べっぴんさん (第18回・10/22) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第3週『とにかく前に』『第18回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
やる気を取り戻したすみれ(芳根京子)は、さくらを抱いてエイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)を再び訪問する。エイミーから外国式のおしめの存在を聞いたすみれは、昔、外国人を相手に育児の講習会を開いていた看護婦の明美(谷村美月)を思い出す。外国式のおしめの作り方を教えてもらおうと、神戸中の病院をしらみつぶしに訪ねながら明美を探すすみれ。そして、ついに明美をみつけるのだが……。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「エキスパート」の言葉が出るまでが、6分間は長過ぎる
6分過ぎに、すみれ(芳根京子)の口から「エキスパート」の言葉が出るまでの長いことったらありゃしない。その「エキスパート」もふと思い出したのだから、エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)とのくだりは実務上は大人の事情の無駄エピソードに近い。これは困った。
朝ドラは、最初の3週間で視聴者を釘付けにしないと、始まって1か月近く経った4週目から観始まるなんて殆どいないはず。だから、この第3週の土曜日は、本作の今後にとってとても重要なのに、なぜこんな “無駄” を挟むのか。もちろん、冒頭の近所の主婦たちとのくだりもそうだ。
ドラマには"雰囲気づくり"のエピソードも必要だが…
物語に必要なら、出来る限り時間を割いて丁寧に描いて欲しいし、本作だって、はな(菅野美穂)が亡くなる前後の3回ほどはそうしていた。しかし、“ふと思い出す” なら物語に関係ない。いや、ドラマには「雰囲気づくり」と言う役目のエピソードも必要だ。
最初の主婦たちとのやり取りなんてその類だろうが、3回続けて笑えもしなければ、全くドラマに馴染んでいない。むしろ、邪魔だ。エイミーのくだりも「逐次通訳」するから2倍以上の時間がかかる。NHKは演者を長く画面に映しておきたいから日本語を話せない設定にしたとしか思えない。これもまた、明らかに無駄だ。
そして、すみれと女中の喜代(宮田圭子)が、「エキスパート ⇒ 明美 ⇒ 坂東家の女中・マツの娘 ⇒ 六甲中央病院の看護婦」と思い出していく流れも、わざと連想ゲームにして尺伸ばししてるし、ゆり(蓮佛美沙子)と喜代のやりとりでは、ゆりが「そうやないけど」と用が無いと言ってしまっている。
10分も話が進まない!? 「退屈」と言われても仕方ない
で、結局、この日のすみれは、街中をただふらついて夜になってフェードアウト。ここまで、ちょうど10分。不要な回想シーンも多いし、とにかく10分間も話が全く進んでいない。これはいけない。これでは「退屈」と言われてもしょうがない。ここ最近は応援団に徹している私も退屈と思ってしまったから…
さくらと栄輔(松下優也)の冒頭のコントも青春のくだりも、全く明美を探すと言う目的には無関係。そもそも、画面奥に海があってバイクは上手(画面右側)にバイクが進んでいたが、あの向きで神戸からどこへ向かったと言うのだ。
でもって、13分間も要してやっと出会えた明美(谷村美月)が、何と言う運命なのか神様の力なのか、ヒロインが病院に入った途端に階段から登場しちゃった。まるで、超能力者の明美がすみれが来るのを踊り場でずっと待っていたように。大事な、第3週の土曜日がこれで良いのだろうか?
すべてが、ラストの明美との再会のための時間繋ぎに…
これ、冒頭で、エイミーが片言の日本語で「エキスパートの明美を探したら?」と言って、すみれが「明美さん、どうしてるんだろう?」と女中の喜代に相談すれば、90秒位のアバンで済んじゃう話だ。それを長々と…。
もちろん、すみれの中盤での麻田(市村正親)やゆりとのやり取りなんかは、本作の人間関係を描く上でも、ヒロインが孤立していないように見せる意味でも、決して悪くはない。ただ、今回のこの流れの中に入ってしまうと、ラストの明美との再会のための時間繋ぎに見えてしまう。
ご近所の主婦たちより、女学校の友人でアバンをやれば…
終わったことに何を言ってもそれこそ “無駄” なのだが、多分来週は西洋式おしめの布を手に入れて、明美に作り方を教えてもらうって、作った西洋式おしめを気に入ったエイミーが子供の服を作って欲しいと言う内容だろう。
予告編では、女学校時代の手芸倶楽部仲間の良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)も登場していたから、明美も加わった4人で、いよいよ「べっぴん」作りを始めるに違いない。
だとしたら、映像的には、ご近所の主婦たちとのやり取りは、戦後の苦しさとそんな中でのささやかな幸せのひと時を描くのにちょうど良いが、ここは今週中に良子と君枝を登場させて、子育ての苦労話なんかを毎回のアバンで入れておけば良かったのでは?結局、来週も “都合良く” 見えてしまうような気がしてならない…
あとがき
昨日に頂いたコメントですが、目から鱗が落ちるような内容でしたので、非公開希望ゆえお名前は伏せさせたまま、少し触れさせて下さい。これまで当blogでは、本作の第2週までの脚本や演出を「拙速」と表現してきました。しかし、調べてみると、【拙速=できあがりがへたでも仕事は速いこと】と、あります。
確かに、第1週の最初の数回は「へた」な部分がありました。でも、それ以降は「へた」ではなく、どちらかと言えば「せっかち」って感じ。これは【性急=落着きがなく、気短なさま】に近いですね。従いまして、これからは「拙速」でなく「性急」に改めようと思います。
このような小さな部分まで読んで下さった上に、謙虚にそっと教えて下さる読者の方がいらっしゃるのはありがたいです。今後、言い回しには気を付けようと思います。
さて、本作の「あとがき」の本論へ。今日の15分間に限って言えば「性急」と言うより「雑」ですね。脚本の構成の稚拙さと、前後を考えない演出によって、多くの無駄(今回は不要な回想シーンも多かったです)が目に付きました。そして、いろんな大人の事情も見えちゃいました。
昨日までの私は結構楽しく見てました。でも、世間での本作の評判は、あまり良くないんですよね。まず内容が、「業界での女性先駆者の成功物語」として、前2作と被っています。更に第2週は、「お嬢様が何不自由なく結婚して出産」したように、見える人には見えたはずなんです。
だから、来週でがっつりと描かれるであろう、西洋式おしめと子供服づくりの重要な “橋渡し役” であるエイミーと明美のくだりは丁寧に慎重に描いて、“とにかく前に” ではなく、「明日の朝も見たい」と思わせるワクワク感を創出するのを、第一に考えた脚本と演出にするべきだったんです。
そのプロローグとしての、今週の金曜と土曜日での “エイミーと明美の描き方” は残念過ぎます。こう言う展開なら、「何不自由なく結婚して出産」のくだりをもっと膨らませて、金曜日に靴屋で商売を始め、土曜日にエイミーに叱られるまでに区切った方が良かったような。
来週が、様々ない意味で本当の正念場。良いところもたくさんあるので、次週も応援しようと思います。
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坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」 (中経の文庫)
ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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