べっぴんさん (第118回・2/22) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第21週『新世界へ、ようこそ』『第118回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
「キアリス」新入社員採用試験を行っていたすみれ(芳根京子)や紀夫(永山絢斗)たち。身内であるさくら(井頭愛海)と健太郎(古川雄輝)を採用するかどうかで、人事部長の中西(森優作)と意見が割れていたが、義兄の潔(高良健吾)の助言を受け、最終的には試験を受けさせ、実力を観て判断するということに。試験は公平性を保つため無記名で実施。果たしてその結果は…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
この紀夫の台詞は、"一本筋が通ってる" と褒めておきたい
実は、このすみれ(芳根京子)が「キアリス」に入社するしないのくだりについて余りに史実と違うから、昨日の『拍手コメントへ返信 (2017/2/21の分) ※『べっぴんさん』の史実に触れています。』で私なりの史実の解釈を書いた。
まあ、要約すると、紀夫のモデルである坂野通夫さんがファミリアの社長をしていた時代、通夫社長は馴れ合い体質を嫌って、身内を入社させないと公言していたとのに、身内を入社させることになったと言うエピソードが基礎になっている。アバンタイトルでも、紀夫(永山絢斗)がこう言っていた。
紀 夫「社員の士気が下がる。
どんなに頑張っても社長や役員には かなわへん。
そんなふうに思うたら…。
頑張るのもアホらしくなるかもしれん」
すみれ「さくらかて そんなふうに見られるのは 嫌でしょう?」
紀 夫「自分の子を入れるには会社が大きくなり過ぎたんや」
この紀夫の台詞を入れたのは良かった。世間では「父親の後継ぎの二代目社長は社を潰す」なんて言うことがあるが、紀夫は以前からすみれ(芳根京子)たちが店内で慣れ合っていたのもいたのも毛嫌いした男だから、ここの台詞はこの脚本家にしては一本筋が通ってると褒めておきたい。
45歳でも、お花畑&お嬢様気質が抜けないすみれと君枝
ただ、問題なのは、お花畑&お嬢様気質が45歳になっても抜けないすみれと君枝(土村芳)だ。すみれは夫のこの気持ちを察しておきながら、さくらのことしか目に入っていない。君枝も「キアリスに健ちゃんはもったいない」と親バカ丸出し。紀夫社長の気持ちの気の字も汲み取っていない。夫の昭一(平岡祐太)も同様だ。
先の「会社が大きくなり過ぎた」と言う紀夫の台詞に対して、この場面でのすみれと君枝の発言は、役員として “大きくなり過ぎた” と言う意味合いを全く感じない。きっと、彼女たちにとっての「キアリス」はただの職場であり、会社経営の一役を成すと言う意識が欠落しているのだろう。企業ドラマとしては致命的と言わざるを得ない。
最終面接の会場でも、おかしなことばかり…
主題歌明けは、最終面接の会場。何と、人事部長の中西(森優作)が社長らに無断で最終面接合格者10名にさくらと健太郎を加えて、12名に。「まあ ええやない」と、本作では人事権が人事部長に一任されているとは描かれていない状態なのに、奇妙なことを言い出す明美(谷村美月)。こう言う中途半端が一番嫌いだった明美が…
脚本化、映像化すべき部分を台詞で手抜きした脚本家
もう一々台詞を拾うのが面倒になってきた。なぜなら、すみれと健太郎が「キアリス」に絶対に入社したいと言う理由に腹が立ってしょうがないからだ。だって、そもそも、「母親の背中を見て」と言う部分を映像化すべきところを、こんな簡単に脇役の脇役の台詞でさらっ~と手抜きしているのだから、脚本家として許せない。
こんなの、例の「さくらの乱」の一か月半をバッサリ削除して、さくらと雄一郎の「キアリス」でのアルバイト、「キアリス」で働くためにさくらは美術を勉強し健太郎は英語を勉強し、二人で見聞を広めるために留学。そんな同じ目標を持つ同士が恋人同士になり、正式なルートで入社願書を提出でも良かったのでは?
なぜ、さくらに台詞を割り振らないのか?
また、健太郎を演じる古川雄輝さん、この長台詞を頑張ったと言っておきたい。普通ならさくら役の井頭愛海にも台詞を割り振って、自分たちの子どもの成長を肌で感じて、「キアリス」も違った形で成長せねばと思い改めると言う展開なら納得しやすいのに…
何故か井頭さんは目をきょろきょろさせて仏頂面で泣き顔で終了。私が社長なら、社長権限で健太郎だけは3か月試用期間で働かせるが。それに、健太郎の演説のあとに、明美が「親族と言うだけでは不採用にはでけへん」と良子(百田夏菜子)と武(中島広稀)に賛同を促すが…
すみれや君枝の本心は、入社させたいのか?
私が解せないのは、果たしてすみれと君枝と紀夫は我が子を「キアリス」に入社させたいと思っているのかが、全く描かれていないことだ。映像も演技もどっちつかずになっていた。ここはハッキリと描くべきではないだろうか。でないと、やっとすみれが発した「お願いします!」が、一体誰に向けての言葉なのか、それすらも見えてこないから。
さくらがゆりを経由して潔にお願いしたら良かっただけ
まあ、何だかんだで結局、紀夫の一言で二人の入社が決定。この話こそ、史実に基づいて、さくらと雄一郎がゆり(蓮佛美沙子)経由で潔(高良健吾)に父親たちの説得を願い出れば良かったのでは?さくらが、「さくらの乱」の時にゆりが自分を受け入れてくれたことを思い出せば、不自然でないはず。
いや、実は史実を知っていた身としては、「さくらの乱」こそ、人間関係(登場人物間の)が乏しいさくらの交友関係を広げる作戦だと思っていたし、この入社騒動解決のために、ゆりの家に逃れたと思っていた。しかし、その予想は見事にハズレた。だから、「さくらの乱」なんて無ければ良かったと言うのだ。
最後のお絵描き発表会も、茶番劇で終了…
そして、最後のお絵描き発表会。もう脚本家も疲れちゃったのだろうか。演出家も面倒くさくなったのだろうか。一枚一枚の絵に対する感想もちらほらで、ほぼBGMで誤魔化した。もちろん、脚本執筆時には絵が無いから仮の台詞だとしても、やはりここは「自社愛」を描く意味で、きちんと台詞を入れて欲しかった。
と言っても、さくらが書いた絵が、桜の木の下で親子の犬が遊ぶと言う自己アピール満載だし、他が全員色鉛筆なのに、さくらの桜の絵だけが色鉛筆でなかったような。なんか、なんかなぁ~
あとがき
最初から、この「さくらの入社騒動」をやるつもりだったら、健太郎が言っていた、“親の姿を見て” とか “アルバイトで” の部分を映像化しなかったのは決定的な失敗ですね。家出も妊娠も東京も全部要りませんでした。
そして、どんなにさくらが泣きべそかいて良いこと言っても、一か月半でべったりと染み付いたさくらへの嫌悪感はもう拭えません…
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上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
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連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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第7週『未来』
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第8週『止まったままの時計』
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
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第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
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第17週『明日への旅』
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第18週『守るべきもの』
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第19週『希望』
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第20週『旅立ちのとき』
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第21週『新世界へ、ようこそ』
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