ひよっこ (第52回・6/1) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第9週『小さな星の、小さな光』『第52回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
乙女寮最後のコーラスの場で、幸子(小島藤子)にプロポーズした雄大(井之脇海)。みね子(有村架純)たちは幸せな瞬間に立ち会って、大いに盛り上がる。安心した優子(八木優希)は、仲間たちに見送られて秋田に帰っていく。ついに工場最後の日。朝からぼんやりした様子の豊子(藤野涼子)が、仕事で初めて失敗する。最後の1台を作り終え、みね子たちが工場を出ようすると、豊子は突然思いもよらない行動に出る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
幸子が雄大のプロポーズを断ったら面白かったかも?
感想に入る前に、昨日の『有村架純主演の朝ドラ「ひよっこ」17・5% 第50話にして最低視聴率』のニュースを読んで、なるほど…と思ってしまった。第50回は工場閉鎖が決まり、一緒に過ごす残り僅かな時間で温かな乙女たちの友情を描いた15分間だった。それが最低視聴率だった訳だ。
では、多くの視聴者はどんな『ひよっこ』を期待しているのか?いや、100%満足していない私は昨日の今日で、どんな展開を期待したのか?それは、幸子(小島藤子)が雄大(井之脇海)のプロポーズを断って一騒動起こると言う展開だ。もちろん、100%あり得ない展開なのだが…
思い出して欲しい。「奥茨城編」では “幸せな騒動” が幾つもあった。当然、ストーリーを賑やかにするがために強引に騒動を連発するような「騒動至上主義」は断固として反対だが、日常の中で発生する “幸せな騒動” こそ本作らしいエピソードになりやしないかってこと。
幸子が一度断って、乙女たちが協力して無事に婚約成立なんてエピソードに仕上げたら、それこそ前回で映像的に中途半端に描いて終わった “最後の悪あがき” よりも、微笑ましくて忘れられないホームドラマらしいエピソードになったに違いない。騒動の使い方次第で、視聴率はいくらでも巻き返せるはずだ。
冒頭の5分間をどう思うか?
では、本編。結局、私が期待した “幸せな騒動” は無く、いつものように予定調和で歌って、優子(八木優希)は、仲間たちに見送られて秋田に帰って行った。これに5分。コーラスの選曲も良いし、カップル成立、優子も思い残す事無く…と本作らしく日常を奇を衒わず丁寧に描いた。しかし、これに5分も?とは思う…
天使のような女性ヴォーカルの劇伴と、スローモーション
そして、今回最大の見所である、昭和40年12月20日「工場最後の日」が、いつもの乙女寮の朝の風景から始まった。今朝の豊子(藤野涼子)は朝からぼんやりした様子で、最後の日に仕事で初めて作業ラインを止めてしまう。しかし、その後の作業は順調に進み、最後の電子基板がラインを流れ始めた。
まるで天使の歌声のような女性ヴォーカルの劇伴と、スローモーションの手作業風景がとても神秘的に見えたのは、なかなかの演出。
全ての作業が終わった時のみね子の横顔のアップが印象的
皆どことなく寂し気で真剣で、全員の作業を最後の最後まで見守る何とも言えない空気感。特に次々と自分自身の作業が終わって行く様子や、最後の組み立て(組み込み)作業が終わった時のみね子(有村架純)の横顔のアップは印象的だった。
因みに、このみね子の横顔のアップ。先日書いた『[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~』によれば、みね子は、「下手の位置で上手への目線」となるから、意味は「不安や寂しさはあるものの、仕事への意識は高く夢や希望を持っている」となる訳だ。
拍手や男たちのざわつく声も立派なBGMに
これで作業の描写は終わりかと思いきや、まだまだあった。このあたりの描写の丁寧さ、ラジオ1台の退場劇もきちんと描く作家魂はスゴイものがある。丁寧な検品作業を終えて、ついに最後の『Apollo社製 AR-64』が完成する。劇伴は無く、女工さんたちのいつまでも続く拍手が至極のBGMだ。
工場の外には、機械を引き取りに来た業者たち。ここは先の拍手でなく、向島電機では珍しい男性たちのざわざわした声で、今日が特別な1日であることを表現。音楽でなくても、十分にその場の雰囲気を盛り上げ、飾ることが出来るってことだ。
豊子で "幸せな騒動" を描くとは天晴だ
ライン長の松下(奥田洋平)と愛子(和久井映見)が、完成品の『AR-64』を女工さんたちに1台1台手渡しするシーンは感動的だ。そして、配り終わった時の松下と愛子の何とも言えぬホッとした笑顔も忘れられない。そして、このまましんみり終わるかと思いきや…
ナント、豊子が工場内に自ら鍵を掛けて籠城?「やだ。絶対やだ!」と工場中の鍵を内側から閉めて回る。おお、ここで “幸せな騒動” の登場だ。恐らく解決は次回の15分間じっくり時間をかけて描くに違いない。これまで優等生をやって来た豊子の反乱。こう言う展開を期待したのだ。
そして、(働いてはいるものの)まだ中学を出たばかりの豊子が大人たち、社会に本音をぶつけるのが、何となく「奥茨城編」での聖火リレー大会のエピソードを思い出させる好展開。やはり、このような “幸せな騒動” を上手に入れて行くことが、本作らしさをより高めると信じてる…
あとがき
まさか、終盤で “幸せな騒動” が起こるとは思わずに、冒頭から録画を見ては止めて書いていたので、驚きました。強引でない騒動の入れ方と、「向島電機編」のラストを飾る騒動の書き始めとしては、期待感も高まり良かったですね。やはり、ドラマらしく魅せるための必要な騒動はあると思います。
また、前回の「夜遊びとラーメンの味、コーラスの乙女たち」の感想に、101回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございました。前回の予想通りに、元気のない豊子がやってくれました。やはり、“幸せな騒動” で感動させて欲しいです。当blogは、引き続き本作を応援します。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
連続テレビ小説 ひよっこ Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 ひよっこ 上
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」1964年の食卓 (TJMOOK)
三丁目の夕日の時代 ’64(昭和39年)篇―写真と資料で読む昭和39年大図鑑!! (C&L MOOK)
NHK人形劇クロニクルシリーズVol.2 劇団ひとみ座の世界~ひょっこりひょうたん島~ [DVD]
朝ドラ~NHK連続テレビ小説テーマ集~
★本家の記事のURL →
http://director.blog.shinobi.jp/Entry/9975/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方は、
http://dmesen.seesaa.net/article/450418241.html でも受付けております。
【これまでの感想】
●[妄想] 「ひよっこ」の昭和40年と言う時代設定に、再び“名作の予感”(2017/05/04)
●[訂正] 「ひよっこ」第36回で、みね子がビーコロを食べたのは "初任給" でした(謝)(2017/05/14)
●「ひよっこ」を2か月間観終えて、今思うこと…(2017/05/28)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
1
2
3
4
5
6
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』
7
8
9
10
11
12
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』
13
14 15
16
17
18
第4週『旅立ちのとき』
19
20
21
22
23
24
第5週『乙女たち、ご安全に!』
25 26 27 28 29 30
第6週『響け若人のうた』
31 32 33 34 35 36
第7週『椰子(やし)の実たちの夢』
37 38 39 40 41 42
第8週『夏の思い出はメロン色』
43 44 45 46 47 48
第9週『小さな星の、小さな光』
49 50 51
- 関連記事