ひよっこ (第73回・6/26) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第13週『ビートルズがやって来る』『第73回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
1966年4月、ちよ子(宮原和)は中学生になった。通学かばんをプレゼントしたみね子(有村架純)は、お礼の手紙をもらい、ますます仕事へのやりがいを感じていた。ある日、警察を辞めて茨城に帰っていた綿引(竜星涼)が突然すずふり亭を訪れる。実(沢村一樹)のことで何か分かったら教えてくれと同僚に頼んでおいたところ、新しい情報が入ったという。鈴子(宮本信子)ら店の仲間が見守るなか、実に起こった出来事を聞く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
主題歌明けの奥茨城の風景で、一気にハイテンションに
個人的なことから書いて申し訳ないが、やっと「ジューンブライド」も終わり、この土日2日間で歩数5万歩超えで、朝なのに両足がじんじん痛くてしょうがない。更に『フランケンシュタインの恋』長編感想文を書いた後に、本作だ。楽しく始まってくれよと祈ったら、主題歌明けがあの奥茨城の風景…
それも、桜が咲く「1966/昭和41年4月23日」の奥茨城村ではないか!一気にテンションが上がってしまった。これぞ『ひよっこ』の月曜だ。
何気ない昭和40年代ならどこにでもある日常にホッ
いよいよ妹・ちよ子(宮原和)も中学生になっていたか。丁寧に学生鞄を拭いていると思ったら、姉・みね子(有村架純)に買って貰ったと言う。きちんと仕送りしてたんだ。「大好きだ、これ」と姉からのプレゼントを喜ぶちよ子を見て、まるで谷田部家の親戚のように嬉しくなったが、更にこの↓の台詞が泣けてくる…
美代子「ちよ子、ごめんね。制服、お姉ちゃんのお下がりで」
ちよ子「ううん。そんな子いっぱいいるよ。
それにさ、嬉しいよ。
お姉ちゃんが着てだやつだもん」
私は第1子だから “お下がり” の気分を味わうことなくオジサンになったが、ちよ子のこの感覚、何気ないそれも昭和40年代ならどこにでもある日常なのだが、こう言うのを見るとホッとする。やはり、「奥茨城編」は面白い。
ちよ子の手紙とみね子の労働を重ねたのは良かった
一方、東京のみね子は、橋幸夫&吉永小百合の名曲「いつでも夢を」の鼻歌を歌いながら朝の出勤の支度中。そして、ちよ子からの手紙のことを失踪中の父へ報告。その中↓に、鞄を買ってあげたことが入っていないのがいい感じ。
みね子(M)「でも、ちよ子はとっても喜んでくれて、
可愛い字でお礼の手紙をくれました。
何だか胸が熱くなる位、嬉しかったです。
あぁ、頑張って働いていがったと思いました」
また、暫く見せて貰えなかったみね子の労働姿に、このモノローグを重ねたことで、これまで「働いている」描写が乏しかったのも、かなり補完した。こう言う工夫はとても大事だ。やはり、今週の演出担当・田中正氏は他の演出家と違った個性的な表現をするから面白い。
実とみね子を「仕送りする立場」として2人を重ねて…
そして、久し振りに綿引(竜星涼)が登場。突然すずふり亭を訪れる。グイッと水を1杯飲んで、神妙に自分の話を聞こうとしている店員たちを見ただけで「いい職場なんだね。良かったね」と察したのは、流石に元警察官。
どうやら、一昨年の9月、郵便局で送金しようとしたところを強盗に狙われてお金を盗まれたらしい。印象的な回想シーンも挿入。「家族が待ってる」と必死に抵抗する実の姿が衝撃的だ。回想と言うよりみね子や鈴子(宮本信子)たちの “想像場面” と言うべきだろう。あんな風に想像したんだと思うと辛すぎる…
綿 引「でもね、みね子ちゃん。
お父さん、これは家族の金なんだ。返してくれって、
何度も何度も言ったそうだ」 みね子「はい」
綿 引「出稼ぎが嫌んなって家族を放り出して
いなくなってしまった訳ではながったね」
ここ、上手いね。まず、実とみね子を「仕送りする立場」として2人を重ねて描いてる。今のみね子だからこそ、実の辛さが痛い程に分かるって話。みね子の手をさする鈴子(宮本信子)もいい感じ。
お弁当と厨房の使い方も秀逸だった
そして、最初はちょっと怖い口調で、省吾(佐々木蔵之介)が綿引に汽車中で食べる弁当を10分で作ると言う。
省吾「うちの子がお世話になっているんだ。
それぐらいさせて下さい。元治、ヒデ!」
父親代わりの省吾の責任感。それを感じたみね子が、このまま綿引の前にいたら泣き崩れそうになるから、厨房に入って来た必然性もグッド。更に弁当作りを手伝いたいと願い出て、綿引への思いを弁当に込めると言うのも、舞台が洋食店である必然性十分。もっともっと、こう言う風に洋食店であることを活かして欲しいのだ。
ヒロインのみね子が皆に愛されていること丁寧に描かれた
弁当を作ってる間、綿引の行動にみね子の東京の家族として、鈴子だけでなく高子(佐藤仁美)も深々とお辞儀をして敬意を示す。そして、綿引に谷田部家への伝言↓を託す。
鈴子「谷田部さんにお伝え下さい。
みね子は頑張ってますからご安心下さいと」
とにかく、綿引、みね子、すずふり亭の一人一人の言動に根拠と整合性があって、その上キャラクターが明瞭に描かれ、ヒロインのみね子が皆に愛されていること丁寧に描かれた。強引にヒロインを目立たせず、あくまで自然に、普通にヒロインの苦境を描いた。最近の中では秀逸な脚本と演出、演技だったのではないだろうか。
実とみね子に、省吾と鈴子と由香も微妙に重なってる?
更に秀逸と言いたいには理由がある。今回の “実が家族を捨てた訳でない” と言う部分と、先週描かれた省吾(佐々木蔵之介)と鈴子(宮本信子)と由香(島崎遥香)のくだりが、微妙に重なっているようにも見えるのだ。だから、それでは月曜から少々湿っぽくなり過ぎるから、終盤に軽快なあかね荘を挿入。
"一つ屋根の下の関係" は、向島電機の乙女荘に通じる?
でも、今日のテーマはまだ終わらない。奥茨城の美代子からあかね荘のみね子に電話が掛かって来る。綿引からすべての事情を聞いた美代子が、実と同じく家族のために働いているみね子を心配して電話してきたのだ。
みね子「怖かっただろうね。痛かっただろうね」
美代子「みね子。お父ちゃん、きっと大丈夫だよ」
みね子「うん…。
どこさ行っちゃったんだろうねぇ、お父ちゃん…」
事件のその時の父の気持ちを察して、辛くてしょうがないみね子。そんなみね子を励ます美代子。そして、この会話を聞いているあかね荘の面々。
これまで、あかね荘のくだりは不要だと考えたこともあったが、東京の家族であるすずふり亭の “家族愛” とは違った “一つ屋根の下の関係” は、あの向島電機の乙女荘に通じるものを感じた。
あとがき
恐らく今週半ばには、宗男(峯田和伸)が登場して、良い意味で明るく楽しく引っ掻き回してくれるでしょうから、月曜としては少し暗い話ではありましたが、人情の温かみを肌で感じた登場人物たちを見て、元気を貰いました。心なしか足の痛みも減ったような気がします…
最後に。前回の感想に、92回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。やっぱり、奥茨城の登場人物がいると、笑いあり涙あり感動ありになりますね。実さんが襲われたシーンは、ちょっと長くてハラハラしました。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
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