べっぴんさん (第74回・12/27) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第13週『いつものように』『第74回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)たちは、紀夫(永山絢斗)の提案で始まった堅苦しい朝礼を毎朝行うようになっていた。ある日、姉・ゆり(蓮佛美沙子)の相談を受けたすみれは、おなかの大きなお母さんがさまざまなものを揃える苦労をなくしたいと思い、キアリスを子供のものなら何でも揃う総合百貨店にしようとひらめくのだった。まずは子供用の食器を作ろうと、早速工場と話を進めるのだが、話を聞いていなかった紀夫は激怒し…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
紀夫のキャラ偏向で、紀夫への嫌悪感しか増強しない
今朝は、昨日のどの部分をアバンタイトルで切り取るかと期待したら、予想通りに、“過酷なシベリア抑留生活が人間不信となり、自分をかまってくれない妻にDVをしたりと何かと心の病を抱えて辛そうだった男” 改め “仕切り好きなKY店長” 紀夫(永山絢斗)のシーンをもう一度。
なぜ、今やこんな中身のない言動・行動が不安定な男になったの全く見えない紀夫を強調するようなシーンを何度も見せるのだろう。紀夫への嫌悪感しか増強しないのだが。因みに頭が痛いのは、紀夫が坂野惇子さんの夫であり、ファミリア2代目社長・坂野通夫さんがモデルってことだ。史実との整合性も危ういが…
カーテンを閉めない紀夫が "ストーカー夫" に見えてる
主題歌明けも “仕切り好きなKY店長” としての紀夫は続くが。これ、私には例の朝帰りしたすみれ(芳根京子)を平手打ちした “DV夫” の延長線上で、常にすみれを見張っていたい “ストーカー夫” に見えているんだが大袈裟だろうか。
だって、前回の感想でも書いたように、紀夫がすみれの “復帰” を許した原因は未だ不明瞭なのだ。そして、あれだけしっかり大人として仕事をしろと言っておいて、本人がやっているのは本来ならカーテンを閉めたバックスペースで行うべき事務作業を店内を見渡せる所でやっているのが不可思議でならないのだ。
きちんと、すみれを1人の働く女性として、最愛の妻として、人格や尊厳を認めるようになったから、職場復帰を認める位までは描いて欲しい。それを更に「なんだかなあ」で思い付いた新事業を始めちゃう前にやって欲しかった。いつまでも紀夫を小馬鹿にしたような描写は、本当に気分が悪くなる。
ゆりの「悩みの相談」が「新事業の提案」に聞こえたが
で、いつものようにすみれが新事業を思い付いちゃった。思い付いちゃったと言うと言うよりも、ものすご~く稚拙で手抜きな脚本だから、ゆり(蓮佛美沙子)の「悩みの相談」が完全に「新事業の提案」になって、流石に鈍感なすみれも気付いたってだけにしか見えないのが、本作の残念なところ。
新規事業で盛り上がったシーンのカット割りは良かった
ちょっと良かったシーンにも触れておこう。それは店内で新規事業の話に7人が盛り上がったシーン。
武(中島広稀)の6人全員に台詞が与えられ、編集もダイアログカット(台詞を喋ってる人だけをアップにして画面に映すカット割り)だから、それぞれがテンポよく進み、演技力のある蓮佛美沙子さんだけが、ちょっと引きの画角で全体を見ているって感じ。
これは、明らかに7人の中で蓮佛さんの演技量が突出していることが前提で、撮影と編集がされている。こう言う気の利いた演出をすれば、あとで書くボロが隠せるのに…
前に出たがらないのと、ボーとしているのは違う
その “ボロ” とは陶器工場を回る時に、「すみれたち4人だけが並んで1カットに収まるカット」で見て取れる。よく見たらわかるが、4人で会話しているのに、明美(谷村美月)以外の3人は自分の台詞のタイミングを待っているのだ。そして、自分の台詞の無い所では手持ち無沙汰な演技をしてる。
陶器工場の人に、紙粘土の試作品?と図柄のデザインを見せてる時なんて、台詞が無いある登場人物が困ってしまっているのが映ってる。4人それぞれにキャラがあって、前に出る人出ない人があるのだが、前に出たがらないのとボーとしているのは違う。まあ、この件については以前からずーっと気になっていたが。
すみれが「なんか、なんかなあ」と言うとバカに見える
それに、その際だからついでに書いておくが、すみれお得意の「なんか、なんかなあ」と新発想するシーンだが、正直すみれがバカに見えてしょうがないのだが。それでなくても、本作は基本的にすみれが劇中のカースト制度で常に頂点に居て他の登場人物を見下すように描かれているから、そのギャップが見ていて辛い。
脚本家は、自分が創出した登場人物たちに責任と愛情を
更に、キャラが急変した紀夫を前述のように小馬鹿にしたような描き方も見ていて辛い。脚本家は少なくともすみれたち4人と紀夫のことを、自分が創り出した人間として責任を持って描くべきだし、もっと愛情を注いで個性を育てるように描いて欲しい。まずは、脚本家がそこに立ち返って脚本を書く。
演出家は、4人と紀夫を稚拙な人間に見えないように
しかし、この脚本家の立ち返りを待っていたら最終回になってしまう恐れは十分にある。だから、演出家は出来るだけ4人と紀夫をバカな人間に見えないようにする努力と、4人が並んだ時の各人への演技指導を徹底してやって欲しい。
あとがき
年内の通常放送は、明日28日(水)が最後のようです。何ともスッキリしない展開や描写、演技になってきましたね。ホント、どんどん質が右下がりになっているような気がします。どうして、きちんと連続ドラマとして連続性や辻褄合わせをしたり、登場人物を小馬鹿にするんでしょう?それこそ、私が言いたいですよ。「なんか、なんかなあ」って…
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連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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【これまでの感想】
●“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
●「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
●べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
●「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた
●「べっぴんさん」2か月過ぎても、まだ本当の意味で "ドラマ" になってない!?
●「べっぴんさん」第50回まで描かれずに残念だったこと。そして、本作の課題と今後に期待すること
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29 30
第6週『笑顔をもう一度』
31 32
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
43
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第9週『チャンス到来!』
49 50
51 52 53 54
第10週『商いの聖地へ』
55
56 57 58 59 60
第11週『やるべきこと』
61
62 63 64 65 66
第12週『やさしい贈りもの』
67
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第13週『いつものように』
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