ひよっこ (第53回・6/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第9週『小さな星の、小さな光』『第53回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
工場が閉鎖される日、突然建物に立てこもった豊子(藤野涼子)。驚いたみね子(有村架純)や愛子(和久井映見)がその訳を聞き出そうとすると、豊子は胸にしまっていた自分の思いをみんなに打ち明ける。外では業者の男たちが工場の機械を運び出すために待っていて、どうして入れないのかと、ライン長の松下(奥田洋平)に詰め寄っていた。男たちのどなり声が飛び交うなか、みね子は窓の外からそっと豊子に語りかける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
豊子が初めて口にした「嫌だ」と言う心の叫び…
ついに、みんなより年下の中卒で優等生で真面目一本槍の豊子(藤野涼子)の小さな小さな心の反乱が始まった。自分の行動の無意味さも、あそこにいる誰よりも分かってる豊子の反乱。これまでの人生で一度も「嫌だ」と言ったことのない豊子が初めて口にした「嫌だ」と言う心の叫び…
豊子「意味がないがもしれない。
バカだって思うがもしれない。
時間の無駄だと思うがもしれない。
でも、おらは嫌だって言いたい。こったの嫌だ!」
豊子が、乙女寮で最初に言い合いをしたのが時子(佐久間由衣)だった。あの時、豊子は時子にカウンターパンチを食らったと同時に、向島電機と乙女寮が “本当の自分でいられる所” だと初めて気が付いたのだ。そんな豊子にとって大切な場所が無くなる悲しみ…。仲間たちの誰のせいでもないのに…
愛子の豊子への言葉にジーンときた…
豊子のこの↓台詞にジーンと来てしまった。15、16歳の女の子にだってこの状況がどう言うことかは百も承知のはずだ。それも、豊子なら十分過ぎる位に分かってるはず。でも、つい口から出てしまう素朴な疑問。答えが出てる疑問。ここで改めて答えなんて言いたくない疑問。それがこの↓豊子の言葉…
豊子「なして、ここで働いてはいげねの?なして?」
みね子(有村架純)や豊子と漫才コンビのような関係だった澄子(松本穂香)も、すすり泣くしかない。そんな場面で、愛子(和久井映見)が動き出す。
愛子「分かった。分かったよ、豊子」
まるで、本当の家族、豊子の母親のように、しっかりと豊子の気持ちを受け止める、この↑一言も、胸にグサッと刺さる。
愛子と松下は、豊子の「東京のお母さんとお父さん」…
しかし、機械を運び出す業者の男たちも黙って見ている訳にはいかない。彼にとっては仕事を中断させられているのだから。男たちはライン長の松下(奥田洋平)に詰め寄るが、そんな男たちの胸を叩きながら、諭すように言った松下の↓の台詞がいい。「あんたたち」と言わずに「1対1」の労働者として話すのが。
松下「あんたたちだって、あの子と同じように働く人間だろ。
分からないか?あの子の気持ちが。
中学出たばっかりの女の子。
たった一人で親元離れて、初めての職場なんだ。
無くなるのが嫌だって言う気持ち、
あんただってわかるだろ?」
このシーン、いいね。作業員を説得するカタチと使って、松下が工場内の豊子に対して、先の愛子の言葉と対照的に、父親代わりに豊子を守ってると言うのが。そう、愛子と松下は、豊子の「東京のお母さんとお父さん」になっていたのだ。だから、愛子は丁寧に丁寧に優しく優しく豊子を落ち着かせた…
心の整理と前向きな気持ちを豊子にぶつけたみね子に天晴
そして、みね子も豊子に話しかける。6姉妹の中の「東京のお姉さん」の1人として。豊子を説得しながら、みね子自身も自分も心の整理をして、それを聞いている澄子たちまで、この10か月間を整理して、次に進もうと言う勇気と元気が湧いてきているってシーンだろう。
みね子「自分の席に座って仕事すんのが大好きだった。
最初は全然できなかったけど。
でも、頑張って負けなかった場所だからさ。
でもね、豊子。
悲しいけど、なぐなんないよ。なぐなんない。
私たちがずっと忘れないでいれば、
工場はなぐなんない。ずっと…」
途中の、効果音の入れ方や劇伴の入るタイミングや音量も、ホントいい感じ。みね子の台詞(男たちの揉め事の声も)がきちんとガラス越しに少しこもって録音されているのも、とても臨場感がある。豊子を狙うハンディカメラもシーンに合ってる。作業員の「分かるけど」だけスローモーションにしたのも効果的だ。
それぞれの「お礼」「お辞儀」の違いを見事に描いた
その「分かるけど」をきっかけに、豊子が立ち上がり鍵を開けて出て来る。豊子が労働者として、また1つ成長した瞬間だ。一番最初に豊子に抱き付いたのは、澄子だ。「バガだ」を言い合って友情を確かめ合う2人。これまでの豊子と澄子の漫才のような掛け合いがあったらからこその名シーンだ。
愛子「やれやれ。
豊子ちゃんも世話が焼ける子だったんだねえ」
この↑愛子の台詞で、多くの視聴者が “豊子の東京でのお母さん” 気分を味わったに違いない。そして、機械や荷物が次々と運び出されていく。それをじっと見つめ見守る乙女たち、そこにいつもの「お父さん…」が被って来る…
みね子(M)「いつか、みんなで笑い話にしてやろうと。
何度でも笑い話にしてやろうと思いました…」
まるで、このみね子の心の声が届いたかのように、作業員たちが帽子を取り、一礼して去って行ったのも、そんな作業員たちに深々とお辞儀をする愛子と松下と乙女たちもとても印象的だ。そして、一人誰よりも深く長く工場にお辞儀をしていた松下の気持ちを察すると胸が熱くなる…
豊子の反乱は「幸せな騒動」として、記憶に残る…
そして、乙女寮最後のメニューは和夫(陰山泰)さんの「カレーライス」。まるで何も無かったように、楽しそうに美味しそうにカレーライスを食べる向島電機の人たち。そこでまた「お父さん…」。でも、今回の↓は少し違う。本作のテーマ、骨格に近い部分だから。
みね子(M)「ここには大勢の乙女たちがいました。
皆それぞれに、私とおんなじように物語があります。
何だかそれって、すごいなぁと思います。
そんな物語がものすっごくたくさんあるのが、
東京なのかなって思いました。」
あの丁寧で楽しくて泣けた「奥茨城編」にもたくさんの物語があった。それがあったかからこそ、このみね子のモノローグに説得力が生まれた。予想通りに豊子の反乱は「幸せな騒動」として、しっかり物語に存在感を示したし、大きな区切りを作った。土曜日からが楽しみだ。
あとがき
「向島電機編」としては久し振りに且つ大胆に、日常の描写から少し離れて、非日常を描いた15分間でしたね。集団就職や学歴や労働者など、いろいろな要素が盛り込まれた「幸せな騒動」が良かったです。「年表」なんて表現が登場したのも、ヒロインの人生を描く朝ドラらしくて良いなと思いました。
また、前回の「演出プチ講座」を含めた感想に、108回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。豊子の “幸せな騒動” で感動させてくれましたね。見応えのある15分間でした。当blogは、引き続き本作を応援します。
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【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
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第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
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第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
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第4週『旅立ちのとき』
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第5週『乙女たち、ご安全に!』
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第6週『響け若人のうた』
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第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
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第8週『夏の思い出はメロン色』
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第9週『小さな星の、小さな光』
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