ひよっこ (第64回・6/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第11週『あかね荘にようこそ!』『第64回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ランチタイムのホールに入ったみね子(有村架純)。一生懸命動くものの、あまりの忙しさに頭が真っ白になってしまう。秀俊(磯村勇斗)が、出来上がった料理が運ばれないのを見かねて手伝ってくれるが、みね子は申し訳ない気持ちになる。ディナーまでの休憩時間、鈴子(宮本信子)は、みね子と高子(佐藤仁美)、そして安江(生田智子)にも声をかけて柏木(三宅裕司)が切り盛りする和菓子屋・柏木堂を訪れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
谷田部みね子が座長の "劇団" が演じていると考えてみる
本日第64回の感想に入る前に、本家のblogに昨日、読者・shinさんのコメント「すずふり亭になって、みね子のキャラが変わってはダメ」に私が返信したことを、再掲載してみる。この2か月を谷田部みね子が座長の劇団が演じていると考えると言うものだ。
まず、「奥茨城編」、「向島電機編」、「すずふり亭編」を演じているのは、それぞれ、みね子座長の「奥茨城劇団」と「向島電機劇団」と「すずふり亭劇団」だと考える。すると、前者2つの劇団の座長みね子は “田舎娘” 的で似ているが、「すずふり亭編」のみね子座長は少々 “東京娘” 風になっている。
また座員たちに目をやると、「奥茨城劇団」は老若男女がおり身内キャラで構成され、「向島電機編」は年齢の幅が狭く平均年齢も低く若手で女性が多い。そして「すずふり亭劇団」はコミカルな役からシリアスまでこなすベテラン俳優から超個性的俳優まで幅広いラインナップ。
こう考えたら、「すずふり亭編」は、みね子座長の “人々との交流” がメインであり、みね子自身の心情描写は二の次って感じ。まずは、面白キャラたちの喜劇で登場人物たちを魅せようって感じに見えないかってこと。この視点を踏まえて、私なりに今回の15分間を見てみると、どうなるか…
向島電機での失敗を乗り越えたみね子がいた
前回の感想では、就業第1週目にミスするのは「向島電機編」で放送済みだから、社会人9か月目のみね子らしい成長を踏まえたミスを描いて欲しい…と言うようなことを書いた。では、今回はどうだったか?
みね子「落ち着いて、落ち着いて…」
前回と明らかに違うのが、この↑みね子の「落ち着いて」と言う台詞だ。何気なく短い台詞だが、向島電機での失敗を乗り越えた経験があるから言える言葉になってる。それもモノローグでなく、しっかり声に出している点、直後に自身に頷いて業務を継続したことにも注目したい。
どうやら、約40秒のアバンタイトルを見ただけでも、前回とは全く違うみね子座長が描かれている。となると、他の座員たちも単なる “賑やかし” でなく特定の台詞や動きで個性を描いてくることが、容易に予想できる訳だ。
みね子の初仕事が、かなり忙しいランチタイムで良かった
そして、主題歌明け。前回は、高子(佐藤仁美)による新人研修に5分間も割いたのに、今回はランチタイムの営業時間を約1分間で済ませた。これは、みね子のミスやおどおどをだらだらと描かなかった点に於いて、かなり評価できる。
また、ここまでで注目したのは、客の中に文句を言うような人がいないこと。アバンに嫌な顔をする女性客が1人登場するが、彼女の反応が普通で決して意地悪には見えない。いや、あの位の客が1人位いて現実味として丁度良い。更に良かったのは、この日がすずふり亭にとって、かなり忙しい部類の日であったと言う設定。
向島電機では、単純な流れ作業でのミスを描いた。しかし、こちらは予期せぬ多忙の中での慣れないサービス業の大変さとして描いた。これが必要だったのだ。練習や暇な時間帯でミスやどん臭さを描くのでなく、忙しい中で臨機応変な対応を迫られるサービス業の難しさを、みね子を通して描いた。
表面的には、おどおど、苦労するみね子なのだが、一方はミス、こちらは仕事の大変さとして描き分けたのが良い。だから、休憩時間の会話がグッと活きて来る。同じ職場で働く仲間たちの協働意識や優しさをさりげなく表現した。ここまで4分強。前回とは明らかに凝縮された面白さがある。
様々な業種が集まる「すずふり亭劇団」ならではのお話
場面変わって、和菓子屋・柏木堂。中華料理屋・福翠楼の安江(生田智子)も連れだって女4人でみね子の新人歓迎会ってくだりだ。美術さんが頑張った柏木堂のある路地を通って店内に入る導線のカット割りも、お昼休みらしさが表れていた。ヤスハル(古舘佑太郎)の登場場面も自然だ。※過去3度の喜劇が悔やまれる…
