べっぴんさん (第21回・10/26) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第4週『四つ葉のクローバー』『第21回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
すみれ(芳根京子)は、闇市で働く潔(高良健吾)と栄輔(松下優也)の協力で、外国式のおしめ用の生地を手に入れる。すみれは再び看護婦の明美(谷村美月)の元を訪れて説得。作り方を教えてもらったすみれは、妊娠中の友人・エイミーにおしめを売ることに成功する。その後、無事に娘を出産したエイミーは、「代々大切に着続けられる特別な服」を子供のために作ってほしいとすみれに頼むのだが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
本作は、「ものづくり」の物語だから…
映像のことは、前回の感想で大絶賛したから、今回は脚本を…と思っていたのだが、脚本や演出でちょっと気になったことを書いてみる。
まず、物語としての流れとしては間違っていると言うわけではない。見る人によっては、明美(谷村美月)との蟠(わだかま)りや、おしめ用の生地の調達も、(シャーロット・ケイト・フォックス)の高齢出産の件も、3人の友情の復活も、今回の15分間で解決してしまったように見えるかもしれない。
もっと、紆余曲折や山あり谷ありで描いて、見応えのある作品にして欲しいと思うかもしれない。しかし、以前から書いているように本作は「ものづくり」の物語。だから、「ものをつくると言うこと」をしっかりと丁寧に描かないと、この先でどんどんおかしなことになりやしないかと、それが心配なのだ。
すみれの"衝撃"が、映像から伝わらなかったのが残念
今回で言うなら、おしめの当て方すら知らなかったエイミーが、すみれ(芳根京子)が作って来た西洋式おしめを一目見て「これだわ!この形!」と言うったあたりの違和感から丁寧さが欲しくなった。
その後の明美がエイミー宅に来て、おしめの当て方を教えるシーンで、明美が2度目に教えてるにも関わらず、エイミーの目が一瞬だけ赤ん坊に行く。ここはしっかり明美を見ていないとエイミーが適当な女性に見えてしまう。ここは演出がしっかりやって欲しかったところ。
そして、今回の脚本と演出で一番物足りなかったのが、語りでわざわざ入れた、西洋式おしめに対するすみれの “衝撃” が映像で伝わってこなかったこと。まあ、“衝撃” と言っているのはナレーションだけで、当のすみれは楽しそうに赤ん坊を見ているだけだと言うのもあるが。
苦労して頑張ってる姿を"並べただけ"では、物足りない
済んでしまったからどうしようもないが、この西洋式おしめが次の仕事に繋がる重要なアイテムであるし、その次の代々着られる子供服が更に物語を大きく変えるであろうことも想像出来る。だとしたら、もっと「日本式」と「西洋式」の生地や製法や当て方の “違い” を映像で見せたら良かった。
やっとの思いで聞き出した明美からの「作り方」を教わるシーンでも良かったし、明美の言葉を思い出して夜なべして裁縫をするシーンでも良かった。ただ、苦労して頑張ってる姿を並べただけでは、「ものづくり」の物語としては物足りない。
本作では、煮沸消毒をしているシーンが挿入されたが、あの台詞も残念。明美から教わったような台詞になっていれば良かったのだが、すみれの思い付きか知恵になっていた。もっと “違い” を自分なりに咀嚼、解釈して、すみれなりの「西洋式おしめ」を作り上げていく過程が乏しいから物足りないのだ。
明美が、すみれのおむつを褒める"1カット"さえあれば…
だから、たった1カットで良かった。本物の「西洋式おしめ」を知っている明美が、すみれが作ったおしめを褒めるカットがあれば、すみれの “思い” だけでなく “才能” や “技術” まで表現できたのだ。そんな1カットの積み重ねが、本作をヒロインの「ものづくり」の物語へ、着実に昇華していくのではないだろうか。
あとがき
描こうとしていることもわかりますし、物語の流れも悪くはありません。ただ、もう少しヒロインの「もの」への拘りが描かれないと、ヒロインが自己満足でやっているようにしか見えていない段階です。
「生活していくために」の部分は良いとして、「べっぴんさんを作りたい」と言う部分を、そろそろすみれが思い出して(でも良いから)表現したら、確実に物足りなさは無くなるはずです。着実に話が前に進んでいるのは確かなので、『べっぴんさん』のタイトルに今一度立ち返って描いて頂きたいです。
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」オリジナル・サウンドトラック
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