べっぴんさん (第105回・2/7) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第19週『希望』『第105回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)たちは、父・五十八(生瀬勝久)が倒れたと聞き近江の実家を訪ねる。心臓の病に侵された五十八は寝込んだまま目を覚まさない。夢の中で亡き妻・はな(菅野美穂)と話をする五十八。翌日、目を覚ました五十八は、すみれと姉のゆり(蓮佛美沙子)、それぞれの夫の紀夫(永山絢斗)、潔(高良健吾)、使用人としてずっと仕えてきてくれた忠一郎(曽我廼家文童)と喜代(宮田圭子)らに思いを伝える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
いつも使い回している近江の白壁と小川のカットの方が…
スゴイ。アバンタイトルの1カット目。恐らく近江の海と青空の情景カットなのだろうが、全く必然性が無い。これなら、いつも使い回している近江の白壁と小川が映る小道のカットの方が、余程近江らしく映るのに。演出家、もう面倒くさっくなったのだろうか?
主題歌明けは、座る位置がおかしなお通夜で始まった
さて、「第19週 希望」と大きく書かれた明るく楽しそうなオープニング映像の直後に、まさかの五十八(生瀬勝久)のお通夜風シーン。と思いきや、五十八は寝てるだけの設定とは、二度驚いた。それに、いくら家長とは言え、長太郎(本田博太郎)が忠一郎(曾我廼家文童)と喜代(宮田圭子)に尻を向けて座ってるって?
すみれが喜代の人生も考える人に見せる機会だったのに…
そして、ちょっと和んだの忠太郎と喜代の昔話。でも、ここでも納得いかないことが。喜代が坂東家に務めるきっかけの話になり、すみれ(芳根京子)とゆり(蓮佛美沙子)は初耳だったようだが、普通は、特にすみれは35年近くは一緒に寝食を共にしたのだから、一度位は聞きやしないだろうか。
むしろ、空襲で逃げてる時に、この話を盛り込んでいたら、戦争の重圧の中にほんわかした雰囲気が漂っただろうし、すみれが喜代の人生も考えること出来る人と見えたのに。結局、生まれた頃からいた空気みたいな存在で興味なしってこと?ただ、頼るだけの存在ってことか。ホント、残念…
蓮佛さんが芳根さんを背中をさする演技でフォロー
分かる。分かるのだ。長太郎が五十八との思い出話をして嗚咽するのは。しかし、演技が完全にご臨終のあとの芝居になってるから、お蔭ですみれが、でなく芳根京子さんが完全に演技を忘れて素で泣いちゃった。それを素早く察知したゆり、でなく蓮佛美沙子さんが背中をさする演技でフォロー。全部カメラを通して見えちゃった。
五十八さんは十分立派に、はなとの約束を果たしたのか?
さて、朝ドラ名物と言って良いのだろうか、死後の霊が登場するシーン。ここも納得できない内容だった。まず、何かを察知した五十八が腹筋を使って布団から上半身を起こし向きまで変えた。これで死期が近いって設定なのか?そして、こんな白々しい会話が続く。
五 十 八 「はなとの約束、わしは果たせたんだろうか?」
はな(N)「いつも見てましたよ。
男手一つで子育てをよう頑張って下さいました」
五 十 八 「はなとの約束、果たせたんだろうか?」
はな(N)「あの子たちを見て下さい。今のゆりを、すみれを。
五十八さんは十分立派に果たして下さいました」
五十八は、二度も亡き妻との約束を果たせたのか問うている位に、五十八は約束を果たせたかどうか自信が無いってことを脚本は言いたいのだろう。そして、はなの天の声で感動の涙涙のシーンになるのは必至のはずだが、これまた完全に脚本家が、視聴者の空気を読めていない粗が出る。それは…
すみれは、大勢の人を笑顔に出来るに人にはなってない
まあ、ゆりはそれなりとしても、すみれは体を大きく育てただけ。中身はむしろはなが生前の頃より後退して、人の気持ちが分からず、自分勝手で子育て放棄の母親になってる。敢えて言うなら、毎朝、多くの朝ドラファンを不快にさせてるヒロインを育てたのが父の五十八。
少なくともテレビ的には、大勢の人を笑顔に出来るヒロインにはなってないから、このやり取りは正に苦笑するしかない。
五 十 八 「わしはもうすぐ、そっちへ行くんか」
はな(N)「はい」
そして、はなが「はい」と即答したのもスゴイ。悪魔の呟きか…
なぜ、ゆりとすみれは、五十八を引き取らないのか?
五十八が「わしは、ここで生まれた」から、ここに居たいと言っていた。以前にもある読者さまのコメントで頂戴したが、いくら生家でも既に五十八の実母・トク子(中村玉緒)は他界しているし、娘二人も会社経営をする程の財力があるのだから、そもそも父親を引き取るのが普通では?を思い出した。
流れを前後に分けない方が、流れが自然だったのでは?
そして、いよいよ五十八の家族への別れの言葉のシーン。序盤の喜代らの思い出話のシーンと分けた意味が分からない。アバンで、はなの遺影が光って、主題歌明けにはなが降霊してそのまま夜明けに。朝食の準備の音に目覚めた五十八は座椅子に持たれて、家族みんなで食事。その流れで、そのまま別れの言葉で良かったのでは?
すみれの涙 さくらの無表情 何とかならなかったのか?
それにしても別れの言葉のシーンでも、またあのすみれの涙。演技指導でもう少しリアルなお芝居にしてあげたら良かったのに。それに、ここでのさくら(井頭愛海)はいつもの仏頂面から無表情へ。散々迷惑をかけたのに。下を向いて薄っすらと涙ぐんで頷いたが、ここのさくらの芝居ってこれで良いのだろうか?
確かに失恋のあとで心の整理がついていないのは理解できるが、薄暗がりの店に入り浸って散々な目に合ったあとだからこそ、「さくらにも光り輝く人生を送って欲しい」と言う五十八の言葉は、彼女に響くのではないのか。そこが無表情では、盛り上がりたくても盛り上がれないではないか。
15分間のコントだったのか?
ここまで来ると、台詞の全てに違和感しか覚えない。終盤のやり取りもそうだ。すみれは「少し近江にいます」と言っていたが、節子(山村紅葉)と静子(三倉茉奈)の身になれば、五十八の介護だけでも大変だろうに、10人以上の食事と寝床や風呂の準備をしろと同じこと。
すみれは簡単に言っているが、すみれは一切手伝わないのが見えてしまうから、無責任な発言にしか映らない。ヒロインとしてどうしようもないところに来ちゃってるってことだ。
そして、顔色も良く言葉もハキハキ苦しそうでもない五十八が最後に「まだ、暫く大丈夫やし」って、これ15分間のコントだったのか。最後の1分だけ見たら、死期が近いようには全く見えない父と、数日の命と決めてかかって泣いてる家族と言うまあ不自然な映像。これ、まだ期待して大丈夫だろうか。
あとがき
今日の15分間で、本作の脚本家に人間の機微が書けないことがハッキリしましたね。だったら、なお更「キアリス」中心のお仕事ドラマにきちんと方向を定めて、最終回まで進んだ方が良いのではないでしょうか。演出も雑を超えて手抜きをしているような。
これ以上、朝ドラを楽しみにしている視聴者を裏切らないで欲しいです。
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
★本家の記事のURL →
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
31 32
33 34 35 36
第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
44 45 46 47 48
第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
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第17週『明日への旅』
92
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第18週『守るべきもの』
98
99 100
101
102
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第19週『希望』
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