べっぴんさん (第99回・1/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第18週『守るべきもの』『第99回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)は、父・五十八(生瀬勝久)と共に、赤ちゃん用肌着の素材となるメリヤスを作る工場を訪ねる。工場の経営は、傾いており経営者も体調を崩している状態だった。すみれは肌着が作れなくなることを心配し、継続して作ってもらえないかと頼むが、工場はすでに他の経営者に売却されることが決まっていた。その経営者はすみれも五十八もよく知っている人物で…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
深刻なのかコミカルなのか、実に中途半端な印象のアバン
今回の感想は、ちょっと長めです…
一言、アバンタイトルの編集が雑過ぎる。内容的には前回の終盤の1分間のダイジェスト版なのだが、前回の終盤の構成はこんな順番になっていた。
1.みんなで廃業の手紙を見る
2.武のメリヤス工場の回想
3.「明日、工場に行って来ます」と言うすみれ
4.すみれが、バッグを持って出掛ける準備
5.父・五十八の来訪
6.すみれと五十八が出掛ける
本来は「4」は不要で。「3」の後に時間経過のための「工場の看板のアップ」をインサートして、その直後に、五十八とすみれは工場内にいるカットを繋げ、よりサクサク感を出す編集をして、「つづく」とするべきだった。この編集の方が明らかにテンポ良く物語が進んでる印象を与えられるはずだから。
なのに、まず前回のラストで引き延ばした上に、今回のアバンでは「1」と「5」が直結した。更に場違いな劇番が流れて、深刻なのかコミカルなのか実に中途半端な印象。映像が無いからこんなアバンしか出来なかったのだろうが。これは今回も期待薄、と言うことに違いない…
メリヤスの大切さを、「語り」で強引に補強するな
はな(N)「丁寧に編まれるメリヤスは
キアリスの肌着を作るのに
欠かせないものになっていました…」
テレビを前にしてため息が出てしまった。恐らく現時点で「キアリス」は創業11年か12年位だと想像するが、創業当時以来のメリヤスの話を、こんな「語り」で強引に補強するとは、ため息と苦笑しかない。もちろん、肌着の製造過程を事細かく映像化して見せろなんて言うつもりはない。
しかし、どう好意的に解釈しても無駄に多いとしか思えない、仏頂面の娘やドラム演奏やチンピラ風の息子らを描く時間があるのなら、「キアリス品質が出来るまで」や「人気肌着の工夫」や「キアリス製品に関わる人たちとの交流」が見たかった。いや、絶対に描くべきだった。
なぜ、年明けから栄輔と「エイス」を描かなかった?
そして、ため息の後は大きな落胆だ。なんとメリヤス工場の新経営者が栄輔(松下優也)と言うではないか。おいおい、この流れが始めから分かっていたなら、どうして年明けの第1週目で、ナイトクラブに栄輔を登場させなかったんだ。
年明け早々に、栄輔がナイトクラブで遊んでるさくら(井頭愛海)をすみれの娘と分かり家に帰したら、それで “さくらの乱” は決着が継いだではないか。更に、こう言う展開になるなら、年明けの第2週目を使って、栄輔と「エイス」がどのような経緯で起業し、どんな会社なのかもたっぷりと描かたはず。もったいない。
栄輔の "ダークなイメージ払拭" のためにも…
一見、さくらと栄輔は同じ脇役に見えるが、実は役割が全然違う。さくらはヒロインの娘と言う特別待遇だけ。しかし、栄輔はヒロインの過去、仕事、そして何より「キアリス」の経営に関わる重要人物。もちろん、さくらの反抗期が今後「キアリス」の経営にがっつりと関係するなら話は別だが…
だた気になったのは、メリヤス工場のシーンのラストで栄輔がすみれに偉そうなこと言って出ていくが、私の目には夫が出征して悲しんでる前から目を付けていた人妻に付け入ろうと娘のさくらを手懐けた男と言うイメージが栄輔。
だから、栄輔のダークイメージ払拭のために、栄輔と「エイス」を描くべきだったのだ。時既に遅し…
驚愕!すみれが夜なべの作業中に栄輔を思い出しちゃった
そして、今回の15分間で一番残念で仕方なかったのが、夜に自宅ですみれが1人で新たに入手した他社製品のメリヤスで縫い物をしている、あと1回で大台を迎える第99回のラストシーンだ。
なんと、すみれはメリヤスで子供服を作りながら、栄輔に「あなたは人の心が分からん人や」と言われてことを思い出してしまう。これは、本作で一番やってはいけなかった構成であり脚本であり演出では?ここで思い出すべきは、娘のさくらのことでなければならなかったのでは?もう、苦笑や残念を超えて絶望感さえ…
ここは、さくらを思い出さないと。不倫疑惑が蘇るから…
だって、「キアリス」存続の最大のピンチを乗り越えるために、新しいメリヤスで子供服を縫っているのだから、ここで思い浮かべるのは、本来は創業当時に夜なべしてベビー服を作りながら娘のさくらをあやしてる場面とか、無いならここでこそ「ヨーソロー」でしんみりしているさくらの映像でしょ。
ここで、栄輔を思い出したら、栄輔に出征中の夫の浴衣を風呂上がりに着せた あの “不倫疑惑” を私は思い出してしまった。どうして、こう言う脚本と編集をするのだろう。「それはあなたが強引にくっつけてるだけ」と言われるかもしれないが、毎日見ている人にそう思えるように作り込んでいるのが本作だってことだ。
あとがき
「騒動至上主義」によって、物語が進んでいるように感じはさせていますが、登場人物の内面は相変わらず丁寧には描かれていません。それにしても、栄輔の使い方が下手ですね。折角、一度退場した登場人物を再登場させるのなら、何か策があると思いきや、そうでもなさそうです。さっさとさくらの話は終わらせたら良いのに…
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
1 2 3 4 5 6
第2週『しあわせの形』
7 8 9 10 11 12
第3週『とにかく前に』
13 14 15 16 17 18
第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29 30
第6週『笑顔をもう一度』
31 32
33 34 35 36
第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
44 45 46 47 48
第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
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第17週『明日への旅』
92
93 94 95 96 97
第18週『守るべきもの』
98
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