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逃げるは恥だが役に立つ (第8話・2016/11/29) 感想 ※追記あり

逃げるは恥だが役に立つ

TBS系・火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』公式
第8話『離婚と実家と運命の相手』の感想。
なお、原作:海野つなみ氏の漫画『逃げるは恥だが役に立つ』は未読。


母・桜(富田靖子)が骨折したとの連絡を受けたみくり(新垣結衣)は、津崎(星野源)に状況を知らせるメモを残してマンションを出て、実家へ向かう。実家では、父・栃男(宇梶剛士)が全く家事ができず、桜はいら立ちを募らせていた。百合(石田ゆり子)や風見(大谷亮平)は、戻らないみくりのことを気に掛ける。一方、津崎は日野(藤井隆)に呼び出されて参加した会社の飲み会で、風見とぶつかり合った揚げ句、泥酔してしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

まえがき

前々回の第6話の感想に「158」、前回の第7話の感想には「127」ものWeb拍手を頂き(執筆時)、本当にありがとうございます。今回は、みくりと平匡が直接対面する場面が少ないので、世間では賛否両論ありそうですが、私は大いに笑って感動して共感して楽しかったです。今回も長文になりますが、最後まで読んで頂ければ幸いです。

絶妙なカット割りで心情描写を魅せる石井康晴演出

今回の演出担当は、第5話「ハグの日始めました!」で、あの公園でのハグを絶妙なカット割りで登場人物の心情描写を魅せた石井康晴氏。今回も石井氏らしい演出が随所に光った作品に仕上がっていた。では、いつものように、放送順に私の心を釘づけにしたシーンやカットについて書いてみる。

いつもと違った導入部分の秀逸さに驚いた

まず、いつもと違った導入部分の秀逸さに驚いてしまった。これまでは、みくり(新垣結衣)のモノローグで初視聴者にもわかるような設定の説明と前回の見所の総集編的なものをくっつけて本編に繋がって行った。しかし、今回はそのパターンを敢えて封印して、大胆な構成に挑戦。では、どこが秀逸か?

前回のラストでみくり(新垣結衣)がバスに乗って家出をするように終わったそこに至るまでの過程や経過である「過去」と、バスが到着して千葉の館山の実家で、家事手伝いを既に始めている「今」の “間” の時間を、回想シーンだけで埋めるのでなく、モノを見て過去を思い出し、悲しんでは妄想でかき消そうとするところ。

更に、物干しハンガーのピンチ(洗濯ばさみ)やソファーとクッション、火曜日の表記、ドアの絞まる音などの津崎平匡(星野源)との思い出の “モノ=記号” についつい反応してしまい、妄想の選手インタビューで自身の心境を語らせるつつ、先週の振り返り(REPAY表示で)も入れてきたことも、さり気ない脚本の技が光った。

みくりと平匡が、"バスで擦れ違うシーン" が絶妙過ぎる

特に、例のバスでみくりと平匡が擦れ違うシーンなんて絶妙。丁寧なカット割りで2人の心が今はどんどん離れていく様子を、みくりの乗ったバスと平匡の歩く方向の違いで魅せた。そして、メインタイトル直前のみくりのカットも良かった。

「戻れないかもしれない。それも人生だともう一人の私が嘯いていた」の後ろ向きなみくりの中の心のモノローグと、前向きな心理状態を表現する上手(画面右側)向きのみくりが編集されたことで、みくりの心が本当に迷っていることを見事に表現した。アバンタイトルだけでこれだけスゴイとは。

"挟む食べ物" の扱い方が、ちょっと面白かった

ちょっと面白かったのが食べ物の扱い方。沼田(古田新太)はパニーニを、平匡はサンドイッチを食べるシーンがあった。沼田は神原社長(横田栄司)とクライアントに、平匡はみくりと平匡の母・知佳(高橋ひとみ)に板挟みになってるのを、パンで具を挟む食べ物で表現してる。

また、沼田は社長の話の後で今後が気になってパニーニを食べず(食べられず)、平匡は母からのメール着信の前だからサンドイッチを食べる(食べられる)と言う区別までしているのが、石井康晴氏らしい細かい演出。だから、メールのあとに平匡がサンドイッチを口にするカットは無い。本当に細かい演出だ。

背中を丸めた猫の1カットを挟んだのがいいね

母からのメールと目の前からいなくなったみくりに混乱する公園にいる丸めた背中を見せてる平匡のモノローグから、背中を丸めた猫の1カットを挟んでの、漁港のみくりも背中を丸めて猫に近づきながらモノローグへ直結したのもいい感じ。

落胆や悲しさやひもじさを、背中を丸めると言う動作で表現したってわけ。モノローグと動作で二重に重ねたことで、2人の寂しさがより強調された。でも、その直後に「情熱大陸」で引きこもり、館山市議会議員・野口まゆ(櫻井はな)で活性化と、女性のみくりの方が心の切り替えが早いのも実にリアルだ。

実家のシーンは見応え十分 本作は人間ドラマと確信した

館山の実家でのやり取りは、家族と夫婦、出産と子育ての在り方を真面目に且つコミカルに見事に描いた。『あくまで生テレビ』も楽しかったが…

一番良かったのは、みくりの母・桜(富田靖子)が夫に厳しくするのが、「もし私が先に死んだら…」と言う理由だったり、運命の相手なんていないと言っておいて「運命の相手にするの」と断言したり。「意思が無くちゃ続かないのは、仕事も家庭も同じじゃないかな」は、実に言えて妙なお言葉。

