べっぴんさん (第119回・2/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第21週『新世界へ、ようこそ』『第119回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
「キアリス」の新入社員採用の最終試験は、公平性を保つため、無記名で行われた。その結果、すみれ(芳根京子)と君枝(土村芳)は優秀な成績を残したさくら(井頭愛海)と健太郎(古川雄輝)の入社を受け入れる。そして時は流れ、大阪万博が開幕。関連番組には大手商社「KADOSHO」社長・古門(西岡徳馬)と「エイス」の社長・栄輔(松下優也)の姿が。栄輔は時代の波に乗り、大きく成長していた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
映像で、子どもたちの実力を見せて欲しかった
前回の感想でもチラッと書いたが、さくら(井頭愛海)が桜の木の下で遊ぶ犬の絵が、「凄いと思います」と言われる説得力を感じないのは、私に絵画の才能が無いからだろうか。せめて「凄い」部分が何かを、誰かに言わせた方が良かったのでは?
でなければ、さくらとと健太郎(古川雄輝)が縁故採用でなく、実力でしかも優秀な成績で入社したをはならないのでは?すみれ(芳根京子)が女性社員3人に「特別扱いは無い」と説明する暇があったら、その前に視聴者に子どもたちの実力を見せて欲しかった…
土田君で、大酒のみで愚痴って辞めた新入社員を思い出す
とは言え、さくらと健太郎の入社のくだりなんて、さっさと片付けて欲しいと言う思いもある。でも、ここでまた脚本家の “グセ” 「騒動至上主義」が出た。間が持たなくなると騒動を入れて来て尻切れトンボで終わらせる。以前の大酒のみで愚痴って辞めた新入社員を思い出す。さて今回の土田君(中山義紘)が二の舞でないことを祈る…
喜代がすみれに、すみれがさくらへ字を教える回想が…
すみれ「はい。字は 人となりを表します。
伸び伸びとした字を書く人は
やはり 伸び伸びとしています」」
もう、笑うしかない。第1話から見ているが、いつどこで字の大きさとその人の人格に関連があるようなエピソードがあったろうか。せめて、すみれの幼少期に喜代さんが、さくらの幼少期にすみれが「字は、人となりを表しますよ」と教える回想シーンでも入れれば説得力を増したのに…
そもそも、すみれの手書き文字すら、見た記憶も乏しい状況で笑うしかないのだが、この土田君、本作のボロを次々と出すと言う才能を持ち合わせているようだ。次のすみれの台詞なんて大笑いするしかなかった。
「何か、何かなぁ」から、すみれが訓練し成長したなら…
すみれ「他人への思いやりを持った上で
簡潔 明瞭に自分の事を伝える
訓練をされたらいいと思います」
そもそも、我が子の子育てに於いて「他人への思いやり」を教えるのを失敗し、自分の口癖が「何か、何かなぁ」といつも自己主張が曖昧だったすみれが、この台詞を言うかと呆れてしまう。百歩譲って10年程の時間経過の間に、すみれが訓練し成長したと言うなら、ぽっと出の台詞でなく、映像で描くべきだった…
そして、予想通り「土田君の乱」は主題歌挟んで僅か5分で終了。本当に適当だ。
紅茶にシナモンスティックのカットを入れたのは褒めたい
さて、「土田君の乱」も終わり、なぜここで、さくらの絵を見て紅茶を飲んだのかわからないが、唐突とは言え紅茶にシナモンスティックのカットを入れたのは褒めておく。何かを飲ませないと演技で間が持たない演出の苦肉の策だろうが。
次のシーン、昭和45年(1670年)3月が「旧キアリス本店」であり、元靴店「あさや」の店頭ショーケースで始まったから、ものづくりの師匠・麻田茂男の思いを重ねてで、トランペットの音色で『新世界へ、ようこそ』を描こうと言う努力のあとは見えた。演出家ががんばった成果だろう。
あれだけ大騒ぎした "あのひと" がいない!?
折角、今回は2つも褒める部分があったのに、今回の見所であり大切なシーンでボロが出た。それが、すみれ宅にみんなが集まって大阪万博開催のテレビを見るシーンだ。テレビを見ずに当blogだけを読んでいる方向けにそのシーンを貼っておくが、私の言う “おかしなところ” が見つかるだろうか。
家の居間で万博開会式のテレビ番組を食い入るように見るすみれたち ©NHK(無断転載)
身内でない人事部長の中西(森優作)がいるのに、武(中島広稀) の見合い相手・たみ子(鎮西寿々歌)の姿が見えないのだ。あれだけ大騒ぎした上に、明美(谷村美月)の驚愕な一面まで描いたタケちゃんの見合いの相手はなぜ不在なんだ?まさか、結婚していないとか?気になってしょうがない。結局あれもただの「騒動」だったのか?
勝二の喫茶店開店の話を、前倒しにやるべきだった
そして、終盤で勝二(田中要次)が元靴店「あさや」の場所で、喫茶店を始めると言う。その理由が下の勝二の台詞だが、ここでもおかしなことに気付いてしまった。
勝二「働くみんなが おいしいコーヒーを飲んで
ちょっと休める場所が出来たらなと…」
喫茶店と言えば、本作には既に喫茶「ヨーソロー」が登場済みだ。「さくらの乱」によって “ちょっと休める場所” にはならなかったが。前にも書いた通り、私は一か月半にも及んだ「さくらの乱」は不要だったと考えている。
しかし、もし今回の勝二の喫茶店開店の話が当初から盛り込まれていたのなら前倒しして、喫茶「ヨーソロー」の経営者が勝二であったら「さくらの乱」も有用な意味と可能性を持つことが出来たのではないだろうか。
親が働く店に集まる子どもたちが、そこで出会った大人たちに刺激を受け、人生を学び自分の人生も考えていくみたいな、親と子、家族の物語のもう一つの舞台になった可能性だ。そうすれば、男会の存在も、二郎と五月の騒動も、さくらの家出もいろんな意味を持ち、武の見合いもそこでやれば、更に物語の連続性が出て来る。
しかし、それをやらなかったのが脚本家の渡辺千穂氏だ。素人でも思い付くことをなぜやらない、いや、やれないのだろうか。もしかして、例のゴリ押しか…ホント、泣けてくる。
あとがき
はな(N)「親子だからこそ決して甘えさせないと
心に誓っているすみれなのでした」
この、はなの「語り」も取って付けたようでしたね。そして、あのさくらの「よろしく」的な場面なのにドヤ顔み見える映像。もはや、すみれのキリッとしたように見せてる演技の方が自然に見えてしまうと言う何とも不可思議な状況になってきましたね。
何とか “親子” をキーワードに、ヒロインの座をすみれが取り戻して欲しいです…
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
31 32
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
87 88 89 90 91
第17週『明日への旅』
92
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第18週『守るべきもの』
98
99 100
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103
第19週『希望』
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第20週『旅立ちのとき』
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第21週『新世界へ、ようこそ』
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