べっぴんさん (第15回・10/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第3週『とにかく前に』『第15回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
戦後の混乱期の中、困窮した生活を送るすみれ(芳根京子)。持っているものをお金に換えて生活しようと考えるが、姉のゆり(蓮佛美沙子)の夫・潔(高良健吾)に、これからは自分で仕事をして稼いで生き抜かないといけない、と諭される。新しい道を模索しつつ、すみれは持っていた靴をお金に換えようと、幼い頃からの馴染みの靴屋・麻田(市村正親)を訪ねる。すると、麻田から思いもよらぬ提案が……。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
潔の台詞で、不安が過っていた脚本に"再び"光が射した
なぜ、わざわざ物語の舞台を大阪に移すんだろう?と言う単純な疑問で始まった第15回。子育て中のすみれ(芳根京子)が意識的に神戸から引っ越すのって違和感を覚えてしまった…。ただ、後半の潔(高良健吾)のこの台詞で、不安が過っていた脚本に再び光が射してきた。
潔「働くしかない。
すみれちゃんも自分の手で仕事して自分の足で生きるんや。
昔のように小嬢ちゃんのままではおられへんのやで」
もちろん、この台詞は本作を、ヒロインを、物語を大きく展開し、変化させる大事な言葉だ。そして、この台詞の直前の「これからはタケノコをやっていても先は無い」を受けて、すみれがタケノコから脱する “区切り” として、結婚式用の靴を売りに出す “決断” をさせる重要な言葉でもある。
潔がすみれを「小嬢ちゃん」と呼ぶのが好きだ
特に、この潔がすみれを「小嬢ちゃん」と呼ぶのが私は好きだ。5歳離れたゆり(蓮佛美沙子)お嬢様に対して、8歳離れたすみれを「小嬢ちゃん」と呼ぶ。このたった1つの単語で、どれだけ潔が妹のようにすみれのことを昔から可愛がり心配しているのかが伝わってくるからだ。
だから、子役編の回想シーンも前後のシーンとの馴染みも良くなるし、劇番も1曲をずーっと引っ張ることで、潔の助言、すみれの気持ちの変化、懐かしい思い出、そして毅然とした態度でピシャリと過去と決別する流れがスムーズに見える。
麻田の言葉を背負って、靴箱を持って立つすみれが印象的
そして、馴染みの靴屋・麻田(市村正親)のこの言葉を背景に、靴箱を持ったまま立つすみれのシーンは、久し振りにジーンと来た。
麻田「誰がどんな思いを込めて作るのか。
それが一番大事なんです」
やはり、1週間に一度はこの位の脚本、演出、演技の三位一体が成せるグッとくるシーンを観たいものだ。これがあれば、描くべきことのために多少は拙速に進んでも気にならない。だって、半年間も続くのだから。
美しい再会シーン まるでファンタジーが始まる予感…
すみれと麻田の再会したシーンも良かった。靴にだけピントが合って他はボケさせたカットや、すみれに背後から光が射してコートの輪郭線だけが光るのも美しい。更に麻田とすみれには順光が当たっておらず淡い照明になっており、何ともほんわかした懐かしい雰囲気を上手に醸し出していた。
そして、麻田の「いろんなもん作って、ここで売ったらどないですやろ」の一言が、すみれに魔法をかけたような映像。演技も音楽も瞳への照明も、まるでファンタジーの始まりを予感させる美しさ。前回から一気に巻き返してきたかもしれない。
もう映像だけで十分 流石にナレーションが多過ぎる
それにしても、流石にちょっとナレーションが多過ぎやしないだろうか。アバンタイトルでの戦後の街の経済状況についても、安定した映像だけで十分に表現できているのに。確かに、朝ドラは耳だけでも内容がわかるようにつくるそうだが、だとしても多過ぎる。
特に先週から前回までは、とにかく時間経過させて物語を動かすために、大量とも言うべきナレーションが投入された。お陰で、今回は久し振りにすみれの声をちゃんと聞いた満足感があった。って、これで良い訳がない。
また、今回のラストカットのように、ヒロインのたいへん重要な表情のカットに、ナレーションを被せるのはそろそろ止めた方が良い。何度も書くが、もう十分に映像で内容は描けている。語りは極力少なくすべき。大人の事情で菅野美穂さんを登場させるなら、第1週での名場面をインサートすれば良いのでは?
あとがき
今回は見事に、すみれの複雑な心情を描いてくれましたね。この位にヒロインを前に押し出して内面を描いてくれると満足度が高いです。いよいよ、すみれの刺繍が動き出すようです。再び先が楽しみになってきました。
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上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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