映画「LOGAN/ローガン(字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし

なお、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』と『ウルヴァリン: SAMURAI』、『X-MEN』シリーズは鑑賞済み。原作の『オールドマン・ローガン』は未読。

ざっくりストーリー
2029年。既にミュータントがほぼ絶滅した近未来では、X-MENの存在も人々から忘れられていた。年老いてかつてのパワーを失い、治癒能力が弱まったウルヴァリンは、認知症でテレパシーを制御できないプロフェッサーX・チャールズ・エグゼビアの世話をしながら、ローガンの名でメキシコ国境の町で身を隠すように暮らしていた。
ある日、ローガンは1人の看護師から、ローラと言う少女をカナダ国境近くまでお送り届けて欲しいと頼まれる。殆ど言葉を発しないが、ローガンに似た特殊な能力を持つローラは、謎の武装組織から終われており、何とか襲撃を逃れた3人は、ノースダコタを目指す旅に出るが、彼らを想像を絶する運命が待ち受けていた… ※R15+
ウルヴァリンの最後の死闘を描く崇高な人間ドラマ
アメコミ映画なのに「R15+指定」だけあって、血と暴力の描写は容赦ない凄さだが、そんなことよりも注目すべきはウルヴァリンの最後の死闘を描く大人向けの崇高な人間ドラマに仕上がっていることだ。年老いて傷ついたローガン(ウルヴァリン)の壮絶な生き様が、2時間17分間に凝縮されて描かれるのが本作だ。
本作に登場するウルヴァリンは不死身でない
髪や髭は白髪混じりになり、老眼鏡を掛け、走ると息が切れるウルヴァリン。アダマンチウムの爪の伸びる速度も遅く、瞬間蘇生していた治癒能力も衰えた。そう、もうウルヴァリンは不死身でないのだ。そんなウルヴァリンが、同じように年老いてボケ症状のようなプロフェッサーを介護しながら生きる姿は何とも切ない…
序盤では、かつては世界を圧巻したアメコミ・ヒーローの晩年の落ちぶれ果てた姿を、哀愁たっぷりにこれでもかと見せられる。しかし、このまま老老介護のお話で終わるはずが無く、魔法の劇薬でも注射されるように謎の少女ローラが登場。3人の旅が始まると、映画は途端にロードムービーのように道中の描写が楽しくなる。
特に、ジェームズ・マンゴールド監督の西部劇へのオマージュ溢れる、名作『シェーン』の効果的な引用も素晴らしい。
ヒーローの滅びの美学を、見事に映像化した
思えば、2000年の映画『X-メン』でウルヴァリンが初登場してから、私たちは、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンと共に旅をして来たようなものだ。絶滅の危機にあるミュータントの唯一の希望となるローラを命懸けで守り抜く最期の闘いは、こちらの身を切られる思いすら感じてしまう。
ローガンと言う不死身だった男が、衰弱し病気に侵され、滅びゆく自分の運命と本当に向き合ったその時、諦めと同時に長い孤独から解放され、ローラに未来への希望を託す場面では、安堵感が漂う。正にヒーローの滅びの美学を、見事に映像化した。そして、ヒュー・ジャックマンも完璧にウルヴァリンを演じ切った。
あとがき
アメコミ映画なのにR指定は伊達じゃない。世界中の中年男性の悲哀を、以前は不死身だったヒーローの滅びの美学に置き換えて、世のオジサンたちに夢と希望と老いることの素晴らしさを教える、大人のためのアメコミ映画に仕上がってます。ミュータントを描くシリーズが、秀逸に “人間の本質” を描いているのが素晴らしい。ありがとう、ローガン。さようなら、ウルヴァリン…
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