そして、桜の「みくり、ずっと居てもいいのよ」と言う母が娘を想う深い愛情溢れるシーンも良かった。家族みんなで集まって料理をしたり食事をしたり、ごく普通のありふれた家族の日常を丁寧に描いたからこそ、以前にも書いたように、本作が単なる風変わりなラブコメで無く、秀逸な人間ドラマだと言わせて頂きたい。

風見の "平匡への優しさ" が伝わった名シーン

飲み過ぎた平匡を百合(石田ゆり子)の車で送る時の、車内での風見(大谷亮平)の回想シーンを含めた平匡の背中をポンと押すような台詞も、始まって丁度40分でクライマックスへの切り替えとしては超グッドタイミング。もちろん、風見の平匡へのモテ男としてのアドバイスを兼ねての優しさが伝わるいいシーン。

そして、風見の優しさに後押しされるように、「自分の気持ちでいっぱいで、みくりさんの残していってくれた料理を手に取ることもしなかった」と自己反省して、作り置きの料理をみくりの気持ちを噛み締めるように食べる平匡。それを1カットでアップからどんどん引いていき…

前回と「満月」の使い方が違う演出も見所だ

先週の金子文紀氏の演出なら、夜空の月のカットに繋げてからみくりのカットに行くのだが、石井演出は一味違う。館山の実家にいるみくりが外に出で夜空を見上げるカットにオーバーラップさせてから、満月のカットに繋いで、みくりのモノローグへ繋げた。こうなると前回の感想で書いた「月」の意味が変わってくる。

前回では “満たされた気持ち” を満月で表したが、今回は “再び満たされたい気持ち” と言う願望や欲求を満月で表した。そして、平匡が満月を見ていないことから、あの満月はみくりの妄想かもしれない。そう捉えると、みくりの心に空いた穴は意外と大きいってことだ。なかなか意味深い演出だ。

「素因数分解」なる台詞は、ホント素晴らしい

「素因数分解」なる台詞もホント素晴らしい。みくりと平匡の数学的思考回路を表すのももちろんだが、私がいつも言う “脚本は数学的に考えるべき” と言うのと合致する。私も感想の記事で登場人物の気持ちを「因数分解」して解説することがあるが、今回は登場人物同士がそれをやってしまった。恐るべし計算しつくされた脚本だ。

また、「女性経験がありません」のくだりは、なんか私の心の襞(ひだ)をザワーッとされた感じで堪らなかった。更にみくりの「拒絶されたのはショックでした」でザワーッが止まらなくて。これぞ、ムズキュンってやつに違いない。中年既婚のオジサンさえも心を大きく揺さぶる脚本と演出と俳優の演技。お見事!の一言だ。

タッパー容器が、きちんと洗われてカゴに並んでいる

そして、みくりがマンションに帰って来た時のキッチンの洗い物の演出も手抜きが無い。みくりが丁寧に作って冷蔵庫に入れておいてくれた作り置きの食材が入っていたタッパー容器が、きちんと洗われてカゴに並んでいるのも、「素因数分解」に繋がる2人の気真面目さが表現された。演出がうまいなぁ。

東京と館山での遠距離メール交際からの復活も感動的

で、終わってみれば、館山まで平匡がみくりを迎えに来て、ラストカットは感動のハグから恋ダンスかと思いきや、バスの時のネタの回収で、再び2人は擦れ違って、なんと平匡はみくりの父とハグ。みくりと平匡は前回のドア越しのメールのやり取りに続いて、東京と館山での遠距離メール交際からの復活って感じのラスト。

毎回、上手に視聴者を裏切るラストも本当に素晴らしい。そして、前回は不安いっぱいのみくりのアップで、今回は満面の笑みのみくりで締める。こう言うメリハリの付け方もシリーズ全体の構成が良く出来立てるからこその技。

あとがき

予告での平匡のボソッと言う「疲れた」が、これまたいい感じでしたね。心にずっと刺さっていたトゲが取れて、素直にみくりに甘えられるようになったようなすがすがしい開放感。やはり、相手の気持ちに寄り添って努力して幸せになろうとする人は応援したくなりますね。次回も大いに期待します。

番外編ですが、今回のみくりの実家のロケ地は、千葉県館山市にある布良漁港。あの名作ドラマ『ビーチボーイズ』のロケ地でもあります。夕日がとても美しい小さな町です。以前に撮影した布良漁港の動画です。よろしかったら見てみて下さい。

 

追記 (2016/12/1 14:30)

映像的な演出の部分だけを図解した『「逃げ恥」第8話の感想で書いた "秀逸な演出" をわかりやすく図解しました』を投稿しました。映像演出に興味のある方は読んでみて下さい。

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【これまでの感想】
天晴! 『逃げ恥』のスタッフ!! 「恋ダンス」は「みくりの妄想ミュージカル」だったとは!!!
『逃げ恥』予告編の新垣結衣さんのセーラー服姿に2度ビックリ!! 9年前の『パパムス』再来か?
『逃げ恥』スタッフ再び天晴!! 「ハートのつり革」の粋な演出!!!

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