べっぴんさん (第16回・10/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第3週『とにかく前に』『第16回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
仕事をして生き抜く道を模索するすみれ(芳根京子)は、幼い頃からなじみの靴屋・麻田(市村正親)の店で手づくりの手芸品を売り始める。しかし、戦後の厳しい状況下で、趣味の品が売れることはないと気づく。悩みが深まる中、唯一商品を買ってくれた外国人通訳のジョンの依頼を受けて、出産の時を待つ妻・エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)に日本のおむつを持参するが……。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
回想も語りも抑えて、映像で魅せたアバンに一安心
今回のアバンタイトル良いじゃないの。前回で指摘した “多過ぎるはなのナレーション” が改善されて。特に良かったのが、すみれ(芳根京子)が生地に鋏を入れるシーンにナレーションが被らなかったところ。本作は 「ものづくり」を描くドラマだから、作業の音、今回なら鋏の音はきちんと視聴者に聞かたのは大成功。
潔(高良健吾)との回想シーンも最小限に抑えて、「小嬢ちゃん」を効果的に聞かせたことで、いよいよはなの「そうと決めたら、がむしゃらに頑張るすみれです」の天国の母の声が生きてくる。そう、これが次元を、時間を超えた家族の物語だ。裁縫の手際も私が見る限りでは悪くない。とにかく映像で魅せたアバンに安堵した。
今回は、すみれの性格や人格が次々と描かれた
主題歌明けもナレーションが「ここで来るか!?」と思いながら見ていたが、その心配は良い方向へ悉く裏切られヒロイン・すみれの性格や人格が次々と描かれた。当然に順風満帆で手作り小物が売れるはずは無いのだが、その主人公の苦悩を売れない日々の時間経過で描いていたのが、これまでの本作だった。
でも今回は、母子家庭で幼い頃からすみれとの境遇の差に、複雑な思いを抱く苦労人の明美(谷村美月)を登場させて、すみれの動揺を描いた。この動揺の表情から静かなハープの音色の劇番がスタート。直後のバラック小屋でのランプの灯りが突然消えるシーンで、更にすみれの心情を補強して、明るい翌朝でも劇番は続く。
栄輔(松下優也)の「死んでもうたら、何にもならへん」に励まされて、裁縫に再び専念するのもいい感じ。もちろん、栄輔のこの台詞の時は劇番はフェードアウトしている。うん、ここまでの編集は良く出来てる。
エイミーよりジョンを先に登場させたのは大正解
そして、ヒロインが生まれて初めて「商売」を成立させたシーンも自然な流れ。
これまでのように、いきなりエイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)を道端で出会うような登場方法をさせずに、まず夫のジョン・マクレガー(ドン・ジョンソン)をクッションにして、「妻を心配する夫」「産まれてくる子どもを心配する父」に共感してすみれが「決心」をするのが良かった。
エイミーが先だと、「同じ母親同士」の共感となって、すみれの動機が小さくなってしまう。ジョンのひと手間をかけたことで、ヒロインがものづくりで商売をしていくことが、妙に飾り立てることなく示されたのは、やはり計算による脚本の良さ。
語りは、天国からの母の"語り掛け"口調が良いのでは?
そして、思いもよらぬエイミーの憤慨に戸惑うすみれ。ここまで、ほぼベストな仕上がりだったのに、最後の最後でやっちゃった。折角今回はナレーションの少なさが際立ったのに、最後の最後でまたヒロインの表情に語りを被せた。既に、語りなんか無くても芳根京子さんの演技で十分に伝わっているのに。
これね。語りが多いにも気になるのだが、語り口がたいへん気になるのだ。今は「ストーリーテラー」的な朗読の文体になっているが、あれだけ印象的な母子の死別を描いたのだから、思い切って天国からの母の「語り掛け」「応援」的な口調の方が作品に合っているのでは?私の声がNHKに届くと良いのだが。
あとがき
やはり、ナレーションは少ない方が良いですね。物理的に、すみれの声も多くなりますし、何よりヒロインを描き魅せてこその朝ドラですから、もっと語りは必要最小限で良いと思います。とにかく前回の不安は払拭されて良かった『第16回』でした。
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上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
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連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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