ひよっこ (第16回・4/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第3週『明日(あす)に向かって走れ!』『第16回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
奥茨城村の聖火リレーは大成功に終わった。ほんの短い時間だが、その模様がテレビで放送されることになり、みね子(有村架純)の家には宗男(峯田和伸)や、時子(佐久間由衣)、三男(泉澤祐希)、その家族が集まる。かじりつくようにしてテレビを見るが、村のことを少しばかにしたような語り口に、複雑な気持ちになってしまう。そして、村の聖火リレーから1週間後、みね子たちは東京オリンピックの開会式をテレビで見る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
【お知らせ】
前回の感想が、私の投稿ミスで、三男のリレーの部分が削除された状態で投稿してしまいました。現在は、『ひよっこ (第15回・4/19) 感想 ※三男パートの追記あり』と改めた新ヴァージョンになっております。一度、読んで下さった皆さんも、今一度読んで下さるとうれしいです。
「週単位で物語は作らない!」「1話入魂!」の岡田脚本
正直言うと、聖火リレー大会当日を週末まで引っ張ると予想をしていたから、週末まで何を描くのか不安と期待で迎えた木曜日の『ひよっこ』。「週単位で物語は作らない!」「1話入魂!」の岡田恵和氏の言葉通り、まさかテレビ放送されて、みんなで見ると言うエピソードを持って来るとは思わなかった。
火曜日に、青年団の集まりで涙涙の「三男の主張」からのどんでん返しで感動させられ、水曜日には、大会本番日で村人それぞれの “奥茨城村愛” を描いて感動させられ、木曜日には登場人物たちと放送を楽しむと言う感動を与えてくれるとは、岡田恵和脚本恐るべしだ。
テレビ鑑賞会の小ネタを、ほぼ全部完全再現!
本編は、冒頭から小ネタのオンパレード。まあ、1つ1つ挙げて行くのは誠に面倒なことだがやっちゃおう。まず、妹・ちよ子(宮原和)が番組名を読んだだけで、食い付いてくる君子(羽田美智子)と美代子(木村佳乃)。恐らく日本中の視聴者が「小さいだろ!」と突っ込んだに違いない。
ちよ子「人里離れた小さな村でも聖火リレー」
君 子「人里離れた小さな村って、何よ?
そんなに小さくないわ」
美代子「んだよね」
そして、今度は原稿を読んでるだけの男性アナのコメントに、宗男(峯田和伸)が一言。
アナ「その人気に便乗するかの如く、あやかろうと…」
宗男「便乗とか、あやかろうなんつって、
何か棘があんなこの男!な?」
君子「んだよねぇ」
そして、三男(泉澤祐希)と兄・太郎(尾上寛之)のバトルも始まる。そりゃあ、三男渾身の「青年の主張」が兄ちゃんにパクられたら腹が立つのも当然だ。しかし、三男の父・征雄(朝倉伸二)がピシャリと「これが政治」と締めるが、三男が政治のお蔭で成功したのをちょっと忘れてるのが面白い。
太郎「奥茨城も元気でやってるぞと、
村を離れた仲間に伝えたいと思い計画しました」
三男「何だよ、兄貴。いづの間に!
しかも自分が言い出したみてえによ!」
征雄「これが政治っつうもんだ」
三男「また政治かよ!」
本作お約束の三男の時子(佐久間由衣)への切ない片思いのくだりを挟んで、時子に無視された直後に、男性アナからも一撃を食らって撃沈。そして、前回で日本中を涙色に染めた三男の母・きよ(柴田理恵)も息子へ一撃。あー、面白い。
アナ「如何にも農家の三男坊と言う顔をしています」
三男「どう言う顔だ」 きよ「だから、おめえみてえな顔だっぺよ。ハハハ!」
その直後、息子の顔をフォローしなかったしっぺ返しが、きよにも降り掛かる。ここまでノーカットで撮影しているようだから、ここの全員の無言から笑いだすところの緊張感と “間” が実に良かった。
アナ「孫を応援するおばあちゃん。
おばあちゃんは孫の雄姿に感動の涙が止まりません」
きよ「ばあちゃんつったが、今?」
征雄「言ったな。俺はじいちゃんとは言われでねえ」
きよ「どう見ても母ちゃんだぺよ。
ばあちゃんには見えねえよ。んだっぺ?あ?」 全員「…」
しかし、1人1人に小ネタを作ってテキパキと楽しく魅せていくのも結構大変だし、こうして拾い上げるのも大変だが、コント、いや朝ドラ『ひよっこ』のテレビ鑑賞会はまだまだ続く。で、今度は祖父の茂(古谷一行)。ハットを被って余所行き風の出で立ちでテレビに映ってる…
ア ナ「村の重鎮も見守っています」
みね子「重鎮?」
茂 「ながなが分がってんでねえが、この男。な?」
き よ「どごが~?」
そして、前回では学校のシーンで使った「三段オチ」を、今回は妹のちよ子でしっかり笑いを取りに来た。何かいいね、この家族。
ア ナ「おや、めんこいねえ」
みね子「めんこいだってよぉ、ちよ子」
ちよ子「ヘヘッ!分がってんね、ながなが」
美代子「いがったね~、ちよ子」
