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山田太一ドラマスペシャル「五年目のひとり」 (2016/11/19) 感想

山田太一ドラマスペシャル「五年目のひとり」 (2016/11/19) 感想

テレビ朝日系・山田太一ドラマスペシャル『五年目のひとり』公式
『山田太一×渡辺謙!!日本を代表する2つの才能が、東日本大震災の“その後"をやさしく紡ぐ感動の物語!!』の感想。


 中学生の松永亜美(蒔田彩珠)は文化祭からの帰り道、歩道橋で見知らぬ中年男(渡辺謙)に呼び止められる。男は、文化祭でダンスのステージに立った亜美を見たといい、「キレイだった。いちばんだった」と称賛の言葉を贈り、立ち去っていく。思いがけない褒め言葉に亜美は有頂天になるが、その話を聞いた母・晶江(板谷由夏)が心配のあまり、自宅に警察を呼ぶ騒ぎにまでなってしまった。
 数日後、亜美は偶然、街で男を見かけ、彼が小さなベーカリー『ここだけのパン屋』で働いていることを知る。その男、木崎秀次は半年間ほど複雑骨折で入院していたという話で、知人・花宮京子(市原悦子)の誘いを受けて故郷からこの町に移住し、社会復帰のリハビリとして無給で働いているようだった。母が疑うほど、木崎のことを悪い人間には思えない亜美。会話を重ねるうち、次第に秀次と打ち解けていく。
 そんなある日、亜美は『ここだけのパン屋』主人・上野弘志(高橋克実)から、秀次の本当の身の上を聞く。実は、秀次は東日本大震災の津波でいちどに8人もの家族を失ったという、あまりに壮絶な過去を秘めていた…。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---

東日本大震災で心に大きな傷を負った中年男の物語

※感動した人は、読まないほうが良いです。

脚本は、『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』等の山田太一氏。演出は、『岸辺のアルバム』や映画『千年の恋 ひかる源氏物語』等の堀川とんこう氏。音楽は、『攻殻機動隊』『花燃ゆ』等の川井憲次氏。

5年前の東日本大震災で娘や家族などを失った中年男性・木崎(渡辺謙)が、偶然に亡くなった娘に瓜二つの女子中学生・亜美(蒔田彩珠)に会い、亜美は木崎が震災であまりに多くのものを失ったことを知り…。“決して忘れちゃいけない。忘れないと生きていくのが辛い。でも忘れられない” 心の傷を負った男の物語。

相変わらずと言う表現が正しいかわからないが、山田太一節とも言うべき紋切り型の短い台詞を積み重ねて登場人物たちの心情を描く独特な脚本と、音楽を大事にする演出家、サントラの大御所とも言われるアニメやドラマや映画と活躍する音楽家、そして世界に通用する俳優・渡辺謙の合体作。

さて、感想だが、予想通り自分の中でどうも考えがまとまらずに、3日も経ってしまった。やはり、山田太一脚本作品は評価以前に感想すら難しい。今作も悩んだ末の感想だと言うことを前置きしておく。

「5年しか」経っていない事を全国に伝えた意義は大きい

まず、あの東日本大震災から「5年も」でなく「5年しか」経っていないと言うことを、このようなテレビドラマを通して、日本全国に伝えた意義は大きい。また、震災に、被害者に対する見方や考え方が性別や年代や個々の体験によって違うことを描いた意味もある。

これらのことから、本作を放送した価値は十分にあると信じている。ただ、1本のテレビドラマとして捉えると、いろいろと気になるところが出てきてしまう。

ラスト5分の歩道橋のシーンとその後の描き方が残念

特に気になったのが、ラスト5分の歩道橋のシーンとその後のこと。本作は、心の傷を負った中年男性・木崎(渡辺謙)が、再び福島に帰り獣医の仕事を再開するところで終わる。その前に、木崎は亡くなった娘に瓜二つの女子中学生・亜美(蒔田彩珠)から生きる希望と勇気を貰い、互いがそれを認め合う歩道橋のシーンもある。

なのに、亜美が木崎から貰った愛や希望についての回答が描かれない。確かに主人公は木崎であるが、ここは亜美のその後も描いて欲しかった。冬休みに木崎の下を訪れる1カットでも良い。それがあったら、物語がグッと引き締まっただろうし、余韻も更に明るいものになったのでは?そこが、ちょっと残念だった、

すべての人物設定の"現実味の乏しさ"も残念

あと気になったのは、すべての人物設定の現実味の乏しさと言うか…。女子中学生が一人暮らし中年男性の家に掃除に行ったり、過去をほじくり出したり。まあ、子どもならでの怖いもの知らずと残酷さなのだが、描写の仕方でどうしても無礼で礼儀知らずで無鉄砲に見えてしまった。

そもそも2015年の東京で、見ず知らずの中年男に声をかけられて…と言う物語の滑り出しも現実的かどうか微妙だ。まあ、こう言う独特な “いい人ワールド” で人間を描くのが山田太一脚本の特徴の1つでもあるから、やはり、好みで感想や評価が分かれる作品なのは、どうやら間違いないようだ。

あとがき

渡辺謙さんと高橋克実さんでなかったら、最後まで見たかどうか。折角、企画もテーマもとても良いので、岡田惠和さんみたいな自然体の会話劇が書ける脚本家だったら、現実味のある作品に仕上がったかもしれません。ただ、東日本大震災を忘れてはいけない、その一点において価値はあったと断言します。

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★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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