べっぴんさん (第107回・2/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第19週『希望』『第107回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)の店でアルバイトをするようになったさくら(井頭愛海)は、妊娠中の友人・五月(久保田紗友)を助けるため、ある提案をする。一方、洋服メーカー「オライオン」社長の潔(高良健吾)は、かつて闇市で苦楽をともにした盟友・栄輔(松下優也)から業務提携の話を持ちかけられ、悩んでいた。若者に大人気の「エイス」ブランドの圧倒的な集客力に魅力を感じていた潔だったが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
本作の現状には "3つの違和感と疑問" が存在する
アバンタイトルで、良子(百田夏菜子)が、まるで腫れ物にでも触れるようにさくら(井頭愛海)に接しているのと、いやにニコニコしているさくらを見て感じたのが、本作の現状には3つの違和感と疑問が存在するってことだ。
さくらの家出の理由は、母の・すみれ(芳根京子)が自分との約束を守ってくれないことと、それを黙認していた父・紀夫(永山絢斗)への反抗だったと記憶している。
1つ目の違和感と疑問:家出の根本解決はしたのか?
だとしたら、まず1つ目の違和感と疑問。それは、家出の根本解決はまだではないかってこと。一見「さくらの乱」は静まったように描かれているが、両親へのわだかまりが解けなければ、根本解決とは言えない。
と言うことは、まだまだ根は深いってことだ。これ、いつまでさくらにヒロインの座を乗っ取らせたまま進むのだろう?むしろ、そんな要らぬ心配をしてしまった。しかし、今回の終盤でおかしなシーンがあるが、それは後程に触れるから、話を進めよう。
2つ目の違和感と疑問:社長令嬢扱いと社長令嬢意識
さて、前述のさくらと良子のやり取りも前回の大急百貨店でのくだりも、好意的に解釈すれば、周囲の大人たちがいろいろ傷ついたさくらを見守ってると言うことなのだろう。しかし、さくら本人はと言うと、ほぼ会社見学状態。アルバイトをしているようには全く見えない。
ここに2つ目の違和感と疑問。いや、取り返しのつかないものを感じざるを得ない。なぜなら、この1か月で私に根付いたさくらの印象は、自分勝手で聞き分けのないのお嬢様。だから、嫌がらせ目線で見れば、そんな社長令嬢がバイトに来たとは言え、全員が “社長令嬢扱い” をしているだけに見えてしまったのだ。
もちろん、終盤で五月(久保田紗友)を「キアリス」で雇ってくれないか?と言うさくらの提案も、完全に自分自身が社長令嬢であることを意識している風にしか見えなかったし。そもそも、反抗期の娘が自分の親が経営する会社でアルバイトをするかと言う根本的な疑問もあるが。
なぜ、額に汗してバイトするさくらを描かないのか?
どうして、すみれが、龍一(森永悠希)と健太郎(古川雄輝)たちと分け隔てなくアルバイトをさせる姿を描かないのだろう?武(中島広稀) と一緒に荷物運びでもして、額に汗するさくらのカットをアバンの1番目にしたら、どれだけさくらのイメージアップになったろうか。だから、取り返しがつかないのだ。
もちろん、五月とさくらを交換して、さくらが「エイス」でアルバイトをしたら、今回の中盤で描かれた「オライオン」と「エイス」のくだりにも、広がりや奥行きが出ただろうに。時既に遅しだが。
3つ目の違和感と疑問:母と娘の関係しか描かないこと
3つ目の違和感と疑問は、脚本が “母の背中を見て育つ娘” と “娘の変化を喜ぶ母” の2つしか描いていないことだ。先に書いたように、「さくらの乱」は密かに継続中で、さくらは両親と対立し反抗しているのに、終盤での紀夫とさくらのやり取りを見る限り、父との対立構造は微塵も感じ取れなかった。
一体、これはどう解釈すれば良いのか?実は、前回で潔とゆりに説得されたさくらは、両親への反抗を止めたってこと?それなのに、ゆりの家で居候?うーん、分からない。と言うか、この脚本家の画竜点睛を欠く癖が良くないのだ。要は、綿密さが足りない。経過を描かないからそうなるのだが…
あとがき
4つ目の違和感と疑問がありました。栄輔(松下優也)がズボンのポケットに手を突っ込んでるのは、以前に石原裕次郎さんの真似で時代設定的にかっこつける演技でしょうがないと書きましたが、今回は「キアリス」の店前を歩くコックさんも、家の中で紀夫まで。偉そうにしているだけで、誰得なんでしょうか。
紀夫がすみれの好きな所を「愛に溢れているところ」と言いました。すみれが愛に溢れる人なら、家で預かる前に栄輔に抗議をするのが先だと思います。それから預かるなら話が分かる。なのに、明美が五月のプライバシーを栄輔に暴露するみたいな流れはおかしいし不愉快。
ラストでの、五月がすみれに大感謝するくだりも、まず大袈裟すぎ。それにまだ19歳とは言え、コロッと身代わりして調子が良過ぎる。結局、いろんな部分が薄っぺらで順序がおかしい本作。少し登場人物たちのモノローグ(はなの「語り」でなく)を増やして、内容を補完・補強しても良いと思います。最終手段ですが。
さて、ここで映画情報。もっと前にアップしたら良かったですが、本日2017年2月9日(木)の 13時50分~15時55分 にテレビ東京系で放送される午後のロードショーでスティーブン・スピルバーグ監督デビュー作『激突!』が放送されます。
台詞や登場人物の映像を極限まで省略して、4ドア・セダンがタンクローリーからどうしても逃れられないデッドヒートに巻き込まれる様子を見事な映像と演出で魅せてくれます。私が大おすすめの映画です。良かったら見てみて下さい。無駄を徹底的に削いだキレのある脚本と、巧みなカメラワークで描く演出は必見です。『べっぴんさん』のお口直しにも最適です。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
★本家の記事のURL →
http://director.blog.shinobi.jp/Entry/9481/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方は、
http://dmesen.seesaa.net/article/446818759.html でも受付けております。
【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
1 2 3 4 5 6
第2週『しあわせの形』
7 8 9 10 11 12
第3週『とにかく前に』
13 14 15 16 17 18
第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29 30
第6週『笑顔をもう一度』
31 32
33 34 35 36
第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
44 45 46 47 48
第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
87 88 89 90 91
第17週『明日への旅』
92
93 94 95 96 97
第18週『守るべきもの』
98
99 100
101
102
103
第19週『希望』
104
105
106
- 関連記事