べっぴんさん (第87回・1/17) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第16週『届かぬ心』『第87回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
娘のさくら(井頭愛海)の変化を心配するすみれ(芳根京子)は、今後は朝食だけでも家族そろって食べようと決める。少しでも家族の時間がとれると聞いて喜ぶさくら。一方、キアリスでは新入社員の中西直政(森優作)の提案で、お祝いギフト用の詰め合わせ商品を作ることになる。「すぐにでも欲しい」という現場からの声を受け、全員で一気にとりかかることに。翌朝、起きてきたさくらは、すみれが早朝から仕事に出たことを知り……
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
何なの?あのアバンタイトル 自虐 or 視聴者批判?
15分間のどこから書いても、脚本家への落胆と絶望感、そして演出家と編集担当の心の叫びしか書くことが無いのだが…。では、取り敢えず放送順に見てみよう。で、驚いたのが黒一色の背景に白抜きの文字で「連続テレビ小説」とタイトルが浮かび上がり、ヴァイオリンの曲が突然流れたこと。
ついに、急遽「今月いっぱいで打切り」のお詫びでも入るのかと思いきや、恐るべきべったりと「語り」が張り付いた “坂東家の思い出ビデオ” の上映だ。
はな(N)「思いが全て伝われば、誤解も擦れ違いも、
勘違いも生まれません。
伝えることは難しいことなのです」
まあ、普通に捉えれば、脚本家は、夜の坂東家で父と母と娘が神妙な面持ちで無言で向かい合うシーンに、古い写真を重ねて…なんて雰囲気を想定して、母と娘の現状を「語り」で補強したのだろう。それを、演出家の判断で敢えて大袈裟に「演出部より視聴者様へ」と題するような映像に仕上げたのだと想像した。
なぜなら、「語り」と映像が全く合っていないから。本来なら、この語りを入れるのは、前々回での娘のさくら(井頭愛海)がナイトクラブで遊んでるカットか、前回でのすみれ(芳根京子)の良子(百田夏菜子)への暴言のあとに入れるべき内容だろう。それを敢えてここへ入れたからには演出意図があるはずだ。
でも、この演出と編集も決して巧いとは言い難い。なぜなら、これでは十分に脚本家からの視聴者批判(視聴者をバカにしてる)にも受け取れるし、三文芝居が余計に三文芝居に見えて “誰得” にもなっていないから。やるならやるで、もっと丁寧に気合を入れて、照明や音楽も当てれば良いのに…。今回が最終回なら話は別だが。
売り子の悦子は尻を向け、潔はポケットに手を突っ込んで
いやあ、今回は想像を遥かに超える長尺で、久し振りのキアリスのパートが多めに描かれた。とは言え、違和感はある。例えばキアリス大急百貨店支店の早々のシーンで、売り子の悦子(滝裕可里)がずっと尻を視聴者に向けてる演出はどうだろう。手前のマネキンの顔が見えていて、女優は尻が見えてるって???
この直後に、「語り」で時間と状況経過を入れて、オライオンが大急に出店してることを済ませたのもどうかと思うが、そこに現れた潔(高良健吾)がスーツ姿でスラックスのポケットに手を入れていたのが気になった。一体、いつから潔はこんなに横柄な男になったんだ???
ヒロインは、きちんと演技指導で表情を作らせるべき
夏のバーゲンを任されても、大した喜びも無いような態度なのは、もはや明美(谷村美月)までもが “お嬢様気質” になったと言うことで納得したが、やはりこう言う場面で喜びの表情をヒロインだけでなく4人がした方が良いのでは?これでは、全く商売の楽しさも苦しさも何も伝わらない。
冒頭で言っていたではないか?「伝えることは難しいことなのです」と。だから、きちんと演技指導をして表情を作らせた方が良い。特に、すみれとさくらは。前回を蒸し返すが、すみれにギャフンと言われた時の良子なんて、良い表情をしていた。自然に出来る人とできない人がいるんだから。
今回の大急からの申し入れの後に皇室御用達が良かった
それにしても、今回のキアリスとオライオンが大急百貨店からの絶大な信頼を得ているってくだりは、今年に入って一番最初に放送したら良かったのでは?その後に、いろいろあってその結果として、皇室御用達になった方が物語の流れがスムーズだったに違いない。
さくらの反抗期だって、その後の方が「なぜ今?」となって、運命の悪戯やらを持ち出して、すみれがこのままキアリスを続けるか辞めるかの、あの以前のくだりを蒸し返したらいい。今回の “家族揃って朝食” の約束をすぐに破ったが、すみれに学習能力のないのは、視聴者全員が知るところなのだから。
キアリスが四苦八苦しながらも前進しているのを描いた
さて、新入社員への聞き取り調査風のシーン。西城(永瀬匡)に職場での私語を指摘される時に、明美だけ他のメンバーを苦笑しながらちらちら見ていたのが、気になってしょうがなかった。大急での明美と別人格って感じ。西城の言い分は正しいが、なぜここで入れてきたのかは全くわからない。
また、売り子の悦子がキアリス事務所に入って来る際に、ノックの1つも無く入室してきた。私の中ではある意味で本作中で数少ない常識人の1人だと思っていたから意外。
そして、やっと新入社員の中西(森優作)の意見発表。中西の一言で全員が動き出すのは都合良すぎるが、今の本作ではキアリスが四苦八苦しながらも前進しているのを描くのが一番大切だから、これは良かった。こう言うシーンを、もっと入れるべきではないだろうか。
さくらの年上の人への接し方が気になる
そうそう、順番が行ったり来たりで申し訳ないが、さくらの年上、具体的に言うと幼少期の麻田(市村正親)への無理矢理に靴作りをさせたり、育ての親である喜代(宮田圭子)への態度が冷たいのが気になっている。まあ、すみれが育てたなら目上の人への接し方を教育されなかったで済むが、育てたのは喜代。
なぜ、こんな話を今さら蒸し返すかと言うと、例のすみれの一件で、すみれが一言喜代に話をすれば、1本の電話を入れれば済んだ話だから。なんか、すみれだけでなく、さくらまでも好感度の低いキャラに描く必要があるのかって。
すみれの人物像が、完全に上書き保存されちゃった
ヒロインである母とその娘が、年明けからいきなり偉そうなことを言ったり、他人を不愉快にすることをしたり。これね、さくらは別にして、すみれは半年の間ほぼ存在感が無かったのに、年が明けたらこのキャラだから、実はすみれってこう言う人物だったんだって、好意的な解釈が上書きされちゃったってわけ。これはダメでしょ。
あとがき
折角、話がキアリスに戻ったのに、またすみれとさくらの話ですか。
さて、今日1月17日は1995年に「阪神・淡路大震災」が発生した日です。神戸が舞台の本作、どうか神戸に元気を与えるような明るい作品になって欲しいです。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
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第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
80 81 82 83 84 85
第16週『届かぬ心』
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