ひよっこ (第69回・6/21) 感想

連続テレビ小説「ひよっこ」

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』公式
第12週『内緒話と、春の風』『第69回』の感想。


 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


啓輔(岡山天音)のもとに、突然、故郷の富山に帰ったきり音信不通になっていた相方の祐二(浅香航大)が帰ってくる。「戻ってよかった」とみね子(有村架純)は思うが、早苗(シシド・カフカ)は「2人がそろっても売れない状況は何も変わらない」と冷たく言い放つ。祐二が長い間戻ってこれなかった理由を語り始め、島谷(竹内涼真)も興味津々で耳を傾ける。ところが、その理由を聞いたみね子は、心底がっかりする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

5人全員が "警察官役経験者" を活かしたシチュエーション

早苗「図星か」

これ、完全に意図的に寄せてるよね。何に寄せてるかって、早苗(シシド・カフカ)も島谷(竹内涼真)も、アパートの一室を刑事ドラマの取調室に。シシド・カフカさんは『視覚探偵 日暮旅人』で、竹内涼真さんは『THE LAST COP/ラストコップ』で刑事役をやってるから、岡田恵和氏が遊び心で “当て書き” したかも。

でも、演出的には啓輔(岡山天音)と祐二(浅香航大)の真正面に座っているのはみね子(有村架純)で、早苗と島谷は啓補と裕二を両脇から挟むような座り位置になっているから、取調べには見えずに、ちゃんとヒロインが漫画家志望の2人と向き合う構図になってる。脚本、演出、俳優が上手に噛み合った15分間だった。

と言うか、書きながら考えてみたら、岡山天音さんは『貴族探偵』で、浅香航大さんは『僕のヤバイ妻』で共に刑事役、そして有村架純さんは『SPECシリーズ』で女性警察官役だった。小さな部屋に詰め込まれた俳優さん5人が、全員警察官役経験者と言うの活かしたシチュエーションと見ると、改めて面白い。

俳優さんたちの見事な演技によるシュールなコント風芝居

N「あらあら、アパートの部屋だけで、
  今日は終わってしまいますねぇ。続く」

今日の15分、間違いなく、見なくてもこの先の物語の理解に影響を与えないような、(つまらないではなく)くだらないエピソード。しかし、登場人物の個々の設定を上手に使い、特に登場したばかりの祐二の身元や思考回路など、まるで取り調べで吐かされたように次々と喋っても、取調室風の設定が活かされているから不自然でない。

その上、刑事側でなく容疑者側の裕二が「似顔絵」を書いて、自然な流れで自供に追い込まれていくように描写されていた。で、それが、俳優さんたちの見事な演技によるシュールなコント風芝居に仕立てられていたのは、好みは分かれる作風ではあるが、私はきちんと評価したい。

5人全員が壁や窓を背中のすぐ後ろに背負っている

さて、少し細かく内容を見ていくと、まず容易でなかったろうなと感じるのがカット割りだ。5人全員が壁や窓を背中のすぐ後ろに背負っているから、編集後の映像はサクサクとカット割りされているが、撮影時はそれなりの苦労があったことが分かる。また、メインのカメラにヒロインが背中を向けてるのも大胆だ。

劇伴の音響効果で、中弛みを上手に逃れる

祐二の言い訳話が、何となく “いい話” になってきた7分頃、再び取調室コントを思い出させる早苗のこの↓台詞で、物語が動き出す。

早苗「…で、その従業員のケガが治ったから、
   東京に帰って来たと言う訳か?
   随分と長くかかったんだな」

しかし、祐二の「10日」と言う言葉をきっかけに、それまでいい感じに背景に流れていたアルペジオのアコギの調べが、レコードの回転数が落ちたような音響効果になるのは、如何にも昭和風。これをきっかけにみね子も尋問するような口調に変化させることで、いよいよ3人に追い込まれる容疑者・裕二になる。

