べっぴんさん (第41回・11/18) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第7週『未来』『第41回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
絶望するすみれ(芳根京子)に五十八(生瀬勝久)は、紀夫(永山絢斗)は帰ってこない可能性もある、前を向くことが大事だと告げる。大雨の中、その場を飛び出したすみれを、栄輔(松下優也)は追いかけるが、何もいうことができない。店に行かず家に閉じこもるすみれを明美(谷村美月)が訪ね、「生きているか死んでいるか、自分で決めれば楽」と励ます。店に向かおうとすると、そこに待ちわびていた紀夫からの手紙が届く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
すみれが栄輔に対して、"さばさば"し過ぎは不自然では?
もう終わったことだが、前回の感想で書き切れなかったことを、備忘録として書いておく。前回のすみれ(芳根京子)と栄輔(松下優也)のくだりを見ていて、ずっと気になってしょうがないことがある。それは、すみれの栄輔に対する心理描写がないこと。
きっと、不倫ドラマのように見せたくないと言う意図的なことだろうが、いくら女中が同居しているとは言え、乳飲み子(そう言うシーンはないが)を抱えて女手一つで生きていく(と決めた?)20代前半の女性のもとに、自分を慕い娘を大事にしてくれ何かと守ってくれる男性が現れたら、気持ちが揺らぐのが当然のような。
確かに、朝ドラのヒロインの家に男がお泊りしても何もないのは百も承知だが、流石にすみれがさばさばしているのは不自然ではないだろうか。すみれはお嬢様だからそんな野暮な気持ちは起こさないとか、栄輔の気持ちに気付かないとか、夫が帰還することを見せておいた上で、視聴者に投げっ放しのが本当に気になった。
栄輔の目線で、すみれの態度を見たら…
一方、栄輔視点ですみれの態度を見てみても、おかしな感じがしてしまう。因みに、前回までのすみれの栄輔への態度を箇条書きにするとこんな感じ。
● 義父から「息子を諦めてくれ」言われるその場に立ち合わせた。
● 女所帯に「泊まっていけ」と頼まれる。
● もちろん風呂付きで。
● 娘のさくらも自分に懐いている。
● 夫が着ていた浴衣を貸してくれる。
● 「3人で桜の花を見ような」と提案したら受け入れられた。
普通の独身男性ならば、この6つを好きな女性からされたら、「自分と第二の人生を考えても良い」ってシグナルにしか見えないと思うのだが。しかし、映像上は、前述のように異常な程にさばさばとした態度のすみれと、夫との写真を見るカットや葬列を見ているカットや語りで帰還を待つ描写が、かなり挿入されている。
で、結論。この脚本と演出では、すみれ自身の言動では栄輔を受け入れる態勢に入ってる感じになっているのに、イメージでは夫の生死を案じ帰還を待ち続ける妻と、完全に2つの人格がすみれで描かれてる。だから、イマイチすみれに感情移入できないのかも?
なぜ紀夫からの手紙を、ここまで引っ張ったのか?
さて、ここから今回の感想。好意的に見ている視聴者は全く感じないのかもしれないが、普通に冷静に見ている私には、2つの大きな疑問が沸いてきた。
1つは、なぜ紀夫からの手紙をここまで引っ張ったのか?ってこと。何度も書くが、第1話で紀夫の帰還はわかってること。それでもここまで引っ張ったのは、脚本家が描きたいことがあったからのはず。では、それって何なのか?そこがよくわからない。
だって、これまでの紀夫(永山絢斗)の出番なんて正直ほんの僅かしかない。どんな人物なのか印象もどんどん薄まっている。そう言う状況で今回突然にすみれがメソメソしだしたり仕事を休んだりされても、こちらは戸惑ってしまう。これまでもっと紀夫を心配している描写があるなら別だが、残念ながらそうなっていなかった。
4人のクローバーが再集結してお店を軌道に乗せる話を描いてきた。それも、売れているのか儲かっているのかよくわかない描写で長々と描いてきた。これを「じっくり」「丁寧」と言えるだろうか。こうなると栄輔のくだりも本当に必要だったのかどうかも疑問になってしまう。ホント、どうしてここまで引っ張ったんだろう?
すみれが"強い女性""逞しい"でないから楽しめないのか?
もう1つの疑問。まあ、疑問と言うより好みの問題かも知れないが。私を含めて未だに面白くなると思って観てはいるものの、今一つ入り込めない理由に、ヒロインのすみれが「強い女性」「逞しい母」でない点があるのではないかってこと。いつまでたっても、お嬢様気質が抜けないことへの苛立ちとも言えるだろうか。
やはり、朝ドラには元気で前向きに生きていくヒロイン像が似合う。しかし、本作のヒロインは、まず基本的に自己主張をあまりしない設定であることと、気持ちをあまり表に出さない。だから、視聴者はヒロインが何を考えているのか、様々に想像する訳だが、なぜかこのヒロインは想像と逆の言動をすることが多い。
「普通は、そうしないだろ?」みたいなこと。きっと本作に共感できずにいる人は、夫の安否はわからなくても生きていることを信じて、娘のさくらを育てるために、友人たちと好きな刺繍を仕事にして、毎日毎日切磋琢磨して生きていくすみれを望んでいるのではないだろうか。
そんなすみれが、いつになっても登場しないから物足りない。少なくとも私はそう。しかし、今回ですみれは紀夫の安否はわかったし、桜の頃には会えることもわかった。どうか、これを弾みにして、オープニング映像にあるような軽快にステップを踏んで前に進むヒロインになって欲しいと願うしかない。
あとがき
個人的には、手紙が届くまでに、明美や義父や他の誰かに何を言われようとも、「私は紀夫さんを待ちます」と凛としたすみれが観たかったです。それがあったら、今回の安否を知らせる手紙での号泣ももらい泣きできたと思うんです。やはり、脚本の全体のバランスがよろしくないですね。脚本次第でまだまだ変わると思います。そこに、期待します。
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坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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【これまでの感想】
第1週『想(おも)いをこめた特別な品』
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第2週『しあわせの形』
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“視聴率=作品の質”か? 「べっぴんさん」視聴率18%台と7日から大台割れ
9
「べっぴんさん」初回“総合視聴率”は27% 新視聴率調査でテレビのおばさん化に影響を与えるか?
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第3週『とにかく前に』
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第4週『四つ葉のクローバー』
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第5週『お父さまの背中』
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第6週『笑顔をもう一度』
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べっぴんさん "お嬢様"を言い訳にし過ぎたり、各エピソードの"配分"の悪さが、ドラマに今一つのめり込めない原因か?
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第7週『未来』
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