嘘の戦争 (第9話/15分拡大版・2017/3/7) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・『嘘の戦争』(公式)
第9話/15分拡大版『最終章へ恩人に復讐…宿敵一族と全面戦争に』の感想。
なお、『銭の戦争 (第11話 最終回・3/17) 感想』あります。また、「草なぎ剛」の「なぎ」は “弓ヘンに前の旧字の下に刀” です。
二科(市村正親)に会いに行った浩一(草なぎ剛)は、録音の他にも二科家の大きな秘密を握っていると告げ、揺さぶりをかける。一方で、浩一は弁護士に成り済まし、守(大杉漣)の娘・由美子(国仲涼子)に接近。守に復讐するため由美子の縁談をぶち壊しにするつもりだ。ハルカ(水原希子)は、恩人の守をわなにはめようとしている浩一に協力する気になれない。同じ頃、百田(マギー)が浩一の目を盗み、隆(藤木直人)のために動きだしていた。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
最終回直前で悪魔の中に残されていた人間性を描く絶妙さ
演出は、当blogでは人気の高い宝来忠昭氏ではなく三宅喜重氏。だが、三宅氏がスゴイ演出を魅せてくれる…
内容は、サブタイトル通りに、本丸との直接対決の前に、まずは恩人への復讐で腕試しと言ったところだろうか。とにかく、全10話の構成がお見事。悪魔と化した復讐の鬼を、ラスト2話で成仏させる単純な展開でなく、第9話で悪魔の中に残されていた人間性を描くとは。まあ、内容については追々書いていこう。
"いいひとオーラ" 全開の草なぎさんの演技が光った
さて本編。面白過ぎる上に丁寧に仕上げられており、どこから感想を書いて良いのは分からない。まず、序盤で興味深かったのが、浩一(草なぎ剛)が守(大杉漣)の娘・由美子(国仲涼子)に接近し、振り込み詐欺のネタでいとも簡単に由美子を罠に落とすくだり。“いいひとオーラ” 全開の草なぎさんの演技が光ったシーンだ。
国仲涼子さんとの再共演 関テレの粋な計らいに拍手
また、「俳優・草なぎ剛」の応援団としては、2003年放送の『太閤記 サルと呼ばれた男』以来の共演となる国仲涼子さんを、守の娘に配役した関テレの粋な計らいに拍手。芯が強そうで母親のような優しい役を演じたら抜群の国仲さんの配役はお見事。面白いドラマは、ゲスト俳優の手配にも抜かり無しってことだ。
主役の草なぎさんを "出演者らの芝居合戦" で盛り立てる
前回のあとがきで、「出演者全員の芝居合戦であり、主役の草なぎさんを全員で盛り上げようとする雰囲気」と書いたが、その意味では、隆(藤木直人)が中心となった二科家が、浩一を「刑務所にぶち込もう」と反撃するのも見応え十分。
特に、泣き崩れてボロボロの晃(安田顕)が幾度も登場するが、その度に安田顕さんの迫真の演技に息を飲んだのは言うまでもない。
無表情→微笑み→無表情→怒り 浩一の苦悩を巧みに表現
また、久し振りの娘との電話に喜んだり、古いアルバムを見ながら娘との楽しい思い出に浸っている園長・守の笑み。大杉漣さんの多種多様な演技の幅の広さに改めて驚かさせる。
が、そこに登場する浩一の眼光が、一瞬煌めくかの如く悪魔を魅せる。無表情→微笑み→無表情→怒りと微妙に変化する草なぎさん表情が、浩一の心の苦悩を巧みに表現していく…
本気で浩一を思う2人の "女のもどかしい気持ち" が見えた
さて、今回は楓(山本美月)とハルカ(水原希子)の2ショットの長めのシーンがあった。世間一般では、演技ベタとさせる山本美月さんとアンチファンの多い水原希子さんと言う女優のしーんだが、この2人ですら(失敬)しっかりと芝居合戦になっている。お互いに本気で浩一を思う2人の女の、もどかしい気持ちが見えた。
特に、深夜の川辺で浩一と楓が話すシーンは良かった。一方的に自分が言いたいことを言う楓を、薄っすらと充血させた目で楓の嘘を見抜き落胆する浩一。第9話の草なぎさん、くるりと向きを変え立ち去る芝居が妙にハマってる。
何度も登場する動作だが、それぞれ微妙な違いを見せてくれたお蔭で、浩一の変化が手に取るように伝わって来た。
ホテルのラウンジでの写真バラマキの編集が、秀逸過ぎる
そして中盤。このまま振り込め詐欺ネタでとんとん拍子に浩一の思い通りに復讐が進むか思いきや、たった1枚の写真の裏書きで浩一の計画に狂いが生じる。いや、正確には浩一の中の良心が、悪魔の心を狂わせたのだ。
そんな浩一の内面の大きな変化を、ホテルのラウンジでの写真バラマキの編集が秀逸に描いた。『銭の戦争』から続く演出・プロデューサーの三宅喜重氏と、主演俳優の草なぎ剛さんの演技が見事に合体した、スリルとサスペンス性に富んだ傑出なシーンだった。
悪魔の中に残されていた人間性が描かれた瞬間に号泣だ
更に直後、屋外での浩一と守、2人の本音のぶつかり合いも良かった。そこに、由美子がやって来て、浩一が言うこの台詞に号泣だ。
浩一「長い間、お父さんをお借りしてすいませんでした」
三瓶「浩一君…」
浩一「もう俺、大丈夫なんで」
悪魔の中に残されていた人間性が描かれた瞬間だ。涙をグッと堪えた笑顔で、守たちに背を向け、力強い足取りでそのまま去っていく浩一の後ろ姿。それを見て「これからは私がお父さんを…」と言わんばかりに由美子が守の腕にそっと掴まる。この親子は親子で、父親と娘の関係の再構築が始まる。
そんな晴れ晴れしい父娘の出発の後ろ姿に、やさしい微笑でエールを送る浩一に、もう一度泣いた。
二科家と浩一の闇の深さと怒りの強さの真向対決の幕開け
そして終盤。興三(市村正親)の記者会見からのどんでん返しの始まりは、正にスリリングな展開。隆と手を組んだ百田(マギー)とカズキ(菊池風磨)に見事に、してやられる浩一。二科一族と一ノ瀬浩一の闇の深さと怒りの強さの、まさしく真向対決の幕開けだ。
“詐欺師は詐欺師らしいやり方で30年前を終わらせる” ことは出来るのか?最終回まで1週間もある…
あとがき
書きたいことが多くて長文になってしまいましたが、これでもまだ言い足りないくらいに面白かったです。15分拡大も全く苦痛無しで、むしろもっと見たくなった程。そして、今回も草なぎさんの座長としての信頼性や統率力による、スタッフとキャスト全員参加での完成度の高いドラマづくりを堪能できて良かったです。
さあ、最終回も15分拡大版。一体どんな結末が待っているのでしょう。また長い1週間の始まりです。
最後になりましたが、前回の第8話の感想記事に、379回ものたくさんのWeb拍手を頂きました。9,000を超える投稿中で第6位です。皆さん、ありがとうございました。
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