「べっぴんさん(第43回・11/21)」を"紀夫の立場"で改めて考えてみた

連続テレビ小説「べっぴんさん」

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』公式
第8週『止まったままの時計』『第43回』の2度目の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


戦地から帰還した紀夫(永山絢斗)は、すみれ(芳根京子)が友人たちと共に子ども服の店を開いていると聞いて驚く。五十八(生瀬勝久)に坂東営業部の立て直しをしたいと伝えるが、潔(高良健吾)とゆり(蓮佛美沙子)がすでに動いていることを知り動揺する。すみれたちが企画した歓迎会でも、つい友人たちに不遜な態度をとってしまい、気まずい空気が流れる。さらに坂東営業部も潔に託すと言って、違う仕事を探し始める。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

第43回の放送を、"紀夫の立場"で改めて考えてみる

前回、あまりの強引な展開に、かなりきつめな感想を書いてしまった。そこで今回は第43回の放送を紀夫の立場に立って、改めて考えてみたい。

感動の再会で、紀夫はなぜ頬をつねったのか?

まず、アバンタイトル。「紀夫はなぜ頬をつねったのか?」の部分。収容所での辛い経験があり(これは好意的な脳内補完)妻と娘や家族などの安否もわからずに生きてきた紀夫にとって、桜の木の下で幸せそうに生きている妻のすみれと初めて見る娘のさくらの情景は、さぞ夢のように紀夫の目には映ったであろう。

そう解釈すると、紀夫が頬をつねった理由は納得できる。要は、帰還に至るまでの紀夫の描写の少なさが、この感動的な再会のシーンを紀夫の気持ちで見られない最大の原因なのがハッキリした。

だって、紀夫については出征までも描写は少なく、それ以降はほぼゼロ。わかっているのは「20周年」では生存していることくらい。これで、紀夫の立場に立ってドラマを見ろと言うのは酷だ。

好意的な脳内補完に頼らず、あくまでも映像で視聴者に伝えるのがテレビドラマの鉄則。そこを蔑ろにする脚本と演出が、折角の再会を誤解させるような映像にしてしまったと考える。どこかの外地で抑留され 辛い体験をした紀夫が1シーンでもあったらと悔やまれる。

紀夫はなぜ、愛娘さくらを抱っこしないのか?

さて、続いては紀夫とすみれたちが豪華バラック小屋に向かうシーン。なぜ、ここで紀夫は我が娘のさくらを抱っこ(おんぶでも良い)をせず、すみれがさくらの手を引いて先導していたのか?その後の家の中で五十八たちとの再会を果たすシーンでは、さくらは1人隣の部屋で遊んでいる。

その日の夜も、パーティーに向かう時も、パーティー中もさくらを抱くカットは無い。その後もさくらを抱くのはすみれと栄輔と喜代だけで、第43回で紀夫がさくらを抱くカットはなかった。脚本家が意図的に紀夫に抱かせない理由は何だろう?1年数か月で親子の間に溝でも出来たと言うことなのか。それとも子どもが怖いのか?

いずれにせよ、紀夫が浦島太郎状態で、まだいろいろと初めて目にすることに混乱していると言うくらいの解釈しか出来ない。ただ、やはり自然なのは桜の木の下で愛娘を抱きしめるカットだし、家では膝の上に乗せて可愛がるカットではないだろうか。さくらを抱かないことで、もう一揉め起こして盛り上げようとするなら間違ってる。

紀夫はなぜ、すみれたちの商売に賛成しないのか?

さて、紀夫がすみれの商売に賛成しない理由について考えてみる。私は以前に、夫が反対するパターンは既に良子と君枝でやっているから、紀夫は違うパターンでも良いのでは?と書いた。しかし、第43回の映像を見直してみると、脚本家は紀夫が賛成できない(“しない” のではない)ように書いている。

それは、すみれが商売を始めるまでの経緯を紀夫に説明するシーンが無いことだ。すみれが仕事を始めようと思ったきっかけは生活、お金のためだった。良子と君枝、明美は若干きっかけは違うが、たまたま好きなことや得意なことが商売になっただけ。

それをすみれは嬉しそうに「自分でもまさかお商売することになるなんて思いもしなかったんやけど」と省略して言っていたが、すみれの妊娠を知った時のあの万歳をして大喜びした紀夫を見れば、紀夫がとても責任感の強い男なのはわかる。それに我が妻はお嬢様。「働かせて済まない」の気持ちが大きいのは当然。

もちろん、夫として妻を、父親として娘を、当主として会社を何とかしなくてはならないと言う使命感も強かったに違いない。そう、紀夫は一人だけ浦島太郎状態で困惑し、かわいそうなのだ。

紀夫が、かわいそう過ぎる

しかし、さくらは詳細な事情説明もしないまま、帰還の翌日に自分の店でお祝いパーティー。それも立食形式で。また、自分だってまださくらを抱っこしていないのに、見知らぬ男が抱っこしてあやしてる。前夜にはその男が着た浴衣をすみれに着せられてもいる。

ゆっくりと休む間もなく(あの瓦礫の下にあったのか?)スーツを着せられ、初対面の人たちの中で、アメリカ産の缶詰やお菓子を食べさせられ、事情を知らないから良子と君子の夫たちとも意見が合わず、堅物扱いされる紀夫。そのことを帰宅後すみれから「あんなこと言うたら」と責められる。

登場人物の誰一人も紀夫の気持ちに寄り添っていない

結局、登場人物の誰一人も紀夫の気持ちに寄り添っていない。だから、最後の「僕の出る幕は無い」と言う台詞に繋がる。語りでは「紀夫君との間に通じ合えない何かを感じたすみれなのでした」と言っていたが、これは完全に間違ってる。

通じなくしているのは、すみれ自身であり、周囲の人間たちだ。夫として妻を、父親として娘を、当主として会社を守れなかった自己嫌悪。兵士として生き残った罪悪感や、日本人としての敗戦の屈辱に苛まれているのが今の紀夫。パーティーに行く途中でGHQと擦れ違う際も、何の気遣いもしないのがすみれ。

そして、近所では夫や息子を戦争で失った人がたくさんいるだろうに、商店街の真ん中で扉開けっ放しで立食パーティー。こんな坂東家とその仲間たちに共感し応援しようと言うのが無理な話。なぜ、この脚本家はヒロインやその関係者を他人の気持ちをおもんばからない人間ばかりに描くのだろう。

これでは、紀夫がかわいそう過ぎる。ただ、終盤ですみれが紀夫に、少し小言っぽいことを言うシーンがある。あそこは、ちょっと人間味のある夫婦の描写と受け取れなくもない…

あとがき

この状況で、ヒロインに共感したり応援したりするのは厳しいですね。それに、かなり意図的に且つ強引に、紀夫の感情を逆なでして盛り上げようとしているような、今回の脚本はあざといです。やはり、今週はさらーっと終えて、次週からの展開に期待した方が良さそうです。

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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック


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【これまでの感想】
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
7 8
“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
9
「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
10 11 12
第3週『とにかく前に』
13 14 15 16 17 18
第4週『四つ葉のクローバー』
19 20 21 22 23 24
第5週『お父さまの背中』
25 26 27 28 29 30
第6週『笑顔をもう一度』
31 32
べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
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第7週『未来』
37 38 39 40 41 42
第8週『止まったままの時計』
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