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とと姉ちゃん (第154回・9/29) 感想

連続テレビ小説「あさが来た」

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』公式
第26週『花山、常子に礼を言う』『第154回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
 本作は 8/25 にクランクアップ(撮影終了)しています。
 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。


戦争特集号の『あなたの暮し』は過去最高の売上を記録し、ついに念願の100万部を突破する。満足気に読者からの手紙を読む花山(唐沢寿明)に、常子(高畑充希)は体調を整えるよう伝える。そして、昭和49年冬。花山は口述筆記が多くなっていた。ある日、常子が原稿を取りに行くと、最後の一行が足りないことに気づく。不思議に思っている常子に、あとがきを花山が依頼する。その文章は、まるで読者に向けた遺書のようで…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

蛇足で自分の首が絞まる

もう、一々書くのも面倒だが、前回の感想に51回ものWeb拍手やたくさんの共感コメントを頂戴したから、「今回も変なドラマ」の1行で終えるわけにはいかないから、私なりのドラマ愛で本作に斬り込んでみる。

それにしても、前回も書いたが、どうして本作は “脚本の意図と演出方針と俳優の演技” ここまでがチグハグなのだろう?まあ、稚拙な脚本がすべての元凶だのだが…

今回のアバンタイトルもそう。脚本はめでたく本が売れて上機嫌そうな常子(高畑充希)。読者の手紙に満足げな病身の花山(唐沢寿明)。花山の体調を気にする美子(杉咲花)と、既にこの時点でバラバラ。まあ、それは目をつぶるとして、演出は明るく次への船出を思わせる劇番で…とここまでは良いとしよう。

しかし、演じる唐沢寿明さんの苦戦さえ見える「決して無理はせんよ」の苦笑に、妙な満面の笑みの常子を直結するから、「本気で花山を心配してるの?」「また花山を利用して金儲けを企んでる?」と見えちゃう。素直に花山の「安心しなさい」で主題歌に行けば良かっただけ。結局いつもの蛇足が首を絞めたってこと。

独りよがりな脚本、場違いな演出、曖昧な演技

で、主題歌明け。これも脚本家はメリハリのつもりなんだろう。最初は楽しく編集部員たちが花山に叱られたことを懐かしみ、花山の存在を再確認しているところに、もはや口述筆記もままならに病状であるとの負の一報が入る。

しかし、この「明→暗」への転換部に、あらぬことか男性社員の「たまきちゃん…」のセクハラ風台詞を挟むから、たまき(吉本実憂)以外の全員が花山を無駄話のネタにしているように見えてしまった。更に演技指導も、男性社員に “壁ドン” 風の芝居を付けるから、益々「この男何様?」「何?この会社」となる。

前回では「雑で稚拙な脚本、表面だけの不確かな演出、不明瞭な演技」のことを詳しく書いたが、今回はこんな2分にも満たないシーンで、今度は「独りよがりな脚本、場違いな演出、曖昧な演技」が牙を剥く。一体、どれだけ私を始め視聴者をイラッとさせたら気が済むのか。

常子が病床に長居するシーンは、常子にマイナスなだけ

そして今回の最大の見せ場のつもりであろう、3分半以上に及ぶ唐沢寿明さんの長台詞と渾身の演技。確かに花山の気持ちは、超好意的な脳内補完によってわからなくもない。しかし、完全に共感できない3つの理由がある

 ● 花山が言う程、「あなたの暮し出版」が苦労したように見えていない。
 ● 高畑充希さんの泣きそうなのを我慢して微笑む演技に気持ちが入っていない。
 ● そもそも花山が、病床で全文を台詞で言う必要があったのか?

本来は、(演技のことは詳しくないから)俳優の演技には言及したくないのだが、このシーンは台詞と演技が見せ場だから、それがどう伝わっているのかは大事だから書いてみた。特に気になったのが、3つ目。花山の病状を考えれば、常子が病床に長居をするシーンは、常子の優しさを感じさせないだけ。

唐沢寿明さんの長台詞と高畑充希さんのガラス玉に涙で感動を、と言う目論見だろうが、死にそうな父・竹蔵(西島秀俊)を寒空の外へ連れ出した第1週目の幼少期の常子と重なって “病人に優しくない身勝手な子” の印象が復活してしまった。

あとで、花山が玄関まで「挿絵」を持ってくるシーンも唖然の一言。死が間近に迫ってる登場人物を雪降る季節の玄関に立たせるなんて、きっと脚本家自身がそう言う意識に欠けているに違いない。いや、登場人物を愛していないのかもしれない。でなければ、今回のようなクライマックスは描けないはずだから。

あとがき

「もし、花山さんがいなくなったら、私どうしたら良いんですか?」
と常子が言っていました。その言葉を受けて花山はこう返しました。
「君はね、27年一緒にやってきて “だいたい僕の考えと一緒” だよ」

常子と花山の考えが “だいたい一緒” なんて、どれだけの視聴者がそう思ってるんでしょう。今回の流れから見ても「花山さんがいなくなったら」と言う常子の心配は、花山の体調や存在そのものでなく、「あなたの暮し」と「あなたの暮し出版」の終焉を案じているようにしか見えません。

そして、ついに放送も残り2回となりました。敢えてまだ書くことがあるとしたら、出演した一部の俳優さんたちは『とと姉ちゃん』で付いた悪いイメージを、今後の作品で乗り越えて欲しいです。そのハードルは相当な高さだと思いますが、作品を、役を選んで挑んで欲しいです。

たくさんのWeb拍手やコメントをありがとうございます。本作もあと2回。最終回までよろしくお願いします。

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【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本)
花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子 (暮しの手帖 別冊)
大橋鎭子と花森安治 美しき日本人 (PHP文庫)
大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
花森安治のデザイン
花森安治伝: 日本の暮しをかえた男 (新潮文庫)
花森安治 増補新版: 美しい「暮し」の創始者 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)


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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
7 8 9 10 11 12
第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
95 96
第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
103 104 105 106 107 108
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
109 110 111 112 113 114
第20週『常子、商品試験を始める』
115 116 117 118 119 120
第21週『常子、子供たちの面倒をみる』
121 122
朝ドラ「とと姉ちゃん」の高い視聴率と増える厳しい意見の“ねじれ”を考える
123 124 125 126
第22週『常子、星野に夢を語る』
127 128 129 130 131 132
第23週『常子、仕事と家庭の両立に悩む』
133 134 135 136 137 138 138(その2)
第24週『常子、小さな幸せを大事にする』
139 140 141 142 143
朝ドラ「とと姉ちゃん」 やはり「暮しの手帖」関係者も怒り心頭だった
144
第25週『常子、大きな家を建てる』
145 146 147 148 149 150
第26週『花山、常子に礼を言う』
151 152 153

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内容戦争特集の“あなたの暮らし”は、100万部を突破した。そんななか常子(高畑充希)は、花山(唐沢寿明)から。。。 敬称略 おかしな作品だよね。 何も描いてこなかったのに、描いたとして進んでるよ。 実際は、 劇中で描かれたことは、無駄ばかりで、必要のないモノばかり。 ドラマとして描かなきゃならないものは、ほぼ全て...ナレーションなのに。

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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