べっぴんさん (第9回・10/12) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『べっぴんさん』(公式)
第2週『しあわせの形』『第9回』の感想。
なお、ヒロイン・坂東すみれのモデルは、アパレルメーカー「ファミリア」創業者の1人である坂野惇子(ばんの あつこ)さんで、関連書籍は未読。
すみれ(芳根京子)は、姉のゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)の披露宴に出席し、お祝いに訪れた祖母の坂東トク子(中村玉緒)から、五十八(生瀬勝久)の昔の話を聞く。五十八がすみれの母・はな(菅野美穂)と苦労をしながら財を築いたことを知り、五十八の「家」への思いに共感するすみれ。五十八が持ち込んだ縁談話に、相手も確認しないまま「結婚する」と決めたすみれだったが、その相手は…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
あの"タペストリー"のある部屋で…
序盤のすみれ(芳根京子)に、すみれの祖母の坂東トク子(中村玉緒)が昔話をするシーンはテンポよく進む本作にしては、久し振りにじっくりと表現された。その場所は、すみれの母・はな(菅野美穂)の我が娘たちへの「想いをこめた特別な品」であるあのタペストリーのある部屋で。こう言うのがホント、大事。
ヒロインの"決意"をさりげなく魅せた
この昔話も、単純にトク子の長台詞に数枚の写真で済ませずに、若かりし頃の五十八(生瀬勝久)とはな(菅野美穂)の回想シーンを幻想的な美しい映像にこしらえて尺を長めに挿入して魅せる映像に仕立てたことで、単なる過去の苦労話で終わらせずに、今後のヒロインの “原動力” みたいなものを描くシーンになった。
病弱な身体と強い心の母はなと、夫婦二人で築いてきた五十八の「家」への人一倍強い気持ちに共感したすみれが、翌朝五十八と二人だけで朝食を食べるシーンでの「すみれとも、いつまで一緒におれるやろな」に微妙な反応をするのも、ヒロインの決意をさりげなく魅せた印象的なシーンだった。
"戦中"の父と娘の水入らずの幸せな新年の表現の仕方
時計が進んで、季節は正月。前作では大変気になった一度に何日分も撮影したのが見え見えの食事シーンだが、本作のこの場面では前のシーンと衣装と料理が違っただけで、座る配置も日差しも同じだけに「父と娘の水入らずの幸せな新年」を描くには十分。使用人たちとの会話を含めて、数分で戦中の正月を表した。
時間経過が早過ぎるとの視聴者の声もあるようだが、よーく見ればちゃんと描くべきは描いている。そう言うところを見て欲しいのだが…
本作はよーく見なければいけない。緊張感ある作風だから
そして物語はヒロインの「結婚」へ進んでいく。更に、五十八からの縁談に「この家を絶やしたくない」と即決。普通なら数日悩み苦しむシーンが入るような場面だが、視聴者は「結婚」「出産」は既に予告編で知っているから、前述した “さりげなく魅せたヒロインの決意” で代用。いや、私にはこれで十分。
期間限定のドラマだし、放送時間の制約のある朝ドラだし、描くべき部分に放送尺を十分に確保するためのエピソードの取捨選択なら、大いに結構。だから、本作はよーく見なければいけないのだ。何となく葛藤、苦悩してるなんてぼやけた脚本や演出や演技は無いのだ。そう、全編に緊張感が迸(ほとばし)る作風なのだ。
見合い写真の相手を、よくぞ、ここでも割り切った
そして、ラストで幼馴染の紀夫(永山絢斗)の見合い写真を視聴者に見せたのも良かった。と言うか本作の描く姿勢を考えれば、当然に見合い相手が誰かなんて、みんなが知ってることで引き延ばすことなんてしないのは当然。よくぞ、ここでも割り切ったなって感じ。どうやらこのペースで週末まで行くようだ。
あとがき
無駄を省いて、テンポよく見せよう。描くべきことに時間を割こう。このスタッフの意気込みには大賛成です。ご近所話や恋バナで引き延ばす必要なんてありませんから。でも、もう少しじっくりと魅せる場面があっても良いかなって気はします。
第1週では、「母の死」がありました。毎週とは行かなくても、2週に1度位のペースで、じっくりと魅せる場面があると満足感が高まるのではないでしょうか。その方が、期待感も高まりますし。それにしても、この潔い脚本と演出はスゴイです。
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ファミリア創業者 坂野惇子 - 皇室御用達をつくった主婦のソーレツ人生
坂野惇子の人生 (MSムック)
上品な上質---ファミリアの考えるものづくり
時空旅人別冊 “べっぴんさん"坂野惇子の生涯: サンエイムック
連続テレビ小説 べっぴんさん Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上
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