べっぴんさん (第52回・12/1) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第9週『チャンス到来!』『第52回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
商店街の友人たちを巻き込み、百貨店への出品にむけた商品作りを始めたすみれ(芳根京子)だったが、今後忙しくなるとしたら子どもたちをどうしたらいいか悩む。知り合いのつてで保育園に預けることになるが、それぞれの家庭で事情があり一筋縄にいかない。そんな中、百貨店の担当者と打ち合わせの日を迎える。子ども服につけたキアリスのタグをすべて取り外し、代わりに百貨店の特選マークを付けるように言われ、困惑する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンタイトルだけで、不満以前の不可解なことばかり
もう、アバンタイトルだけで不満以前の不可解なことばかりで。確かに「語り」や「新聞記事」では、「キアリス」は商店街の人気店で4人の生活も上向いていると表現された。と言うことは、普通は「キアリス」の商売が順調だってことを意味する。
しかし、実際の「キアリス」には商品点数も少なく、店内が大勢の客で賑わうでもなく、いつも4人で店番をして誰がいつ商品を作っているのかもわからない。商品の売買のシーンもないのに、足立(中島広稀)と言う男を住み込みで雇い、子守りや雑用をさせる余裕がある。そして、今回はご近所さんに生産を依頼までする。
言ってることと、やってることがまるで反対。とにかく、百貨店から声をかけられるような店づくりをスタッフもしようよ。それ、演出家と美術さんの仕事。先の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の感想じゃないが、「当たり前をつくってる人がいる」んでしょ。手抜きしないでちゃんと映像化して欲しい。
育児放棄の妻たちと、妻の夢の棚ボタ夫トリオ
そんな状況なのに、今度は保育所かい?女中の喜代(宮田圭子)が「さくらお嬢様が不憫です」の一言に集約されたすみれ(芳根京子)の子育ての現状。その強烈な一言をいつものおどおど演技でするっと交わしたすみれの態度にはイラッ。その上、送り迎えだけはちゃっかり頼んで、明らかな育児放棄にしか見えない。
すみれお嬢様の「夢」の前には、紀夫(永山絢斗)も頷くだけ。その後の良子(百田夏菜子)の夫・勝二(田中要次)、君枝(土村芳)の夫・昭一(平岡祐太)も間髪を入れず快諾しちゃう。妻たちの夢に便乗して一旗揚げようって算段が丸見えの「夢の棚ボタ夫トリオ」は本当に期待外れ。
フィクションだから何をどう描いても良いのだが、実在した人物を描く限りは、最低限の尊敬の念と配慮をすべき。史実ではリベラル的な思想の持ち主である夫たちは最初から妻の夢と仕事を応援し支え、夫たちも連絡を取り合った。それが妻の嫁の棚ボタ待ちって?流石に改変の枠を超えていないか?
「特選マーク」のくだりで、またおどおど演技
百貨店の担当者から、「キアリス」の商品タグを外して百貨店の特選マークを付けるように言われて困惑したすみれの表情はどう受け取れば良いのだろう。また、中途半端な演技指導下でおどおど芝居をさせるから、どっちつかずの印象になる。
私なんぞは個人事業主で超有名ホテルの下の下の下請けだから、自分が書いた進行台本にホテルのマークを付けても良いとお墨付きが頂けるだけで嬉しいし、それが「当たり前をつくってる人がいる」精神だから気にしない。もちろん、自身のパーソナルブランドは大事にしているが。
カッコつけて縫い付けたみたいなちゃちなタグ
では、今回のすみれはどうだろう。包装紙の時も思い付きだったように、今日見たタグの縫い付け方を見る限りでは、「キアリス」のブランドの証と言うより、カッコつけて縫い付けたみたいなちゃちなタグ。こんなタグでは「このタグは4人の夢です。プライドに賭けて外せません」なんて言い出せない代物。だから、おどおど?
どうやら、予告編にあったすみれの「全部無かったことにして下さい」の台詞は、“私たちのタグを取るくらいなら” が理由で無いようだ。多分、百貨店側から大量生産体制のために作業工程を省略しろと支持され言うのだろう。だとしたら、尚更簡単に取れちゃうような商品タグにするべきでなかった。
あとがき
はな(N)「上手く言葉に出来ない違和感を共有してくれた友人たちでした」
うーん、すみれって、こんなことも言葉に出来ない程の言語力なの?自己表現が苦手とか言うレベルで無いような。やはり、がっちりと縫い付けた商品タグを、百貨店の担当者が力づくで引きちぎろうとしながら「特選マークにして下さい」と言わせて、すっくと立ったすみれが「夢=プライド」の話をした方が良かったですね。
ただ、実際の映像では、すみれたちの意識には「夢=プライド」があるようには描変えておらず、未だに女学校時代の延長のオママゴト商売に見えています。やはり、2年間の商品開発や人気店になった理由を全部カットしてしまった弊害です。
上で予想したように、金曜日に「全部無かったことにして下さい」と言って、土曜日は「夢の棚ボタ夫トリオ」が言い聞かせて終了。どうせ、百貨店と取引するのはわかっているですから、今週は「夢=プライド」に向けてのエピソードを1日は入れたら良かったのにって思います。
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ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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