べっぴんさん (第25回・10/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第5週『お父さまの背中』『第25回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)は、仲間の明美(谷村美月)、良子(百田夏菜子)、君枝(土村芳)と協力して、靴職人の麻田(市村正親)の店の一角を借り、子供服の店「ベビーショップあさや」をオープンする。お客さん第1号として現れたのはすみれの父・五十八(生瀬勝久)だった。お嬢様育ちで頼りないすみれたちに、五十八が商売の基本を教えることに。そこへ姉のゆり(蓮佛美沙子)が青ざめた表情でやってきて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今回の感想は、前半は高評価、後半は懐疑的に書いてみる
放送開始から2か月目の初日だけに、今後の展開を予想・判断するにはかなり評価が難しい内容だった15分間だった。そこで、卑怯な方法かも知れないが、感想の前半は高評価に、後半は懐疑的に書いてみる。
戦後なのに、ヒロインの時間と空間だけおとぎ話のよう…
まずは、高評価に捉えた部分…
主人公たちの “再出発”
物語の本格的な “始まり”
を感じさせるワクワクする脚本と、それを楽しく見せる演出で、エキストラまでも生き生きとした演技で登場人物たちを魅せる俳優たち。正に、ドタバタせず和やかに進んでいく本作。
戦後なのにヒロインの周りの時間や空間だけが、美しい映像と共に別世界のおとぎ話のように描かれるのは、朝ドラとしては新鮮。その意味では、前々作や前作との差別化も上手く行ってる。
短所を真正面から描く"ヒロインの描き方"が新鮮
また、ヒロインの描き方も新鮮だ。やたらヒロインの活躍や成功を見せつけるかのような、強引な “ヒロインアゲ ” は完全に排除して、むしろヒロインの短所を真正面から隠すこと無く描く。このことが、ファンタジーの中のリアル、虚構の中の真実として、ドラマ全体が放つ “神秘性 ” に大きく繋がっている。
また、ヒロインの自分たちの商品への “価値の見出だし ” や、価格に対する考え方が、父が心配する位にのんびりムードで呑気に描かれているが、これも本作のヒロインらしい描写。
商売を始めるなら当然、最初からコスト管理して値段を付けておくのは当然なのだか、それが思い付かないほどに“思い”が先行して、店を始めることになったことに合わせて、ヒロインのお嬢様育ち故の天然さが、今回の“値付け”のエピソードで描かれた。
商売は、意外と"まずは1人でやってみる"から始まる…
そう言えば、私が十数年前に独立した時、自分の創り出す商品の買い手から見た金銭的価値もわからなかったし、価格表を作る時もこちらから値段を提示するなんて申し訳ないなんて思ったことを思い出した。
実は商売を始めようとする人すべてが、金儲け第一でなく、「まずは一人でやってみる」ところからスタートするのでは?そんな部分も意外に現実的に描かれているとは言えないか。
父から商売を一から教わる過程も、大きな見所になるはず
また、四人それぞれの価値観や役割の違いも、少しずつ見ることができ、今後少しずつ顧客のニーズや自社製品の価値の向上など、ものづくりへの “思い” に、独自な “価値” を見出すための、お客様からの “信用” を得ることの大切さを、似たもの同士の父が娘に教えていく過程も、大いに見所になっていくだろう。
ゆりたちの"良からぬこと"の挿入の仕方が気になった
ここから、懐疑的な部分…
ただね、気になることがあるのは確か。まず一つ目は、先週の土曜日の最後に取って付けたように描かれた姉ゆり(蓮佛美沙子)たちの “良からぬこと” のくだりの続きのインサートの仕方が気になった。
当然、7分過ぎに割り込むのもどうかと思うが、土曜日の最後は一人取り残されるゆりのアップで終わったのに、今回は輩たちに取っ捕まるところから始まるから土曜日の続きに思えない。
せめて、土曜日が逃げる姿で終わっていれば、今回のインサート部分がその後の “今” になるのに。これは、校正や編集の雑と言うより明らかな失敗。折角の良い雰囲気が続いている中に割り込ませる意味が、まずわからないが…
今後のためにも、"値段"の付け忘れは一度で良かった…
そして、やはり気になるのは、“値段” のこと。確かに、上で書いたように “値段” を考えていないと言うのは、ヒロインの様々な特徴を表現するアイテムになっている。ただ、連続ドラマとして考えると首を傾げたくなる。以前にすみれ(芳根京子)が父の靴を解体した時にも出たような気がするが…
そもそも、値段のことを最初に言ったのはの麻田(市村正親)。すみれに写真入れを売ったら良いと言われた時に劇中で値段の話は出てたはず。それに、麻田自身も商売しているのだから、値段のことは真っ先に言っても不思議で無い。だって、売るもなにも買いたくても買えないのだから。
せめて、外人に売った時に値段がついていないくだりが無いか、店が「麻田屋」の店先でなければ、天然だとかおっちょこちょいだとかお嬢様だとか、好意的に解釈できなくもないが、やはり何度も「値段のことを考えていない」のが描かれると、すみれの学習能力を疑ってしまう。
まあ、幼少期のエピソードで何度言っても言うことを聞かないと言った描写もあったが、その時は やると決めたら貫く芯の強い性格と思ったが…
やはり、“値段” のことは、何度も繰り返したのは得策じゃないような。確かに、四人が互いに欠けている部分を補っていくとは想像出来るが、流石に四人で始める時は気付いて欲しかった。基本的な事柄は出来る上での個性で無いと、都度都度おかしなことになる。これは、連ドラとして厳しいのでは…
あとがき
応援もしたいし、期待もしているんですが、脚本や演出が私にとってはブレたり雑に見えてしまう部分があって、どうしても感想なり評価なりを一つの方向に絞り込めずに一か月が過ぎた、そんな感じでしょうか。
なぜ、値段をつけないと言うエピソードを繰り返したんでしょう?主人公が成長していく過程を描くのに、成長していないってことと同じですから。確かに、五十八が商売を教えるまで取っておきたい気持ちもわからなくもないでますが、それならそれで、順番なり場所を工夫したら良かったのに。がんばれ、脚本家さんと演出家さん。
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ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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