映画「沈黙-サイレンス-(字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「沈黙-サイレンス-(字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『沈黙-サイレンス-(字幕版)』公式)を本日、劇場鑑賞。採点は、★★★★(最高5つ星で4つ)。100点満点なら80点にします。
なお、原作の遠藤周作氏の小説『沈黙』は未読。

私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

17世紀江戸初期、長崎で厳しいキリシタン弾圧の中で宣教師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が棄教したとされる真実を確かめるため、彼の弟子ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、キチジロー(窪塚洋介)の協力で日本に潜入する。

そんなロドリゴらが見たのは、想像を絶する日本と、隠れキリシタンと呼ばれる人々の存在だった。やがて、キチジローの裏切りで捕らえられたロドリゴは、長崎奉行の井上筑後守(イッセー尾形)から棄教を迫られる。厳しい死の拷問を受ける信者たちを救うために棄教すべきか、それとも信仰を守り殉教するべきか決断を迫られる…
※PG12指定

スクリーンから押し寄せて来る "映像の力" がもの凄い

遠藤周作氏の小説『沈黙』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が、26年の構想を得て映画化した力作。とにかく、スクリーンから押し寄せて来る映像の力がもの凄い。江戸時代初期の長崎や島々の再現や、登場人物たちの汚しっぷり、身体を縛られ海に落とされるたりの血みどろの残酷な拷問の描写の徹底さが半端ない。

そして物語は、何があっても自らの信仰を守る貫くべきか、目の前の弱弱しい信者たちの命を守るために信仰を捨てるべきか、自らに問い続け苦悩する若き宣教師の生き様が、162分の長尺で描かれる。キリスト教の話ではあるが、棄教が絵踏みと言う分かり易い表現で描かれるため、内容的に難しいと言うことはない。

ハリウッド俳優たちに引けを取らない日本人キャスト

やせ衰えた姿のため、9.1キロの過酷な減量で挑んだリーアム・ニーソンを始め、ハリウッドの俳優たちの演技が実に素晴らしい。しかし、日本人俳優陣の演技力や存在感も負けず劣らずだ。何と言っても、主人公を最後の最後まで翻弄させる漁師・キチジローを演じた窪塚洋介の鬼気迫る演技に驚いた。

ロドリゴと心を通わせる隠れキリシタン・モキチ役の映画監督でもある塚本晋也の頬のこけた壮絶な表情と命がけの演技にハラハラドキドキ。時に笑顔で恐ろしいことを言い、時に真顔で物事の真実をズバリ言い当てる長崎奉行役のイッセー尾形のエグ味の効いた演技は見応え十分だ。

幾度も絵踏みをする裏切者のキチジローがキーパーソン

先述のように、本作では、監禁して棄教するまで残酷な拷問し続ける隠れキリシタンへの弾圧や、自らの信仰心に悩み苦しむ宣教師らがも描かれるが、本作で描こうとしているのは、拷問や宣教師を表現の道具にした “弱者の救済” であり、そのキーパーソンこそ幾度もキリスト像を土足で踏む裏切者のキチジローだ。

キチジローは、裏切っては神の救済を求めることを繰り返すが、いつも心の隅っこに信仰を宿し続けるのだ。責められては踏み絵を踏んで命乞いをおし、それを悔いては神に赦しを求める彼は、果たして弱いのか強いのか。

そんなキチジローを見て、強いと疑いもしなかった自分自身の中の弱さに気付くロドリゴが、次第に信仰心や人生観が変化していくくだりが、実に丁寧に且つドラマチックに描かれる。

すべての答えは、観客一人一人の心の沈黙にある…

終盤で、キチジローがロドリゴに告悔を願い出るシーンで、長い “沈黙” がある。宣教師を幕府に売り踏み絵を繰り返したキチジローに神の赦しはあるのか?ロドリゴはキチジローをどう捉えてきたのか?そして、登場人物たちの選択は正しかったのか。すべての答えは、観終えた後の観客一人一人の心の沈黙にある…

あとがき

目の前の弱者の命よりも信仰心を貫くべきか、棄教して信者たちの命を救うべきかと言う宗教映画的な要素や、隠れキリシタンへの弾圧の歴史ドラマの要素もありますが、描かれるテーマは実に現代的で、我が身に置き換えて考える事も出来ます。
更に、聖書に詳しければ深読みも出来ますが、聖書を知らなくても、十分にメッセージを感じることは出来ます。

注意事項としては、
【1】血みどろの残酷な拷問の描写があります。
【2】上映時間が162分なので、上映前にトイレを済ませましょう。
【3】かなりシビアな作品なので、ポップコーンは甘い香りのキャラメル系は前後左右席にご迷惑かも?
【4】座席の良い映画館を選びましょう
【5】※PG12指定です。

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