[読書] 映像の原則 改訂版 (富野 由悠季/著・キネマ旬報社) 感想

文章が読みづらいが、初歩的な映像の原則は身に付く
「機動戦士ガンダム」等の作品で、50年近くアニメーション監督をされてきた・富野由悠季氏が、様々なジャンルの映像作品は共通だとして、映像制作に必要な基礎知識、心構え、応用法を解説した本。と書きたいところだが…
実際は、当blogの読者さんを対象に言うと、かなりの初心者から中級程度を自負する脚本や演出に興味関心がある人が読むと面白い本。ただ、1つ大きな問題は、言ってることは正しいことが多いが、文章が読みづらいために、要点が伝わりにくいこと。そこさえ我慢すれば、初歩的な映像の原則は身に付くことは間違いない。
当blogが "演出プチ講座" 風で楽しい人なら勉強になる
特に、当blogでいつも言っているテレビドラマ(に限らないが)の撮影・編集に於ける演出の原則(私は「映像の掟」と言っているが)の内、登場人物の感情を表すための原則(掟)。
例えば、その人物が画面の中のどこにいると希望を持っているように見えたり、どちらの方向を見ていると悲しい思いをしているように見えるか?について、第3章「映像の特性」に詳しく書かれている。
この第3章や第5章「映像の原則」は、常日頃私が当blogで書いてあることが体系的に書かれており、私の感想の投稿を「演出プチ講座」として楽しんで下さっている読者さんには勉強になるはずだ。
あくまでも演出全般の「原則」「作法」の段階を書いた本
ただ、中級以上の脚本を勉強している人や、プロの演出家を目指す人には物足りないだろうし、その立場で読んでいるようでは時既に遅しの内容。本書は、プロの実践マニュアルではなく、あくまで「原則」「作法」の段階を書いた本。また、(特にアニメ制作に於ける)プロの現場でやられていることを知りたい人にはお勧め出来る。
あとがき
全12章立てですが、実写に通じる内容は全体の1/3程度で、あとはアニメ制作のことです。ただ、画面の下手(左側)と上手(右側)が演出的に意味することや、カットの繋ぎ方でどう意味が違ってくるかなどに興味がある人は、読んで損はありません。
当blogの感想を読んで、「面白いな」と思った読者さんなら、「なるほど!」と思える箇所ばかりだと思います。何せ、ブログの文章では伝えるのに限りがありますから。下に挙げた本は私がお薦めの「映像の掟」を別の視点から書かれた良書です。そちらもお薦めしたいです。
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クライマックスまで誘い込む絵作りの秘訣 ストーリーを語る人のための必須常識:明暗、構図、リズム、フレーミング
映画術 その演出はなぜ心をつかむのか
表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
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