べっぴんさん (第104回・2/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第19週『希望』『第104回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)は無断で東京に行こうとしていた娘のさくら(井頭愛海)をジャズ喫茶「ヨーソロー」で見つける。ドラム奏者としてプロを目指していた二郎(林遣都)は東京のスカウトから誘いを受けていたが、すみれに促されたさくらから、恋人の五月(久保田紗友)が妊娠していることを伝えられる。五月が姿を消した本当の理由を知った二郎は、すぐに五月が居るすみれたちの家を訪ねるが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
作り手たちの無責任さしか伝わらない。そんなアバン…
個人的な話で恐縮だが、月曜日は、私にとって、がっつりと一週間の仕事が終わった日曜日のようなものなのだ(実際は、フリーランスに定休日なんて無いのだが)。
そんなホッとした朝に、未成年の家出、妊娠、喫煙だけでもうんざりなのに、赤の他人の青年の将来を踏み潰す自己チュー夫婦を見せられると、それだけで疲れが復活する。一体、月曜日が仕事始めの普通の視聴者は、どう見るのだろうと考えると、作り手たちの無責任さしか伝わらない。そんなアバンタイトルだった。
ついに、本作の唯一の良心だった喜代も語るに落ちたか
喜代「すみれ奥様も、そうでした…」
先週の感想で、喜代(宮田圭子)が、本作に於ける全ての登場人物たちの “優しさ” や “気遣い” を一手に引き受けて、ついに五月に対しては「そこまでやる必要があるのか?」とさえ感じる状態だと書いたが、やはり嫌な予感とは当たるものだ。
語るに落ちるとはこのことで、喜代に何でも押し付ける手抜き脚本で、ついに喜代までおかしな人物になってしまった。この五月(久保田紗友)への喜代の台詞とその前後の台詞は、物語に不自然だし、発言として偏見が過ぎやしないだろうか。
まず、いつ何処ですみれ(芳根京子)がお母さんの愛情を言葉にして抱きしめていっぱい伝えて、娘を育てたと言うのだ。そもそも、それをしなかったのを一番知るのは喜代だし、母が愛情を注がなかったツケが回って今の娘のさくら(井頭愛海)の家出騒動になっているのでないのか。都合が良いにも程がある。
シングルマザーを助長してない?
喜代「よう、一人で育てようて思いましたねえ」
脚本家は、未成年の五月がシングルマザーになることを決めたのを、“勇気” とか “忍耐” とか “相手の夢を思う” とか、シングルマザーの応援歌的なことを描こうして、こんなセリフを言わせたのだろう。物語の流れ上、五月がシングルを選んだのはしょうがないとしよう。
しかし、最初に紹介した台詞と合わせると、シングルマザーを助長しているようにしか感じない。
更に意地悪に深読みすれば…。母親が再婚しその新しい家族から疎まれて学校も中退し家出状態の五月の現状を考えれば、さくらお嬢様は幸せ、五月は不幸と言っているようなもの。こんなくだり必要あるのだろうか。主題歌の歌詞に「優しすぎる嘘」と言う言葉が登場するが、優しすぎる言葉は時に相手を傷つけるのでは?
「考えて考えて考えて」の結果がシングルマザーしかなかった五月。彼女が鈍いから良かっただけのことではないだろうか。
五月と二郎の会話の途中で消えた紀夫に幻滅しかない
この後、二郎(林遣都)が俺にも相談しろ的なことを言い、五月は二郎の夢を邪魔したくないと言うくだりがあるが、こんなシーンも全く必要性を感じない。
むしろ、この二人の会話を聞いて、さくらに合図をしてまでその場から去った(逃げた)紀夫(永山絢斗)の態度に幻滅しただけ。自分の家が、いくら自分とは無関係で自分が無関心の未成年のカップルとは言え、二人の将来がかかった修羅場になっていると言うのに…。脚本のト書きにあっても、演出でカットすべきだった。
なぜ、暖かくて優しい毛糸玉を活かさないのか?
惜しい。本当に惜しい。まだ、私が本作への期待をしているから出る言葉なのだが、実に惜しい。それは、あんなにテーブルの上に暖かくて優しい毛糸玉がたくさんあるのに、どうして母子の繋がりのエピソードに活用しなかったのかだ。
数少ないすみれとさくらの母子のシーンとして、第69話に、すみれがカーディガンの毛糸を解き、七輪の蒸気で毛糸を伸ばして、さくらを毛糸玉を作るシーンがあった。そんな回想をインサートして、「失恋しちゃった」でなく「お母さん、ごめんなさい」で済ませたら、どれだけ「キアリス」のドラマに近づいたか。
そんな簡単なこともせず、「さくらは日本一可愛い」なんて紀夫に言わせる脚本家は、ホント、本作で何を描きたいと言うのだ。馬鹿馬鹿しいにも限度がある。
このままさくらが東京行きを止めたら、最大の不自然だ
そして、またシングルを選択した五月を評価するようなすみれとさくらを入れて、さくらの東京行きまで無くなったように、何となく収めたようにしてしまったが、正直、さくらが失恋しようが東京に行こうがどうでも良い。
ここで再び意地悪に深読みすると、さくらの東京行きが実に不可思議なことが分かる。さくらが二郎と五月の関係を知らなかった体で話が進んだのが、違和感だらけなのだ。あれだけジャズ喫茶「ヨーソロー」に入り浸っていたのだから、余程の鈍感でない限り(事実、周囲は知っていた)二郎と五月の関係は知っていたはず。
その上、五月の妊娠だってさくらが二郎に言う前に、すず(江波杏子)らから耳に入っていたと言う方が自然。だとしたら、さくらは二人の関係も妊娠も知っていたのに、東京に行きたいと言い続けたことになる。だとしたら、東京行きを止めることこそが、最大の不自然さとしか言いようがない。
さて、脚本家は、この大矛盾にどう決着をつけてくれるのか、ある意味今週最大の見所だ。
あとがき
先週で「さくらの乱」をさっさとけじめをつけて、土曜日の最後に今回の忠一郎(曾我廼家文童)からの電話のシーンで終わっていたら、演技の実力者が集まった見応えのある父・五十八(生瀬勝久)のエピソードで、月曜日のスタートが飾れたのに。ことごとく残念で仕方のない15分間でした…
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
87 88 89 90 91
第17週『明日への旅』
92
93 94 95 96 97
第18週『守るべきもの』
98
99 100
101
102
103
第19週『希望』
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