とと姉ちゃん (第129回・8/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第22週『常子、星野に夢を語る』『第129回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
※ 本作は 8/25 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
青葉(白鳥玉季)から来た電話は、常子(高畑充希)を呼ぶためのうそだった。大樹(荒井雄斗)の無事を心から安どし、青葉の気持ちをくむ常子。その姿を見た星野(坂口健太郎)は、自分の思いを常子に伝える。その告白に応える常子。互いの気持ちが通じ合う…。『あなたの暮し』では、読者からの要請を元に電気釜の商品試験を始める。その情報を聞きつけた電機メーカー社長の赤羽根(古田新太)は、商品試験の妨害に動き始めて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
こんなのを、感動的に描きたかったのだろうが…
朝ドラが王道のホームドラマであることを再認識させてくれるような、下記の3つをアバンタイトルで描いて始まった8月最後の『とと姉ちゃん』。
● 母亡き幼い子どもの切なさ
● 妻亡き夫の心細さと元カノへの吹っ切れない思い
● 婚期を逃した女の元カレへの引きずった恋心と家族への憧れ
誰もが微笑ましく感じる大樹(荒井雄斗)と青葉(白鳥玉季)の兄妹の姿。束の間の幸せかもしれないが、常子(高畑充希)と星野(坂口健太郎)がまるで夫婦のように切ない子どもたちを囲む温かな家族の風景。そんなのを感動的に描きたかったに違いない。
ここで、子どもでも "嘘" のエピソードは相応しくない
もう、今朝はアバンから感動で涙腺が緩みっ放しだと言いたいところだが、感動の「か」の字も涙腺の「る」の字もない。だって、今回のエピソードも脚本家が手近なアイテムで軽率に創り上げた感動物語で、「子どもの嘘くらい、むしろ好意的に受け入れられる」との思い込みが見え見えだだからだ。
そして、昨日のラストに続く今日のエピソードで “子どもの嘘” は明らかに間違ってる。もっと正確に言うなら、今日の前半?の11分間で、“嘘” を入れ込んだエピソードを描くのは、益々本作をつまらなくするだけだし、作り手の “雑さ” を更に露呈するだけで、やらない方が良かった、やって欲しくなかったと言いたいのだ。
理由は、「自己利益のために動く登場人物」になるから
それはなぜか?今週はサブタイトルこそ『常子、星野に夢を語る』になっているが、今週の目玉商品は「常子の恋バナのその後」でなく、「怪獣・赤羽根社長」だからだ。
些か回りくどい言い方になって恐縮だが、続ける。結局、ただ常子に会いたいだけの青葉も、自社製品を守りたいだけの電機メーカー社長の赤羽根(古田新太)も、「自己利益のために動く登場人物」と言う点において同じになってしまった。
では、なぜこれがダメなのか。だって、本作で最強の「自己利益のために動く登場人物」が既にいるからだ。そう、小橋常子だ。少なくとも5か月間を見て来た私には、本作のヒロインはそう見えている。だから、本来なら青葉も赤羽根も却下なのだ。ヒロインと似たような登場人物なんて、物語に不要なのだ。
新たに書いたことで、以前に書いたことの意味が変わる
ヒロインが「自己利益のために動く登場人物」であることは、「商品試験」の対象物を電気釜にしたことでも明らかだ。何となく読者の葉書がきっかけのように見せかけてはいるが、常子自身が見た訳でもない、ましてや星野の留守中に起きた事実かどうかもあやふやな回想シーンを入れて、常子が決めたことになっていた。
だが、思い出して欲しい。常子おばちゃまにただ会いたいだけで “嘘” の電話をかける妹のエピソードのあとに、この火傷事故の回想を入れても、もしかしたら、お父さんに会いたいとか心配をかけてみたいと言った妹ばかりを可愛がる父への兄の抵抗であり好意的な “嘘” と見えてしまわないだろうか。
そうなると回想シーンの意味すら変わってしまう。それが連ドラ。それが朝ドラ。その時その時の思い付きで書いたことで、以前に描かれたことの意味が違ってしまうのだ。そのことを脚本家やプロットライターは理解しているのだろうか。
それにしても、星野の再登場以降の雑さに拍車がかかっているのが気になってしょうがない。
あとがき
毎回ラスト1分で、古田新太さんを小出しにして、視聴者が焦らされて明日が楽しみでしょうがないとか思ってるとか、考えて作っているんでしょうか。まさか、このまま常子の恋バナと赤羽根との攻防戦を来週まで引っ張るのでしょうか。そして、まさか常子が仕事と家庭の両立に悩むとか?おいおい、これは何の話なんだ。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
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第5週『常子、新種を発見する』
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第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
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第14週『常子、出版社を起こす』
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とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
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第16週『“あなたの暮し”誕生す』
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「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
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第17週『常子、花山と断絶する』
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第18週『常子、ホットケーキをつくる』
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第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
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第20週『常子、商品試験を始める』
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第21週『常子、子供たちの面倒をみる』
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朝ドラ「とと姉ちゃん」の高い視聴率と増える厳しい意見の“ねじれ”を考える
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第22週『常子、星野に夢を語る』
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