当然、一郎(三宅裕司)の登場もこれが最初で良かった位だ。そして、話がさり気なく和菓子屋らしい接客の仕方に進む。高子は洋食店の接客を見せる。ここ、いいね。「向島電機劇団」ではみんなが1つの会社に所属していたから出来なかった、異業種、別会社(店舗)が集まる「すずふり亭劇団」ならではのエピソードだから。
鈴子の経営者、人生の先輩としての役割分担が良い
この↓の会話もいい感じだ。如何にも新人歓迎会って雰囲気だし、本作らしくいい人たちの物語。そして、この会話に鈴子(宮本信子)は頷くだけで入って来ないのが、脚本家の上手いところ。
安 江「疲れた?」
みね子「まぁ…」
高 子「足、痛いでしょ?」
みね子「はい…、ええ…」
高 子「無駄な動きが多いからねえ」
みね子「そう言うことですよね」
高 子「そう言うことだねえ」
安 江「慣れるよ。そのうち」
みね子「ありがとうございます」
高子たちは、あくまでみね子の応援団的役割で、鈴子は次の↓台詞にあるように、経営者、人生の先輩としての役割分担がされている。
鈴子「仕事って言うのはね、
決められた時間内だけするもんなの。
その分しか、私、給料払ってないよ。
時間内に精一杯働く。終わったら忘れる。
でないと良い仕事は出来ないよ。
嫌になっちゃう。私は、そう思う」
普通の日常の中に起こるちょっとした出来事を描いてく
「向島電機編」には石鹸工場の社長以外、目立った経営者が登場しなかった。しかし、「すずふり亭劇団」には現時点で自営業者、事業主が少なくとも4人はいる。これが特徴の1つなのは間違いない。また、あかね荘の住民を1つ屋根の下と考えれば、「すずふり亭編」が「家」や「店」の集合体であるとも言える。
そうなると、全員がひと塊の「向島電機編」とは違い、1軒1軒の家を基本的な単位に描いた「奥茨城編」に似ているではないか。例えば、「あんこの大きさ」のくだりなんて、実に奥茨城編を彷彿させてはいなかっただろうか。
ヒロインの騒動とまでは行かないプチイベントを盛り込んで進んで行くこの雰囲気は、あまりメリハリがあるとは言えないが、普通の日常の中に起こるちょっとした出来事を描いて、人と人との関わりや、みね子の社会人としての成長を描く意味では悪くない。前回湧いた不安が少し取り除かれた気分だ。
「東京」らしさや、奥茨城との違いを描いたのは正解
そして、ディナータイムを描いた1分程のシーン。序盤の「落ち着いて、落ち着いて…」が早々に活かされて、生き生きと働くみね子の姿。この位に変化が描かると気持ちがいい。
みね子「男の人たちは飲みに行ぐんですね」
高 子「え~?」
みね子「何か、都会って感じがします」
鈴 子「そっか」
で、閉店時間。厨房担当とホール担当の閉店後の行動の違いで、みね子の台詞↑で「東京」を描いた。東京タワーのカットが無くとも、こう言う「東京」らしさや、奥茨城との違いを描くのは良いこと。それでないと「お父さん…」の意味が薄まるり、ただの「田舎娘の奮闘記」になっちゃうから。
あとがき
かなり、「奥茨城編」に近づいた…と思いたい。そんな15分間でした。また、柏木堂はもっと遊べそうですね。前回は、不安一色でしたが、今回は良かったです。まあ、物足りなさが無いと言えば嘘になりますが、騒動至上主義より、プチイベントで賑やかに楽しく進む方が良いと思います。
最後に。前回の何となくモヤモヤしたものが心に残った感想に、82回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。「すずふり亭劇団」のキャラの幅の広さのお蔭で、「すずふり亭編」に明るい兆しが見えてきて良かったです。という訳で、当blogは、まだまだ引き続き本作を応援します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
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●「ひよっこ」の“青天目澄子”と演じる女優・松本穂香に注目してみた(2017/06/05)
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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
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第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
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第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
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