「盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~」 24時間テレビ39 ドラマSP (2016/8/27) 感想

盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~

日テレ系・24時間テレビ39 ドラマスペシャル『盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~』公式
『この物語は、盲目となり、光と生きる希望を失った一人の教師が、家族、教え子、友人など、周囲の人たちの「愛」によって、絶望の淵から、再び立ち上がる物語。』の感想。
なお、原作:新井淑則氏『光を失って心が見えた 全盲先生のメッセージ』は未読。


ヨシノリ(加藤シゲアキ)は、底抜けに明るい中学教師。彼は同僚の音楽教師・真弓(沢尻エリカ)と結婚して3人の子供に恵まれる。ある日、ヨシノリは、右目を網膜剥離に冒される。手術を繰り返すものの経過は思わしくなく、ヨシノリの右目は視力を失う。それでも希望を捨てずに、中学教師を続けていこうとするヨシノリだったが、養護学校への異動を言い渡される。
さらに過酷な現実がヨシノリを襲う。左目にも網膜剥離を発症したヨシノリは、治療の甲斐なく左目の視力も失い、完全に失明してしまう。絶望し、かつての明るさをなくして荒れた毎日を送るヨシノリ。そんな夫を、真弓は叱咤激励する。そして、ヨシノリは家族に支えられ、再び教壇に立つための努力を始める…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

水橋文美江氏の脚本に、今の日テレ連ドラ最強スタッフで

原作は未読。脚本は、『母さん、俺は大丈夫・24時間テレビドラマスペシャル(2015年)』等の水橋文美江氏。演出は、『デカワンコ』『世界一難しい恋』等の中島悟氏。音楽は、『きょうは会社休みます。』『家売るオンナ』等の得田真裕氏。協力プロデューサーに『セカムズ』の櫨山裕子氏が加わっているのも、興味深い。

脚本,演出,音楽が、巧みな "変化と不変" を魅せていく

昨年に続いての水橋文美江氏の脚本は、妙に捻った所が無いのが良い。障がいや病気を描くのでなく、きちんと人間を描くことに専念するのがいいところ。そして今回は更に、時間軸を巧みに行き来して、単なる回想シーンで終わらせずに、登場人物たちの恋愛、友情、愛情の変化へと昇華させ丁寧に且つストレートに描いたのが好感が持てた。

また、時間経過や病気などの説明を徹底的に排除して、大胆に時間軸をサクサクと移動することで、失明するしないに関わらず、ヨシノリ(加藤シゲアキ)が「教師が天職」と言う “夢” は変わらないことを映像で視聴者に植え付けた。時間(時代や状況)は変わっても変わらないものがあることを見事に映像で魅せた。

また、得田真裕氏の音楽も、時に力強いストリングスと繊細なピアノ曲のコントラストが、脚本と演出で創造している “時間軸を前後させて変化と不変を魅せる” ことに更に緩急をつけた。そしてポイントで使われる管楽器の音色が、ヨシノリの心情を代弁するように作曲されているのも心地良った。

"周囲の人たちによって" を描くための絶妙な俳優陣

俳優の演技には専門外なので基本的に言及しない立場だが、こと24時間テレビのスペシャルドラマに関しては、誰が演じるのかは大きな注目点だから、簡単に触れてみる。

まず、感心したのは想像以上に沢尻エリカさんがいつもの鮮やかな色を排除して、辛抱強く夫を見守り、時に優しく時に叱咤激励をする良妻を演じたこと。序盤では大きな瞳から涙をこぼすシーンが多い困惑した妻、中盤では手探りで夫を助ける妻、後半では良き伴侶として本作で輝いていた。

そんな愛する妻に支えられる夫・ヨシノリを演じた加藤シゲアキさん。主演ドラマは初見だが、難しい役を乗り切ったって感じ。演出的にはどうしても「目」のアップが多くなるから、自然に「目」の演技に力を注ぐことになったはず。確かに見えていた時と見えなくなった時の「目」が違っていた。それだけで十分価値がある。

その他にも、いつも生気の感じられないうつろな眼差しのオードリーの若林正恭さんを活かしたベストマッチな視覚障がいの高校教師役(こう言う書き方は語弊があるか?)。小泉孝太郎さんは安定感のいい人。この人が登場するだけで、物語が明るく前向きになる。急きょ決まった小山慶一郎さんも見事に演じ切っていた。

あとがき

最近の24時間テレビのドラマSPでは、『今日の日はさようなら(2013)』(感想)と『母さん、俺は大丈夫(2015)』(感想)が秀作でした。いずれの作品も、奇を衒わず変化する日常を誇張せず描写する演出や撮影と、 “生命” や “生死” を強調しない登場人物の自然に発した “言葉” で紡いだ静かな時間を丁寧に描きました。

しかし、今作は「死」が直接的な結末でないためにお涙頂戴を極力排除して、「夢と希望」の終着点のために、ドラマチック性やメッセージ性も薄めて、夫婦・親子・仲間・生徒たちが奇跡の復活を遂げるまでを意外なまでに平坦に描くことで、あとは自身で受け止めてどう行動に移すかに注力した。

そのために、今作は「24時間テレビのドラマSP」としては新しい方向性を示しました。来年もあるなら区切りの『40回目』。今こそ『24時間テレビ』も変わる時ではないでしょうか。そんな『24時間テレビ』の存在意義を考えさせられたドラマでした。

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