とと姉ちゃん (第153回・9/28) 感想

連続テレビ小説「あさが来た」

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』公式
第26週『花山、常子に礼を言う』『第153回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
 本作は 8/25 にクランクアップ(撮影終了)しています。
 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。


「いい加減になさってください!」。常子(高畑充希)は、体調の悪い中取材を続けようとする花山(唐沢寿明)を叱りつける。家族も社員も心配しているのだから、もっと真摯に受け止めるべきだと言葉を重ね、自宅で作業をするように命じる。読者から来た数々の戦争体験の手紙を見せ、花山が納得するまで会社と自宅を往復する覚悟だと伝える。感銘を受けた花山は、読者から来たものをすべてまとめ、一冊の本にすることを提案する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

「変なドラマ」の一言

今回の15分間なんて、重箱の隅を楊枝でほじくるでもしない限り、「変なドラマ」の一言で感想を終えても良いレベル。でも、それでは折角読みに来て下さった読者の皆さんに申し訳ないから、今回はなぜ私が「変なドラマ」と思う理由に基づいて、書くシーンを突っついてみる。

なぜ、主人公が脇役扱いになるエピソードを持ってくる?

確かに史実では、暮しの手帖社から1968年に発行された『暮しの手帖 96号』に「特集―戦争中の暮しの記録―」があり、その翌年1969年8月15日に、『戦争中の暮しの記録<保存版>』が出版された。そして、戦後71年経った今こそ、日本の戦争体験を風化させない努力が必要なのも大いに認める。

 

「戦争特集なんて、“あなたの暮し” らしくないんじゃないでしょうか?」

劇中でのある編集部員の言葉だ。この台詞こそ、本作が「変なドラマ」であることを象徴し、私や一部の視聴者の今の気持ちを的確に代弁している。なぜなら、みんなこう思っていやしないだろうか?

「戦争のエピソードなんて、最終週の残り4話で描くことでしょうか?」

と。前回のゴンゾウさんからのコメントへの返信で、私が想像する本作のスタッフが描こうとした三本柱を挙げた。それが下記の3つ。

 1. 父親代わりにお金を稼いで家族を幸せにする長女のヒロインの女一代記
 2. 戦前~戦後をたくましく生きる三姉妹の年代記
 3. 天才編集者・花山と出版社社長・常子が、
   女性のための雑誌で一世を風靡するサクセスストーリー

そう、戦争体験は三姉妹のパートで描いた、描くべきことだったのだ。しかし、第15週の常子(高畑充希)が花山(唐沢寿明)と一緒に仕事をしたいと言うくだりで、必要以上に史実を改悪して「戦争への念」を花山の最大の “心のしこり” に描いてしまった。ただ、本来はそれだけで終われば良かっただけのこと。

さて、そろそろ「変なドラマ」の理由だが、そんな風に花山自身の “心のしこり” を最終週の中心に据えて脚本を書いたら、どう好意的に見ても、社長以下編集部員もただの読者の手紙の整理整頓係程度にしか映らないのは百も承知のはず。ヒロイン、主人公は常子なのに脇役扱いの話を持ってくるのは「変」でしかない。

出版社が舞台のドラマなのに、編集作業が描かれない

「常子たちは、戦争特集号の編集作業に今まで以上に没頭しました」

明るく前向きな船出のような劇番に乗せて、語りが自信満々に言うのがこの台詞。しかし、私たちは「今まで」の編集作業を見せられただろうか。洗濯機やトースターの商品試験のシーンは記憶にあるが、所謂「普通の編集作業」を見ていない。だから、語りで自己弁護しているわけだ。

しかし、これもおかしくないか。本作は、「天才編集者・花山と出版社社長・常子が、女性のための雑誌で一世を風靡するサクセスストーリー」なのに、花山ですらたまに原稿にペンを入れてる程度の印象で、あとは「編集会議」と言う名の常子の演説会しか描かれていない。

出版社が舞台のドラマなのに、編集作業が描かれない。今回の編集作業もいつもの「本が飛ぶように売れました」と同じイメージカット風な処理。そして、大袈裟でご丁寧な語りで補完して編集作業は終了。これも「変なドラマ」と言える根拠の一つだ。

