ひよっこ (第4回・4/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ひよっこ』(公式)
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』『第4回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
鈴子(宮本信子)に誘われ洋食屋「すずふり亭」に入る実(沢村一樹)。緊張の中、手ごろなハヤシライスを頼み、料理長の省吾(佐々木蔵之介)たちは手際よく調理を始める。鈴子は、実が建築現場で働いてきたことを聞き、東京の街を作ってきた自分を誇りに思ってほしいと語りかける。実は東京に来て初めて心を開いて話せたと感動するのだった。美味しかったと店を出る実に、鈴子は「東京を嫌いにならないで」とあるものを手渡す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
岡田恵和氏の「週単位で物事を考えない」は本当のようだ
今回は、30秒の短いアバンタイトル付き。こう言う構成も編集も上手いものだ。実は(と言う程ではないが)、今回は第4回だから、放送開始からちょうど1時間。いろいろ差っ引くと普通の連ドラの1話分に相当する。そして、第4回はそのクライマックス、第2話を見るかどうか視聴者が決める大事な時間帯だ。
その冒頭で、出稼ぎから家族が待ってる故郷へ帰るはずの父ちゃんが、匂いに誘われて洋食屋に入っちゃう。「おいおい、どうなるの!?」ってことだ。第1回の時に「ツカミはオッケー」と書いたが、1時間枠の連ドラの第1話としても十分成立しているってこと。岡田恵和氏の「週単位で物事を考えない」は本当のようだ。納得。
ついに、沢村一樹さんが田舎のおっちゃんに見えた
そして、洋食屋「すずふり亭」のシーン。個人的なことを言っちゃうと、岡田恵和作品ファンとしては、20年前のあの名作『ビーチボーイズ』で明るくて口が軽い女子高生・裕子を演じた佐藤仁美さんがいるだけで高ポイント。それに、増田明美さんの実況解説風の語りもピシャリとハマってる。
語り「ここ、すずふり亭は、美味しい洋食を
安いお値段で食べられるお店。
“気取らず、美味しく” がモットーなんですよ」
まず、230円のエビマカロニグラタンが高いからと、200円のハヤシライスを注文する実(沢村一樹)の謙虚さが堪らない。前回までは、ちょっとイケメン過ぎて茨城からの出稼ぎには見えなかった実だが、東京弁の鈴子(宮本信子)と掛け合うと、見事に田舎のおっちゃんになるから、俳優の演技力とは素晴らしいものだ。
鈴子の優しいものの考え方、実に良いもんだ
省吾を演じる佐々木蔵之介さんの料理の手捌きもなかなかのもの。そして、ホールのほんわか会話劇と厨房のプロたちの戦争の対比が、両者を引き立ててるし。
鈴子「ボコボコボコボコいろんなものが建ってるけど、
それはお客さんたち皆さんが
造ってくれたもんじゃないですか。
いいんですよ。自慢して下さい。
"あれは俺が造ったんだ" って。ね?そうして下さい」
そして、この鈴子の優しいものの考え方は、2020年に向けても十分通用する台詞。地方があって東京がある。こんな考え方、実に良いもんだ。
「東京、嫌いにならないで下さいね」の笑顔が印象的
で、鈴子の「省ちゃん、例のもの」の言葉だけで以心伝心して出て来たお土産用のポークカツサンド。だから、鈴子は「ご家族は?」って聞いたんだ。きっと、この洋食屋はこんなことをいつもやってるに違いない。「東京、嫌いにならないで下さいね」の鈴子と省吾の笑顔が優しい良いシーンだ。
待ちわびる家族たちは、敢えてフルショットで描く
一方の奥茨城村では、待ちくたびれたシケタ顔のちよ子(宮原和)と進(高橋來)が「まだ来ねえ」と言うのが妙に可愛らしい。先の洋食屋が登場人物のアップ続きだったのに対して、待ちわびる家族たちはアップでなくフルショット(全身が映ってる)で、身体全体で待ってる気持ちを表現。時を知らせる柱時計のアップもない。
そして、バスもフルショットで下手(画面左側)から上手(画面右側)に向かって登場。バスを見つける三姉弟も最初は上手向きでお出迎えだ。当blogの常連さんなら、これが明るい話の兆しを表現していることは、十分承知だろう。こんなところにも奇を衒わない堅実な演出が見て取れる。
有村架純さんの存在感で次回が観たくなる結末になった
夜の畑のシーンは美しかった。月明りで僅かに照らし出される畑と、奥の家の昼光色の明かりで描く奥行き感。草を踏む音もしっかりと。茨城の土の匂いが、テレビの外まで漂ってきた。そして一瞬、土で汚れた手を嬉しそうにみね子(有村架純)に見せる実の笑顔が、みね子の心をザワっと動かした。
みね子(M)「この時私は自分が総理大臣とかになって
農家の人が農家ができるようにしたい
と思いました。なれないけど」
ストレートに父への気持ち、農家の人への気持ちが伝わる台詞だ。今回のYahoo!テレビのあらすじには登場しなかったみね子だが、最後のこの台詞1つでヒロインの存在感を魅せる。脚本も演出も良いが、このモノローグが被る有村架純さんの女優の存在感がいい。次回が観たくなるエンディングだった。
あとがき
前回も書いたように、どんどん前作の悪夢と苦行が浄化されているので、敢えて前作の事を書きます。前作での第4回(感想)はすみれ(渡邉このみ)が入院中の母・はな(菅野美穂)に会いに行き、幾度となく作り直した刺しゅうを手渡し、それを見たはなが「べっぴんやな」と喜ぶ話でした。
そして、「四つ葉のクローバーの意味」が初めて登場するのもこの第4回。ヒロインの成長をしっかり描きつつ、母との絆を描いた放送回でした。そして、第5話(感想)は、はなが “想い” を込めて作った大きな刺繍のタペストリーが登場し、娘たちに「またね」と言った母との結果的に最後の家族の会話のシーンもあった。
そして、私の感想は「半年ぶりに普通の朝ドラで毎朝を迎えられそうです」と括られていました。しかし、その半年後にまさかの駄作になるとは…。本作も実に良い流れで来ています。ただ、まだ安心は出来ません。でも、前作は序盤戦で息切れしそうな雰囲気がありましが、本作にはそれがありません。それが救いです…
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【これまでの感想】
第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』
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