べっぴんさん (第91回・1/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第16週『届かぬ心』『第91回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
家出をしてしまったさくら(井頭愛海)を心配するすみれ(芳根京子)だったが、姉のゆり(蓮佛美沙子)の家にいると知ってとりあえず胸をなで下ろすのだった。ところが、さくらを迎えに行ったものの、すみれは話もできないままゆりに帰されてしまう。話し合えるような段階は、とっくに過ぎていた。会社に戻ると同僚の明美(谷村美月)が、落ち込むすみれを飲みに誘う。明美に連れて行かれた店は思いがけない場所で……
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
騒動の終わりの始まりが、丁寧な手書きメモで絶望感が…
あんなアバンタイトルが必要あるのか。そもそも今週は月曜日から、外出騒動と “出る出る詐欺の家出宣言娘” のさくら(井頭愛海)を描いてきた。それも、さくらの心境を描かずに、ただただ外出騒動と家出騒動と言う現象だけを、とにかく心配なすみれ(芳根京子)との対比だけを描いてきた。それも3度以上も。
そんな “騒動至上主義” にもこの土曜日で一先ず決着がつくと少しは期待して観始めたのに、さくらのすみれ宛のご丁寧な手書きメモで始めるとは。もうこんな小さな期待すらも叶わぬ作品になったのかと言わざるを得ない。演出家さん、ここはせめて殴り(走り)書きにしておかないと、万人に家出先がお見通しになるぞ。
お嬢様だから、若い連中の首根っこを掴んでも…は無しか
主題歌明け。確かに大切な娘が家出したのだから、手当たり次第に心当たりを探すのは間違っていない。ただ、そんな時の一番先の心当たりって、これまでを考えたら、ゆり(蓮佛美沙子)の家を真っ先に思い付くのが母親すみれでないとおかしいような。まあ、そんなことも気付かない程に動揺していると解釈するが…
そして、更に残念なのは、ジャズ喫茶「ヨーソロー」でのすみれ。お嬢様設定だから、若い連中の首根っこを掴んでもさくらの居場所を聞き出そうとなんて絶対しない。むしろ五月(久保田紗友)に説教しちゃう。この数十秒のシーンは家出騒動に緊迫感を与える重要な場面なのに…。まあ数秒後には、ゆりから電話が来るが(苦笑)
ゆりは、子育ての大先輩とか育児カウンセラーだったのか
さて、ゆりの家。「母親と喧嘩してばつが悪いから親戚の家に一時的非難する」ことを坂東家では「家出」と言うらしい。流石に一週間引き伸ばされた結果が、この程度だとそうも解釈したくなる。そして、すぐにすみれがご到着するのも緊迫感が無い。ここで1カット、路地を走るすみれでもあったら印象が違ったのに…
ゆり「すみれが思っているような段階は、
もう過ぎてしまったんやないかな」
これ、どう言う意味?ゆりは子育ての大先輩とか育児カウンセラーなんて設定があったろうか。少なくとも(これまでを好意的に解釈をすれば)子育ても働く母親としても、すみれの方が先輩。この理由と根拠無きゆりの上から目線が、姉妹の遺伝子と言う新たな解釈でもしろと言うのか?
折角の "妻を思う紀夫の気持ち" を表現する機会を捨てた
帰宅するすみれ。ここで路地を歩くすみれを入れるくらいなら、先程のシーンでなぜ入れない?だって、ここは落胆してるに決まってるわけだから。そして、更にダラダラと落胆を描く。演出家も雑になっていると言わざるを得ない。
それに、こう言う時こそ我が娘を心配する夫婦を映像で見せることで、夫婦愛も表現できるのに、紀夫(永山絢斗)は一瞬映るだけでで、紀夫の台詞は無残にも元気になっていくさくらの映像のベースになるナレーションになっちゃった。これ大失敗だ。ゆりの家の生活音を被せたから、全く紀夫の心情が伝わらなくなったから。
さくら理由を描かずして、何を描いても意味が無い
場面はキアリス。ここでもすみれは「今は話せない」と “話す” ことで “心が通い合う” を信条にしているように何度も重ねているが、この設定も唐突のような。すみれは、そもそも自己主張も社交性にも乏しく、人に促されて動いてきた人物。新聞取材も大急社長ともずーっとそうだったはず。
そして、更に “かまってちゃん” まで始まった。「答え見つかるかな」の台詞も妙な感じ。すみれは、これまで答えを出すために試行錯誤するタイプでなく、人から促されるか、うじうじ悩むか、突然思い付く人間だったはず。更にこの度のさくらの「外出・家出騒動」のくだりでは、一度も答えを見つけようなんてしなかった。
すみれがしたのは、とにかくさくらを家に連れ戻すことだけ。まあ、そもそもさくらがどうして「外出・家出騒動」を繰り返すのかの理由を描かずに進行している時点で、視聴者の興味関心はどんどん薄まっている。ヒロインはすみれ。だとしたら最初にさくらの理由を描いて、苦悩葛藤するすみれを描くのが正しくないか?
良子を責めるすみれ 飲みに誘う明美 どっちも変
すみれ「わぁ、なんでこんな風になってしまったんやろう」
こうなってくると、このすみれの苦悩の台詞も、その裏に良子(百田夏菜子)を責めてる感じも入ってきてしまう。その上、次のこの明美(谷村美月)の台詞で、ついに明美も脚本家にこんな女の設定へ堕とされたかって感じ。
明美「すみれちゃん、今日飲みに行かへん?
丁度ええやない、娘も家出中なんやし」
なぜこんな時に?なぜ飲みに誘う?確かに明美は他の3人よりも人生経験が豊富でベビーナースもしてきたが、ここで育児について良子や君枝(土村芳)でなく、未婚の明美が口をはさみ、且つ飲みに誘うって???これまでの、敢えて言うなら初期の明美なら「相談があるんやけど」「話があるんやけど」ではないか?
何でも4人で解決する(してきた)設定は活かさないの?
同時に、何でも4人で解決する(してきた)設定があるのだから、このことも上手く明美がアシストして4人で…てしといたら良いのに。まあ、昭和30年代の半ばに、家出中の娘を抱える母親と独身女性が飲みに行くって感覚がどうなんだかと言うのもある。まあ、“かまってちゃんのすみれ” には居心地が良かったろうが。
あとがき
来週もさくらの家出・外出騒動は続くんですね。いつまで続くんでしょう?それに、再登場の栄輔(松下優也)ですが、是非すみれに未練タラタラな男にだけは描かないで頂きたいです。それにしても、完全にキアリスの物語は脇道に反れましたね。で、さくらをメインに何を描くんでしょう???キアリスを見たいのに…
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
31 32
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
44 45 46 47 48
第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
86
87 88 89 90
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