べっぴんさん (第81回・1/10) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第15週『さくら』『第81回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)が、靴屋を覗(のぞ)くと娘のさくら(粟野咲莉)が真剣な眼差(まなざ)しで靴を作る麻田(市村正親)の姿を見つめていた。麻田に一度は断られた靴作りだったが、最後まで作ってもらえるよう頭を下げるすみれ。思うように手が動かなくなっていた麻田だったが、職人としての最後の靴作りに挑むことを決意する。一方、明美(谷村美月)は、キアリスの偽物商品を作る玉井(土平ドンペイ)の元を訪れ…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
とんでもないことをやりそうな予感しかしないアバン…
アバンタイトル。クララが立った!いや、久し振りにキアリス本店に客が来た。なぜ、いつもアバンでやれば良いのに…。でも、本作のスタッフは、やらねばならぬことをやらないのがお約束。今回は、冒頭で普段はやらないことをやったから、とんでもないことをやりそうな予感しかしないのだが…
真剣な眼差しのさくらが、一瞬カメラに視線を送った!
ほーら。早速、主題歌明けにスタッフがやらかした。上に書いたYahoo!テレビから引用したあらすじを読んで欲しい。
すみれ(芳根京子)が、靴屋を覗(のぞ)くと娘のさくら(粟野咲莉)が真剣な眼差(まなざ)しで靴を作る麻田(市村正親)の姿を見つめていた。
あのね。さくら役の粟野咲莉さんは(おそらく)今回が最後の出番だからが言っておくが、さくらは真剣な眼差(まなざ)しなのよ。そのさくらが、一瞬だけチラッとカメラに視線を送る。これ、粟野咲莉さんも注意力散漫なのだが…
完全な見落としか、まあいいやってスルーしたか?
悪いのはカメラを覗いてるカメラマン、映像チェックしている演出家の大罪と言って良い。まさか、映像モニターに逆光が差し込んで、つい見逃したなんてことはないだろうから、完全に見落としているか、まあいいやってスルーしている2択しかない。
まあ、子役の動きに関しては以前からルーズな演出チームだったが、最後の最後でこれは、粟野咲莉さんが可哀想。当然に視聴者も可哀想。
演技はね、演技はまだ許せる。大人の俳優たちだって、おいおいって突っ込みたくなるような大根芝居を平気でやってるし、演出家もOKを出してるから、突っ込んだらキリがない。しかし、視線はダメ。他の人は気にならなくても私は許せない。あの一瞬で、好意的に解釈しようと言う気持ちすら寸断される。ホント、手抜きするね。
麻田の "仕事を断った理由" を察せないすみれに呆れた
もうどうでも良いのだが。「本作には “愛” が無い」とコメントを頂戴したことがあるが、今回のエピソードは正にその集大成って感じ。職人が仕事を断って来た理由を察することが出来ず、自分の思いを押し付け、娘の我がままを叱ることさえしなかったすみれ(芳根京子)に呆れてしまう。
もうこれで、すみれを中心に “ものづくりの物語” を構築するのは不可能になったとさえ感じてしまった。そんなクズ誕生のシーンを更に本編で繰り返す脚本と演出にも大きく落胆するしかないが。ついでに言うなら、あさやに住居を間借りしている明美(谷村美月)が、すみれたちを制止しないのもキャラがブレブレ…
お嬢様4人とその子供たちの "図々しさ" を私は忘れない
きっと、この麻田の最後の職人姿を見るすみれたちのくだりは、今後何度も回想で使われるのだろう。特に下の場面は、「ものづくりとは何ぞや」みたいな場面で。
麻田「完璧な靴をよう作ることが出来なくなり、
自信が持てなくなりました。
けど、すべきことするだけやと。この靴を作りました」
すみれ「すべき、こと…」
麻田「本物を作る。思いを込めて作る。
どんなことがあっても、それを貫き通す。それだけです」
でも、根っからの職人であり、心や商売の支えにもなってくれた麻田の心中も察せず、自己中心的で自己満足を麻田に押し付けたお嬢様4人とその子供たちの図々しさを私は忘れない。
そしてあの、すみれの涙は何だったのか?演技も演技だが、全くわからない。だって、すみれは麻田の気持ちなんてちっとも理解していないって脚本だし演出だし芝居だから…。ヒロインが鳴いてヴァイオリンが響けばお涙頂戴が完成なんて、ドラマはそんな甘いものじゃない。
なぜ、「社長を私にやらせて下さい」と願い出なかった?
そして、なぜ脚本家は麻田から社長を辞めたいと言わせたのか?先の自ら仕事を断る職人としての麻田の気持ちも辛いが、今度は社長を辞めるって。これ、ある意味、自分からすみれたちから離れるってことを意味するわけで、なぜそんな2つの苦しみと辛いことを老いた麻田に背負わせるのか。
理由はもちろん、次回で8年時間経過して子供たちが中学生になって心機一転するから、強引に一区切りしたいのだ。だとしたら、社長を押し付けたすみれが、「私にやらせて下さい」と願い出た方が好印象では?
語りが "天の声" だから、ラストも締まらず終了…
そして、本来ならラストの語りで「この半年後に麻田さんは天国に召されました」として締めくくっても良いのだが、何せ「語り」がしょっちゅう登場し、「語り」が文字通り「天の声」だから、「この半年後、麻田さんも私のところに来てくれました」となっちゃう。もう、何をやってもダメって感じだな…
あとがき
今回の感想は、文体がちょっと砕けすぎましたかね。だって、そうでもしないと腹が立ってしょうがないので。それにしても、完全に “麻田茂男” を利用せずに終わらせましたね。史実では神戸の老舗靴店「モトヤ靴店」店主であり、ファミリア初代社長を務めた元田蓮さんがモデルなのですが…
ただのいい職人さんで、すみれたちに振り回されて終わってしまいました。商売とかものづくりのことを教えるなら、五十八(生瀬勝久)を上手く使ったら賄えたと思いますよ。市村正親さんも歌わされたり踊らされたりお気の毒でした…
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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第7週『未来』
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第8週『止まったままの時計』
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
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第11週『やるべきこと』
61
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第12週『やさしい贈りもの』
67
68 69 70 71 72
第13週『いつものように』
73 74 75
第14週『新春、想(おも)いあらたに』
76 77 78 79
第15週『さくら』
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