べっぴんさん (第100回・2/1) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第18週『守るべきもの』『第100回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)は、キアリスの仲間と共に新しく仕入れるメリヤス生地を探し始めるが、なかなか既存品に代わる質の良いものが見つからない。一方、近江から出てきていたすみれの父・五十八(生瀬勝久)は、家出中のさくら(井頭愛海)を大急百貨店に連れていく。すみれが作った「女の一生」をテーマにした展示をみせながら、さくらの心を開こうとした五十八だったが、そこで栄輔(松下優也)と出会い…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
まるで他人事の潔と、心が不倫中のすみれがアバンか?
今回の感想も、ちょっと長めです…
記念すべき第100回のアバンタイトルも、「いろいろな工場からメリヤスが届いてますが、どうですか?」と全く他人事のように言う社長・潔(高良健吾)への落胆で始まった。メリヤス素材の選択って「キアリス」存続の生命線ではないのか?
それに、試作品を作って来なかったすみれ(芳根京子)にもがっかり。前回の完走でも書いたが、夜なべ作業中に思い出したのが栄輔(松下優也)で、その前に栄輔にきつく言われた回想も入ったから、完全に栄輔のことが気になって仕事にならなかったとしか見えない。だって、あの苦笑はそう言う意味にしか受け取れない…
武の設定を、もっと活かせば良かったのに…
主題歌明けの大急百貨店。メリヤス工場の橋詰(佐川満男)が初孫のために「キアリス」製品を買いに来るシーン。何だろ?この違和感。橋詰のメリヤスは手に入らないことになってから、橋詰に感謝を伝えるってくだり。それも、買いに来た客に「プレゼント」と称して渡すのも、見下してるようだし、今更感が…
そして、今週になって何度見せられたのか、武(中島広稀)と橋詰のシーン。武が報われたのは良かった。だって、武はその昔に坂東営業部が取引する大分のメリヤス工場の息子で父の跡を兄が継いだために家出した設定だから、メリヤスにはすみれたちより造詣が深いだろうし思い入れもあるはずなのだ。
武を単なる明美(谷村美月)の話し相手や小間使い的な設定でなく、生まれと育ちを活かしたメリヤスへの思いをしっかりと描けば、何度も繰り返す回想も活きるのに…。そして、すみれたち「キアリス」のメリヤスへの拘りをもっと前からきちんと描けば、このシーンは記憶に残る場面になったかもしれない…
さくらの "栄輔に対する信頼" が描けていないのに…
五十八(生瀬勝久)が、家出中のさくら(井頭愛海)を大急百貨店に連れて行き、すみれが作った「女の一生」をテーマにした展示を見せていると、栄輔がやって来て、娘を助けてやってくれと頭を下げるシーン。ここは、単純に商売人として父親として、今できる精一杯のことをしたいいシーン、と言いたいが…
その直後に、栄輔が「さくらちゃん」と声を掛ける場面で、また落胆。映像的にはジャズ喫茶で再会してから、これが(恐らく)二度目の出会いだ。いくら幼少期のさくらを可愛がっていたとは言え、笑顔で話すさくらを含めて2人の自然なやり取りを見たら、あの再開後に何度か会ったり話したりしているようにしか見えない。
だとしたら、どうしてそのような描写を入れてこなかったのだろう。「お母さん、そう言ってましたよ」で肝心な母から娘へのメッセージも処理しちゃうから、何となくさくらの気持ちが動いたような演技をさせても違和感しかない。“頼れる栄輔さんがそう言うなら” 的なさくらの心情が無ければ繋がらないのだ。
二郎と栄輔が、同一人物の設定もアリだったかも?
ジャズ喫茶のシーンで思ったのだが、さくらは幼少期で栄輔の顔を覚えていなかったのだから、二郎(林遣都)が栄輔だったら話がスムーズに行ったのでは?栄輔は趣味でドラムをやっているイケメンってことにしたら、幼少期との繋がりでさくらが栄輔に恋心を抱くのも不自然でないし、先の百貨店の場面の納得がいく。
ただ、問題なのはすみれと栄輔の不倫疑惑。それがあるように表現しているうちはダメ。だから、繰り返すが夜なべで思い出すのは、さくらが正解なのだ。
過程を端折るから感動が生まれない
終盤前での、すみれが武に橋詰からの感謝の気持ちを伝えるシーンも同じこと。武がせっせと橋詰に会い、工場に通い詰めている様子さえ描いていれば盛り上がるものを、時間経過だけさせて、過程を端折るから感動が生まれない。本作はそれの繰り返し。だから、面白みが出て来ないのだ。
あとがき
けじめの第100回で、本作の問題点が完全に浮き彫りになりましたね。この脚本家は物事の経過や過程を描くのが苦手なんですよ。だから描かない。しかし、物語は時間経過してどんどん先へ進む。となると、視聴者自身が経過や過程を想像するしかない。何を見て想像する?映像。映像だけ。
その映像が、その編集が、すみれが子育てをしてきたようには見せなかったり、夫の出征中の不倫を未だに引きずっているように見せるから、おかしなことになる。とにかく「キアリス」の現状を描くべきです。描いておかないと、またしばらくして時間経過と大イベントを作って乗り越えることになると思います…
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ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
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第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
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第17週『明日への旅』
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第18週『守るべきもの』
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