べっぴんさん (第113回・2/16) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第20週『旅立ちのとき』『第113回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
明美(谷村美月)の思いを知った武ちゃん(中島広稀)は、すみれ(芳根京子)たちの仲介で縁談を進めることを決意する。ところがお見合いの当日、明美がすみれたちと同席したいと言いだし…。一方、君枝(土村芳)の息子・健太郎(古川雄輝)も将来について悩んでいた。一人息子として家から通える関西の大学を受験して欲しいと願う家族に、本当は東京の大学に行きたいと考えている健太郎は自分の思いを告げられず…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
思い入れのある明美と武のエピソードの方がマシ…?
お酒好きの私としては、あんな辛気臭い乾杯のシーンで朝ドラのファーストシーンを飾って欲しくないのだが。しかし、殆ど思い入れのない脇役の反抗期や妊娠の話を一か月以上もダラダラ放送されるよりは、思い入れのある明美(谷村美月)と武(中島広稀)のエピソードの方がマシ。そんなことを感じたアバンタイトルだった。
買い物客がカメラ目線で紙袋を見せたカットは一体何?
さて、主題歌明けの大急百貨店での買い物客たちがカメラ目線で、「キアリス」「大急百貨店」「エイス」の紙袋を見せたカットは一体何?まさか、美術スタッフが紙袋を作りましたってお披露目?全く意味が分からない。普通に、店内を紙袋を下げたエキストラを歩かせれば、顧客満足は表現できるはずだが…
皇室御用達の企業の部長の見合いが、ジャズ喫茶?
すみれ(芳根京子)が「見合い結婚も悪くないわよ」的に武を説得していたが、昭和30年代後半ではまだまだ見合い結婚は普通だったのでは?ちょこちょこと、現代風解釈を入れるのは、この脚本の悪い癖だが、これも最後の最後まで変わらないだろう。
ところで、変わると困ることもある。冒頭で、思い入れのある登場人物のエピソードの方がマシと書いたが、逆に思い入れのある登場人物が突然にキャラ崩壊するのを見るのは辛い。今回、当初の人物設定から大幅に変更になったのが明美だ。番組を見ずに当blogだけ読んで下さる読者さま向けに、あとで詳しく解説するが…
その前に。この時代に皇室御用達の企業の部長が、取引先に務める女性とお見合いするのがジャズ喫茶「ヨーソロー」って?普通は料亭だろうに。美術スタッフも紙袋を見せびらかすなら、ここはパリッとした料亭の一部屋の美術セットを建てて、鹿威しの効果音でも付ければ、どれだけ印象が良かっただろうに…残念。
ついに、明美が完全にキャラ崩壊か?
で、キャラ崩壊の明美だが、流石に武の見合いに飛び入り参加は、もはや嫌がらせか無神経かストーカーかって話。まあ、このシーンは不可思議なことばかりで一々上げるとキリがないが、やはり一番は、明美がお誕生日席で事前に手帳にメモ書きしてきた「武の長所」を箇条書きで読み上げ、「友人代表」と名乗って退席って何?
ちょっとした所で、 "思いやり" の無さが印象づくから…
それに、いくら武と見合い相手が大分の同郷だからと、わざわざ二人だけが方言で喋るのは不自然では?それを言ったら、15年近く神戸に住んでいるにも関わらず、方言が抜けない武もいかがなものだが。
普通は「あとはお若い者同士で…」なんて流れになって、二人きりになったら「社長がおって緊張した」と二人が方言になったらどれだけ微笑ましいシーンになっただろうか…ここも残念。
まあ、「あと、タケちゃん歌もうまいな。歌ってさしあげろ」と言う社長の紀夫(永山絢斗)も、あなたは「坂東営業部」時代に大勢の聴衆の前で緊張して喋ることが出来ず、潔(高良健吾)たちに迷惑掛けたのを忘れたのかと言ってやりたし。すみれも「よく歌ってるなぁ」と煽るも嫌な感じ。
こう言うちょっとした所で、すみれだけでなく紀夫や明美の “思いやり” の無さが印象づいてしまう。そんなことも、まだ脚本家も演出家も理解していないのかと思うと泣けてくる。
はなの「語り」が大袈裟すぎないか?
はな(N)「長い片思いの終止符に
一人 祝杯を挙げるタケちゃんなのでした」
見合いが無事に終わったその夜。店先の縁台で「月見酒」よろしく一人座って酒を飲む武。普通の感覚では、武も初お見合いで緊張しただろうし、お付き合いを決めたと言う安堵で酒を飲むのは理解できる範囲。しかし、“やらんでええことをやる” のがこの脚本家。やるべきことをやらないのがこの演出家。
まず、このはな(菅野美穂)の語りの大袈裟さ。中島広稀さんも満月も野良猫のも、そんな堅苦しい思いは演じていなかったように見えたが。あくまでも「いろいろあったが、良かったなぁ」程度。折角、最近は「語り」が少なくてよしよしと思っていたのに。
明美に浴衣を着せるより、武のワイシャツを脱がせて…
このシーン、私なら、武こそワイシャツを脱がせて、風呂上がりの一杯を祝杯にするんだが。だから、銭湯帰りで浴衣姿の明美も無い方が良かったと言う判断。それに浴衣の明美のお蔭で、明美が余計に自分勝手で好き勝手な未婚女性に映ってしまったではないか。どうして、“やらんでええことをやる” のだろう。
健太郎が入学願書を見つめるシーンで苦笑…
そして、「昭和37年 秋」に時間経過。物語は再び脇役の脇役のお話へ。
君枝(土村芳)の息子・健太郎(古川雄輝)が東京大学の白紙の入学願書を見ながら、将来を悩んでいる、そんな場面なのだろう。しかし、映像が健太郎と願書を単純にオーバーラップさせるから、まるで死んだ人の遺した生前の手紙を読んでるように映ってしまったのは雑だし苦笑しかない。
まさか、次はさくらと健太郎のお受験と恋バナなのか?
はな(N)「人生の岐路 悩みながら 迷いながら
見つけ出す 一つの道」
す み れ「さくらの花を咲かせて下さい」
はな(N)「その道を進むためには
(ここに、健太郎とさくらの会話が挟まって)
健太郎君も また 人生の岐路に立っています」
どうやら、脚本家は、明美と武をさっさと片付けて、物語を「キアリス」に戻さずに、さくら(井頭愛海)と健太郎のお受験と恋バナまで描きそうな気配を漂わせてきた。その上、さくらにとんでもない台詞を書いた。
さくら「言うてみて。私たちの仲やない。幼なじみやろ」
おいおい、幼馴染だから何でも相談しろって、さくらと健太郎はそれ程に心を許した仲だったろうか。確かに「さくらの乱」は、健太郎がさくらをかなり心配していたようには描かれていたが、反対のさくらが健太郎をなんて部分はほぼ描かれてはいないはず。なのに、あのゴリ押しのアップで…。今日はもう止めよう。
あとがき
今回の15分間も「キアリス」は全く描かれませんでした。もはや、あの「事務所」も単なる舞台セット。本来は、“物語の舞台” になるはずなのに…
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29 30
第6週『笑顔をもう一度』
31 32
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
44 45 46 47 48
第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
87 88 89 90 91
第17週『明日への旅』
92
93 94 95 96 97
第18週『守るべきもの』
98
99 100
101
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第19週『希望』
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第20週『旅立ちのとき』
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