映画「恋妻家宮本」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「恋妻家宮本」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『恋妻家宮本』公式)を本日、劇場鑑賞。採点は、★★★☆☆(最高5つ星で3つ)。100点満点なら60点にします。
なお、原作の重松清氏の小説『ファミレス』は未読。

私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

宮本陽平(阿部寛)は、27年前に学生時代の合コンで知り合った美代子(天海祐希)とできちゃった婚をしていた。それから、ごく平穏な結婚生活を経て、一人息子が結婚・独立をしたことで、25年ぶりに父親と母親と言う形から、夫婦と言う形の生活が再スタートする。

陽平は、理想の夫とは言えずとも、浮気もせず、教師として真面目に働き給料も入れ、自分は正しいことをしていると言う自負があった。ところが、ある夜、陽平は、妻の記入欄がすべて書き込まれ捺印までされた離婚届を本棚で発見する。美代子に意図を聞き出すこともできず悶々とした日々を過ごす陽平は、混乱しながらも、料理教室の仲間や教え子と関わる中で、家族の在り方を模索していく…

子供が独立して25年ぶりに二人きりになった夫婦の物語

テレビドラマ『家政婦のミタ』『偽装の夫婦』」等の脚本家・遊川和彦氏の初監督作品。原作は、テレビドラマ『とんび』『流星ワゴン』等の原作を手掛けた作家・重松清の小説『ファミレス』。子供が独立して25年ぶりに二人きりになった夫婦が、家族の在り方を模索していく様子をコミカルに描いた作品。

人気脚本家の初監督作品としては頑張ったが、映像は…

大ヒットドラマの脚本家の初監督作品としては、かなり頑張った印象。ただ、演出と撮影が上手く噛み合っていない。もっと言えば編集に於ける演出と撮られた “素の映像(撮ったまま)” の方向性が違うかなと。

ベテランカメラマン・浜田毅氏の手堅くオーソドックスな映画的な映像に、脚本家が陽平のモノローグを大量に入れるから、阿部寛さんのコミカルな演技で面白味は出るが同時に情報過多。更に監督がテレビドラマのノリでテロップやCGで今風演出を加えるが、やるのは序盤と終盤だけの肩透かし。やるなら、やりきらないと…

「転」までが長過ぎ 上映時間が "100分未満" なら…

全体の構成に目をやると、「なぜ料理なのか?」と「中学校教師としてどうなのか?」が同僚なども一切登場しなくて不明瞭だから、物語が大きく動く起承転結の「転」までがすごく長く感じた。要は現在の状況説明が不明瞭のまま物語が進むから。主人公の「最近の趣味がもっぱら料理」と言う設定が大きな鍵を握っているのに…

また、「転」からは軽快に話が進むかと思いきや、最近の邦画に見られるパターンで、“いい話”の「転」の部分の料理教室の仲間や教え子が絡んでくるくだりがくどくて長い。ここに工夫を凝らして、上映時間を100分未満にしたら、ビール片手に気軽に楽しめる映画になっただろうに。

「結」が重過ぎ もっと "主人公夫婦" に絞り込めば…

ネタバレになるから詳細は控えるが。主人公が「家族とは何か?」を模索する過程を経て、ラストで「いい夫とは何か?」と「いい教師とは何か?」と言う2つの問題を一度に解決してするから、全体の “重さ” として起承転結の「結」が重過ぎるのだ。普通なら1/4で良いはずなのに、1/3はある感じ。

原作は未読だが、登場人物が多過ぎる上に、各人のエピソードを広げ過ぎて、結果的に肝心の「いい夫とは何か?」と「いい教師とは何か?」と言う2つの問題の風呂敷の畳み方が、「どっちもその料理?」(ここが重要!)ってなったのが残念。

きっと登場人物をもっと主人公夫婦に絞り込んだら、ラストの大団円にも納得がいったのではないだろうか。

冒頭数分間の主人公夫婦の27年間の歩みは、見応えアリ

私にとって最も見応えがあったのは、冒頭数分間の主人公夫婦の27年間の歩みを、ファミリーレストランを巧みに使った回想と現在の描き方。主人公の子ども時代、学生時代、結婚して出産時代、そして現在を、それぞれ異なった俳優を使って、コミカルにテンポよく描いたのはお見事。

特に、大学時代の陽平を演じた工藤阿須加さんと美代子を演じた早見あかりさんが、阿部寛さんと天海祐希さんの特徴に寄せて演技をしているのは見どころ。

美術スタッフが創り出した "宮本家" を細かく観て欲しい

また、美術監督・金勝浩一氏が創り出した主人公の住む宮本家も細かく観て欲しいところ。外観は築30年以上の東京郊外の建売住宅物件って感じで、27年前のでき婚夫婦にしては、手堅い物件選びをしたなと言う主人公夫婦らしさを表現しているのだろう。

その上、内部のスタジオセットが更に良い。テレビドラマではありがちな “天海祐希さんがそこに立つとセットが格好良くないとバランスが取れない” のを、映画らしい丁寧で必然性のある全体的に予想以上のチープな室内にしてあるところ。

また、27年間の時間経過と専業主婦の手作りリフォーム感を醸し出すための、敢えて不揃いでちぐはぐな雰囲気が成功している。その他にも、生活感を演出する細かな工夫が素晴らしい。

あとがき

映画『テルマエ・ロマエ シリーズ』のルシウス・モデストゥス役での阿部寛さんの魅力を更に活かした本作。中盤まで長く感じますが、そこを過ぎれば楽しめます。見所は冒頭数分間の主人公の現在に至るまでの映像表現の面白さと、主人公の家の美術セットの作り込み。あまり期待せずに見れば、笑いあり涙ありのほんわか映画です。

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