そして、「恋?」の一言で久し振りにあの空想映画『青春のあかし』を思い出させる劇伴に。

空想映画『青春のあかし』
©NHK

早苗がさも「馬鹿馬鹿しい」と言わんばかりに、クールにコーヒーを飲むのが如何にもあの超どS刑事を彷彿させる。

最後の「語り」を強調するため "内藤洋子" の解説は無し

15分間の構成が上手いと感じるのが、丁度15分の半分過ぎた8分頃から、刑事3人と容疑者1名と関係者1名の対立構造が、「内藤洋子」の一言で、“男 VS 女” になっていくこと。みね子の島谷へのほのかな恋心を、これまたお見通しのような早苗刑事をチラッと映り込めせたのも面白い。

いつもならここで、増田明美さんの「語り」で内藤洋子さんの説明を入れるような場面なのに、上↑で紹介した最後の「語り」を強調するために故意に外したのだろう。内藤洋子さんと言えば昭和40年代を代表する女優さんで、「東宝の看板娘」と言われた。

黒澤明監督の映画『赤ひげ』(1965年)で「まさえ」と言うお嬢様役
©pds.exblog.jp

デビュー作は、あの巨匠・黒澤明監督の映画『赤ひげ』(1965年)で「まさえ」と言うお嬢様役。私が『赤ひげ』を見たのは1970年代だが、それでも彼女の初々しさと堂々とした演技は目を見張るものがあった。話が逸れたついでに書くと、黒澤監督の娘さんが少女雑誌『りぼん』の定期購読者で、監督が表紙の彼女を見て出演を打診したそうだ。

「お父さん…」のモノローグが最大限に活かされた

そして12分頃、みね子が漫画の評論家に抜擢される辺りから、サスペンス調の劇伴に変わって、物語は佳境へ。そして、これまで多用する必要性を感じていなかったみね子の「お父さん…」のモノローグが最大限に活かされる。

みね子(N)「お父さん…。どうしたらいいんですか?
      …………つまんないです…」

最後の「頑張って下さい」だが、これまでのみね子なら、こう言うその場を繕うような事は言ったことが無いような。しかし、「すずぶり亭編」と言うか「赤坂編」になって、人間関係を円滑にさせるような気遣いをするようになったみね子。これをキャラ変更と捉えるか、みね子が大人になったと捉えるか、今後のエピソード次第だろう。

あとがき

感想を書き終えて、自分でもよくこの15分間の内容でここまで書けたなと思っちゃいました。なぜ、こんなに熱い思いを書いたかと言うと、すずふり亭の厨房や裏の広場、柏木堂の店内みたいな限定的で閉鎖的な空間で、登場人物と俳優のそれぞれのキャラクターやその持ち味を活かした会話劇を書いて欲しいからです。

終わってみれば、確かに「向島電機編」は感動的なドラマになってました。しかし、冷静に考えると工場と乙女寮と言う限定的で閉鎖的な空間が舞台のすべてだった訳ですから、全体的に個々のキャラクターに頼った騒動を次々と連発して構成せざるを得なかったのです。だから、「赤坂編」では今回の15分間を忘れないで欲しいんです。

最後に。前回の「すずふり亭の福利厚生への不安と、タイトルがカッティングシートだった」と言うどうでも良いような感想に、84回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。閉ざされた空間でも、エピソード次第でドラマが面白くなるってことです(好みの問題はあるでしょうが)。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。

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【これまでの感想】
[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
「ひよっこ」は視聴者の“好意的な解釈”に頼らないで欲しい(2017/06/12)

第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1  2  3  4  5  6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7  8  9  10  11  12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13  14 15  16  17  18
第4週『旅立ちのとき』
19  20  21  22  23  24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51 52 53 54
第10週『谷田部みね子ワン、入ります』
55 56 57 58 59 60
第11週『あかね荘にようこそ!』
61 62 63 64 65 66
第12週『内緒話と、春の風』
67 68

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