ひよっこ (第12回・4/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第2週『泣くのはいやだ、笑っちゃおう』『第12回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
明るく振る舞いながら美代子(木村佳乃)の帰りを待つみね子(有村架純)。そのころ、警察署で途方に暮れていた美代子は、茨城出身の警察官・綿引(竜星涼)から声をかけられる。同郷のよしみで、実(沢村一樹)を捜すのを手伝いたいというのだ。帰郷の前、赤坂の「すずふり亭」を訪ねた美代子は、店主の鈴子(宮本信子)とその息子の省吾(佐々木蔵之介)から、家族の話を楽しそうにしていた実が失踪するはずがないと慰められる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
昭和39年の人の優しさや親切さが、今の心に沁みる…
上手いなぁ…って思う。切実さやしんみりした話に見えないような工夫が。前回の終盤での「いばらぎ」のくだりの続きで、また切実でしんみりした悲しい雰囲気になるかと思いきや、茨城出身の警察官・綿引(竜星涼)が登場。それも、放送回を跨いで今回の冒頭で綿引の方から美代子(木村佳乃)に声を掛けるって流れが。
平成の29年は保護者会会長がその学校の児童を殺める時代。もはや、「人を見たら何と思え」と子どもたちに教えて良いのか分からぬ時代。そんな時代に、昭和39年の人の優しさ、親切さがこうしてポロリと描かれるだけで、「渡る世間に鬼はなし」と教えられる世の中であって欲しいと願うばかりだ。
劇番を止めるタイミングを少しずらしただけで…
そして、赤坂の「すずふり亭」。美代子がマッチを持った瞬間は、ちょっと怪しげな効果音が鳴って オヤッ?と思わせたと思ったら、カットが「すずふり亭」の裏手に切り替わると、コミカルな劇番のイントロだったって面白さ。当然、ボーリングのネタも楽しいし。これらもみーんな、しんみりさせない工夫だろう。
そして、美代子が入店しても、コミカルな劇番が続く違和感を与えて、美代子がお辞儀をする直前に劇番が止まる。この劇番を止めるタイミングを少しずらしただけで、この画面に映る店主の鈴子(宮本信子)とその息子の省吾(佐々木蔵之介)が、美代子の運命を変えてくれるような好印象になる。上手いなぁ。
あの大きく肩を落とす鈴子の姿。忘れられない…
鈴子が預かっていた重箱を美代子に返す。美代子は重箱に夫・実(沢村一樹)の面影や思いを感じてだろう、丁寧に優しく、まるで赤ちゃんの頭を撫でるように触れる…。そんな美代子を見て、鈴子が優しく声を掛ける…
鈴 子「お重。まだお預かりしててもよろしいですか?」
美代子「えっ…?」
鈴 子「ご主人、いつか取りにいらっしゃるって。
だから、そん時までお預かりしててもよろしいですか?
ね?」
美代子「はい。お願い致します」
鈴 子「承知致しました。大切にお預かりさせて頂きます」
いいねぇ、こう言うの。更に母親の気遣いに反応して、省吾が美代子の気晴らしのためだろうか、美代子を夕食に誘う。その一瞬、鈴子が「そうだ!」って感じで息子と美代子を見るのが、この母子関係の良さを丁寧に描写して魅せた。しかし、そんな省吾の提案に対して美代子は…
美代子「あの…あの!
主人が、いつか、家族みんなで
こちらに伺おうって言ってたので。
それまでは、私… すみません」
省 吾「いや、そんな…」
大きく肩を落とす鈴子の姿。忘れられない…
まだ不安定なお年頃のみね子が丁寧に描かれた
場面は、夜の奥茨城の谷田部家。藁を束ねる作業を一人黙々とする祖父・茂(古谷一行)の所へ、寝付けないみね子(有村架純)がやって来る。そして、「んだら、手伝え」とみね子に作業をさせる茂に、みね子がこう言う。
みね子「いいの?私がやって、いいの?」
前回の茂とのやり取りで、両親たちには大人の仲間入りをさせてもらったが、やはりまだ子供らしさが抜けないみね子が描かれた。今回のこのやり取りでも、まだ不安定なお年頃のみね子が丁寧に描かれた。また、1分間にも満たないシーンだが、素敵な谷田部家が見られた良いシーンでもあったことを添えておく。
テレビの中の夜食を持参した鈴子と省吾の優しさが…
夜の上野駅。1人寂しく駅のホームで始発まで待っている美代子のもとに鈴子と省吾が大きな荷物を持ってやって来た。「すずふり亭」の商品で無いから、安心して一緒に夜食を食べましょうと、言いに来たのだ。
鈴子「折角のご縁じゃないですか。
ああ~! 何だか楽しい!」
もう、このシーンに私なんぞの解説は不要だろう。テレビの中の鈴子と省吾の優しさが、テレビの前の私のところにまで、たっぷりと伝わって来た。もう、それだけで十分だ…
みね子の長女としての気持ちを農作業で明るく魅せた!
再び、夜の谷田部家。何本かの藁を1つにまとめて丈夫にする、藁を縒(よ)るみね子の手元のアップが、バラバラになってしまいそうな谷田部家を1つにまとめて元の仲の良い幸せな時間にしたい…そんなみね子の思いを代弁しているように見えた。
みね子の長女としての複雑な気持ちを、農作業で明るく魅せたこのシーンも、上手い!と言わざるを得ない。
みね子が心の中で歌う歌声…何とも情緒あふれる編集だ
上野駅のベンチで楽しく会話する美代子、鈴子、省吾の映像に、スーッとみね子が歌う「ひょっこりひょうたん島」の歌だけが被って来る。すると、カットが切り替わって場面は床に入ってはいるが眠っていないみね子になる。
みね子が心の中で歌っている歌声ってわけだ。何とも情緒あふれる脚本と演出だろう。そして、こう言う編集の技が見られると嬉しくなる。
みね子の決心と、地に根を張った木々の対比がお見事
翌日の谷田部家の田んぼ。学校から帰って来たみね子と、東京から帰り農作業中の美代子が再会する。
美代子「お帰り」
みね子「ただいま…。お帰り…」
美代子「ただいま。みね子…」
みね子「はい」
風で林の木々が大きく揺れて、たくさんの葉っぱが風に飛ばされ行くインサートカット。この先どんなことが起ころうとも、しっかり家族を支えようと決めた様子のみね子の心と、しっかりと地に根を張りびくともしない木々の対比がお見事。
短い台詞に間を持たせて感情表現したのも秀逸。いやぁ、見応えのある15分間だった。
あとがき
凄かったです。奥茨城と東京の二元中継のような編集で、美代子とみね子の母子関係を、鈴子と省吾、祖母の茂を巧みに絡めて、その上で笑いあり涙ありのメリハリと緩急ありの15分。素敵な人間ドラマになっていたと思います。
第2週は、父・実(沢村一樹)の蒸発と、聖火リレーの話が混ざり合って、どちらをメインに描くのか心配でしたが、予告編で第3周に聖火リレーを描きつつ、いよいよみね子の上京、就職の話を絡めて来ることが分かりました。これで、だいぶ安心感が出て来たように思います。第3週も期待します。
最後になりますが、前回の感想に、数々のコメントや109回ものWeb拍手を頂き、ありがとうございます。今週だけで、こんなに多くの方と共感できるなんて嬉しい限りです。今日は午後から遅出出勤なので、コメント等にはぐに返信できませんことご了承下さい。来週も一緒に、本作の世界観を堪能しましょう…
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