぎ
そして高子(佐藤仁美)の絶妙な話の摩り替え術で、話題はいよいよビートルズへ。しかし、この10名の多くが洋楽にちょっと否定的。で、どんな展開になるかと思いきや、上手い感じで裏切って…
省吾(佐々木蔵之介)、元治(やついいちろう)、秀俊(磯村勇斗)、そして一郎(三宅裕司)が加わって、黒沢明とロス・プリモスの「ラブユー東京」のドゥーアップ調の明るいアレンジのアカペラ披露。これ、私がカラオケで酔っ払うと必ず歌う曲。ちゃんと三宅裕司さんがハモろうと音を取ろうとしてるのがプロ根性。
で、みんな頑張ったってことで、ここでまた劇伴「がんばっぺ!みね子」が流れる。今度は秀俊の歌の話。「がんばっぺ!みね子」がゆっくりフェードアウトする長さに合わせた、ヒデが歌う加山雄三の「君といつまでも」の回想が続く。鼻歌の速度と寸胴のソースを混ぜる速度と夕景が三位一体。面白過ぎるぞ。
高度成長期らしい "外国の真似から始まる文化" のお話
ついに、話題の先がヤスハルへ。ヤスハルが熱いビートルズ談義をするかと思いきや、ここでも視聴者を巧みに裏切って、日本の高度経済成長期らしい “外国の真似から始まる文化” のお話へ。
ヤスハル「あれはさ、つまり音楽の革命って言うか…」
元 治「でもさ、何かさ、日本の若い兄ちゃんがさ、
何か真似してやってんだろ。あれ、やだね」
五 郎「なるほど、分かるよ」
省 吾「良いんじゃないか。
真似から始まって日本流に自分たちでやって行けば、
いつかそれが本物になるんだよ。
洋食屋だってそうだろう…」
実に昭和40年代らしい話題性。こんなをどんどん入れてくると、時代が登場人物たちの会話から見えて来る。「語り」じゃなくて…と言うのがドラマには大事だから。
鈴子が "いいこと" の内容も、五郎の立ち位置も良かった
そして、五郎が「いいこと言えない」と嘆いた直後で、鈴子(宮本信子)がこれまたとんでもなく “いいこと” を言うから面白い。
鈴子「いつの時代でもね、
若い女の子が夢中になるものは本物なんだよ。
女の子はね、いいものを嗅ぎ分ける力を持ってるのよ。
理屈じゃなくてね。だからきっと、それはいいものだ」
鈴子と五郎の関係が実に楽しい。話好きで陽気な性格は同じなのに、鈴子は “いいこと” をサッと言えるが、五郎は言えないし、鈴子からは下に見られるし、女性たちからちょっぴり煙たがられているのが、とても良いバランスのコンビになってる。鈴子に夫がいないから、映えると言うのも当然あるが。
今回の「お父さん…」は正解…
ここで、前回は珍しく1度も出番の無かった「お父さん…」が登場。しかし、この10名の会話の中でみね子が何かを言って割り入るよりも、この情景を見た感想をモノローグにしたことで、恐らく多くの視聴者も “宗男パワー” を感じたろうから、ヒロインと共感すると言う意味で、今回の「お父さん…」は正解だ。
みね子(M)「お父さん。宗男さんの電報が、
何だか楽しい風を運んで来てくれたみたいです」
解説に夢中の島谷に対し、早苗たちの反応にグッと来た
舞台は、あかね荘の給仕場。みね子ら5人が “自然に” 集まってる。これがいいね。前回でみね子や早苗(シシド・カフカ)の胸のつっかえ棒が取れたのだから、自然に集まって当然だから。そして、お約束の調子に乗ってる漫画家志望のコンビに早苗の辛辣なツッコミ…に犬の遠吠え。
そして、まさか島谷(竹内涼真)から「Yesterday」の歌詞の解説が始まるとは思わなかったぞ。今回3度目の気持ちの良い裏切り展開だ。
島谷「大切な人が突然目の前からいなくなってしまう。
悲しいことは突然やって来る。
どうしていなくなってしまったのか、分からない。
昨日はあんなに楽しくて全てが輝いていたのに」
そして、「Yesterday」の歌詞と、みね子の父・実(沢村一樹)の失踪を繋げて来た。宗男たちと農作業をしている実が遠くを見る回想シーンも良かったが、島谷の解説とみね子の父親の失踪が重なっていることに、早苗や啓輔(岡山天音)たちがいち早くちょっと気まずい雰囲気なのが、グッと来た。
前回がみね子をちょっとだけ成長させたのが分かるシーン
やっと気付いて島谷が謝るが、みね子は笑っている。
みね子(M)「お父さん。何だか分がんないけど、
ビートルズってスゴイです。
イギリスの人なのに、
私の気持ちも分かってしまうんですね」
前回までのみね子なら少し落ち込むところだが、前回がみね子をちょっとだけ成長させたようだ。それが、この「お父さん…」で描かれた。前回に続き、今回は「赤坂編」での邦子(白石美帆)と大家の富(白石加代子)以外の全員集合したのに、全員の個性が描かれ、宗男夫妻の面白さまでしっかり描かれた。
「赤坂編」は登場人物が多過ぎると、若干の懸念はあったが、今週を見る限りではそんなに心配はなさそうだ。「すずふり亭」と「あかね荘」、それぞれにみね子に対して違う役割分担があるから。次回に期待しよう。
あとがき
劇中で島谷が「Yesterday」の解説をしていましたが、ビートルズ好きの私が補足を。「Yesterday」は、表面的には “自分が何か言い過ぎたことが理由で私の元を去って行った恋人を想う歌” の歌詞ですが、2001年に作詞作曲のポールが “僕が14歳の時に乳癌で死去した母メアリ―への想いを歌った曲” と言っています。
因みに、ポールの母メアリ―は名曲「Let It Be」の歌詞に “Mother Mary” として登場します。また、「ラブユー東京」を聴くと、8トラックのテープのカセットでのカラオケを思い出しますね。
さて、本作のまとめを。今回はかなり異例な形での全員集合をやってくれましたが、これも決して騒動やイベントでななく、宗男さんからの電報と鈴子さんの思い付きの “日常” でした。やはり、『ひよっこ』は日常を楽しく(時に感動的に)描いてこそ “本作らしさ” が出ます。こんな雰囲気が続くと良いですね。
最後に。前回の感想に、121回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。今回の裏の広場に、宗男がいたらどんなに盛り上がったろうって思いませんか。週末までに宗男が上京して、「赤坂編」と合流するのが楽しみです。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
●「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
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第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
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第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
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第4週『旅立ちのとき』
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第5週『乙女たち、ご安全に!』
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第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
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第9週『小さな星の、小さな光』
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第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
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第13週『ビートルズがやって来る』
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