と思ったら、今度は弟・進(高橋來)の番。転んだ進の映像に、宗男が言う通りに、大袈裟な原稿が付いてきた。でも、こう言うのはローカル情報番組あるあるでもある。そこを上手に使った訳だ。
アナ「村の男の子は、例え転んでも泣かずに
すぐに立ち上がります。
都会のもやしっ子とはそこが違う。
流石、大地と共に生きる逞しい子どもなのです」
宗男「大袈裟だなや、そりゃ」
ここまでまだ6分。今度は時子。男性アナが時子の美貌と女優の夢を大いに語り、みんなも大きく頷いて、ついに小ネタはここまでか?と思った瞬間、男性アナからまた鉄拳が…。まあ、確かに感じ悪過ぎるぞ。
アナ「全国から同じ夢を持って、
おらが村の美人が集結する東京で、
夢の翼が折れないことを
祈ろうではありませんか」
時子「ん…?何か、嫌な感じ」
みね子「んだな」
アナ「それにしても、
戦後生まれの女性のスタイルの向上には、
目をみはるものがあり…」
みね子と時子「お~?」
アナ「どうか、翼が折れないことを祈るばかり」
時子「何度も、鬱陶しいわ!」
さて、いよいよヒロインのみね子の登場だが、ここは可愛らしく自意識過剰で照れるだけ。でも、この位の方が、全体のテンポを考えると、良いクッションになってる。上手いね。
ア ナ「最終走者が女性であると言うのも、
新しい時代の女性を象徴しているかのようであります」
みね子「いやいや、そんなこどねえよ」
で、待ってましたって感じで、今回何かと男性アナのコメントに茶々を入れまくってる美代子と君子にも、男性アナの冷静沈着な声で一撃が…。もうテレビ映りを気にしまくってる美代子と君子に…
アナ「お二人によると、
これでも昔はこの辺りで一二を争う美人であったとか」
君子「これでも昔は…って何よ」
アナ「なかなか美人の多い奥茨城村。侮れませんな」
君子「侮んな!」
結局、美人ネタで母子揃って撃沈した時子と君子。ここまで7分。まあ、登場人物全員にネタを作って当て嵌めて、息もつかない演技で魅せる。これ、登場人物の一人一人が第3週で既に視聴者に定着しているから楽しめるエピソード。そこまで計算している脚本と演出に天晴だ。
テレビが家の中心にあった昭和の家族の風景…
アンカーのみね子が走る場面は、これまでの笑いのトーンからメリハリを付けてシリアスモードへ。思いの他、素晴らしいナレーション原稿にみんなが聞き耳を立ててテレビにかじりつく姿は、正にテレビが家の中心にあった昭和の家族の風景。
そして、宗男が男性アナにいじられない不満をぼやき、時子の父・正二(遠山俊也)はいじられる以前に妻の陰に見切れて映ってるだけとぼやく。「影が薄い」「ばあちゃん」とまた一盛り上がりして、シリアスへ。
昭和には家族やご近所の素敵な時間がたくさんあった…
父の失踪を知らないちよ子と進が、この放送を父親も見たのかみんなに聞くと、一瞬の間があって、茂が「ああ、見てたっぺ、きっと」と助け船を出す。心配な表情に戻る美代子。「んだな!見てだな!」と明るく応えるみね子。納得するちよ子と進。
そして、みんなでおやつを食べるシーン。ご近所さんや親戚が集まる時間。昭和にはたくさんあった素敵な時間だ。状況の音声は無言で、ゆったりとした劇番が流れるて、時間はその夜へ。
45秒間のみね子長めの無言のアップの説得力
もう常連さんはご存じだろうが、演出の福岡利武氏がシーン頭に情景カットを入れる時は渾身の1カット。星一杯の夜空にポツンと細い三日月が上がってる。それを見上がて月明りに照らされたみね子のアップは、上昇志向や希望を表す上手(画面右)向き。しかし、下手と言う位置は恐怖や悲しみや苦しみも表す。
45秒間もの長めの無言のアップだが、どんな台詞や「語り」よりも、みね子の流した一筋の涙でみね子の心情を見事に描いた。月を見上げるみね子の背中が丸まって、長い影になっているのが、何とも寂しいし「がんばれ」と応援したくなる。
あとがき
ラストのある決心をしたみね子の笑顔のアップも印象的でした。やはり、アップは多用せずに、ピンポイントで使ってこそ効果があるってもんです。情景カットの使い方にしても、演出的に安心して観られますね。もちろん、緩急つけた笑いあり涙ありの脚本も素晴らしいし、俳優さんたちも…
それにしても、東京のシーンを一切使用せずに、東京と奥茨城の違いを描いて、比較するのに、この手があったんですね。東京と奥茨城のシーンを行ったり来たりでは飽きてしまいますし、今は「奥茨城編」だから、奥茨城をしっかり描く。だからテレビ放送…。流石です。次回も楽しみです。
急いで書いたので誤字脱字等があるかもしれませんが、本日はこれから仕事なので修正等は遅れると思います。また、前回の感想に、数々のコメントや162回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございます。引き続き、本作を応援していきましょう。
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