雑で稚拙な脚本、表面だけの不確かな演出、不明瞭な演技

そして、今回、いや本作全体を「変なドラマ」と言わざるを得ないのが、シリアスとコミカルな場面がきちんと描き分けられていないこと。

もっと言えば、シリアスやコミカルな場面によって(一応)テンポ感を出したり、ある意図を込めた(稚拙な)脚本を、きちんと咀嚼せずに表面だけをなぞる不確かな演出で、その演出を受けてのどっちつかずの不明瞭な俳優の演技で映像にするから、感動も出来ず、笑えもせずの中途半端な仕上がりになってるのだ。

例えば今回ならば、冒頭での「大変です」から始まる花山と常子たちのやりとり。演出は劇番含めてコミカルで始まるのに、脚本では突如常子が「いい加減にして下さい」とシリアスに言うから常子への嫌悪感が増す。

今度は変化球。常子が「何度でもご自宅と会社を往復する覚悟です」と言うくだり。演出はほのぼの系で、常子の台詞も編集部員も花山の応援団になっているのだが、覚悟してまで往復する距離って、病身の花山が歩いて来れる距離なのだ。それが頭に浮かぶから違和感になる。ちゃんと距離を見せないからこうなるのだ。

花山の「まだまだ私の校正なしで掲載は無理だな」のくだりも同じ。脚本は花山が元気で現役な事を書いているのを、演出は映画『ピンク・パンサーのテーマ』のテーマ曲のパクり(リスペクト?)みたいな劇番に乗せてコミカルに仕立てたが、花山を見る美子(杉咲花)の演技が中途半端だから「しめしめ」に見えちゃう。

きっと制作現場が何を描くべきなのか迷走しているのだろう。おそらく、常子が鳥巣商事を退社し甲東出版に入社した辺り、ちょうど戦争の足音が強まってきて、物語が花山を迎え入れて「出版編」に切り替わる頃に迷走が始まってる。だって、その頃から「とと姉ちゃん」がどうでも良い存在・設定になり始めたから…

あとがき

放送も残り4回と言うのに、主人公の常子が完全に脇役の一人になってしまいましたね。次回は、売上100万部突破の報告に常子が行くと、一気にやつれた花山が登場して…って感じでしょうか。私の「金曜日まで花山は死なない説」は継続中です。それにしても、最終週で迷走が見えちゃうのは、ホント痛々しいほどです…

そう言えば、今回で劇番(サウンドトラック)に少し触れました。『花子とアン』と『あさが来た』はサントラCDを購入したほど好きだったのですが、本作の劇番って全然耳に残りません。で、Amazonを覗いてみたら、通常は3枚CDが出るんですが、本作は1枚しか発売されていませんでした。

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【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本)
花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子 (暮しの手帖 別冊)
大橋鎭子と花森安治 美しき日本人 (PHP文庫)
大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
花森安治のデザイン
花森安治伝: 日本の暮しをかえた男 (新潮文庫)
花森安治 増補新版: 美しい「暮し」の創始者 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)


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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
7 8 9 10 11 12
第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
95 96
第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
103 104 105 106 107 108
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
109 110 111 112 113 114
第20週『常子、商品試験を始める』
115 116 117 118 119 120
第21週『常子、子供たちの面倒をみる』
121 122
朝ドラ「とと姉ちゃん」の高い視聴率と増える厳しい意見の“ねじれ”を考える
123 124 125 126
第22週『常子、星野に夢を語る』
127 128 129 130 131 132
第23週『常子、仕事と家庭の両立に悩む』
133 134 135 136 137 138 138(その2)
第24週『常子、小さな幸せを大事にする』
139 140 141 142 143
朝ドラ「とと姉ちゃん」 やはり「暮しの手帖」関係者も怒り心頭だった
144
第25週『常子、大きな家を建てる』
145 146 147 148 149 150
第26週『花山、常子に礼を言う』
151 152

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とと姉ちゃん 第153回

内容戦争の記録を残したいという花山(唐沢寿明)の思いに、常子(高畑充希)たちは、“あなたの暮らし”で体験談を募集する。だが、自宅療養すべきと諭しても、花山は編集部に足を運び。。。。 敬称略 メンドーなので、細かい演出についての指摘を避けて、 エピソード構成への違和感。それぞれのエピソードへの違和感など、 脚本の違和感を中心に、その雑さを指摘してきたが。 。。...

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