とと姉ちゃん (第122回・8/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第21週『常子、子供たちの面倒をみる』『第122回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
常子(高畑充希)が星野(坂口健太郎)の家を訪れると、息子の大樹(荒井雄斗)が熱を出して寝込んでいた。男手一つで大樹と娘の青葉(白鳥玉季)を育てている星野だが、来月会社がさらに繁忙し、週に一度どうしても帰宅が遅くなるのだという。常子は、その日だけ子どもたちを任せてもらえないかと申し出る。そんな折、数か月に及ぶトースターの商品試験は最終日を迎える。その結果に、花山(唐沢寿明)は思わず沈黙してしまう…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「星野」の表札に、何か思い入れでもあるのか?
先週末から何度「星野」の表札を見せれば気が済むんだ。小道具さんが上手く作れたからゴリ押しでもしてるのか。そもそも映像と言うのは映像で見せるべきもの。表札なんて「星野家」とテロップ入れるのと同じ演出家の手抜き。見せたいなら、特徴的な門構えにするとか、珍しい樹木を植えるとかするべきことだ。
常子が星野家を出るまで8分、全体の半分以上も浪費か?
そもそもこっちはちっとも観たいとは思っちゃいないが、そっちが見せたいと思ってる『常子、子供たちの面倒をみる』なんだから、せめて気合を入れて作れって言うの。それなのに、ダラダラと星野(坂口健太郎)の現状報告、続いて子供の名前の由来、全く存じ上げない星野の亡き妻の生前の話…
映像も、常子(高畑充希)と星野が丸いちゃぶ台を囲んだ2ショットと無駄に長い常子のアップでホント工夫がない。とっとと時間経過して「子守り」のシーンに行けば好感度も上がるのに、帰り際の玄関で花瓶の「桔梗」で昔話。で、星野家を出るまで8分、全体の半分以上も浪費。描くことが無いにも程がある。
困った時の「美子の視聴者に対してお節介コーナー」
星野家のシーンがやっと終わったら、今度は美子(杉咲花)の視聴者に対してお節介コーナー。基本的に脚本家がどう描いて良いかわからないくだりで、且つ美子が言う必要のないことで、語りだと単純に説明になる時だけ発動するのが「美子の視聴者に対してお節介コーナー」だ。
今週の脚本家は、常子の女らしさみたいなものを描きたいはず。これまで男勝りにやってきたヒロインの女性的な一面を描こうなんて気張ったに違いない。その自分の思いを全部美子の台詞に乗せちゃった。そこまでは良かったが今度は聞き役の君子(木村多江)の台詞までは思い付かない。だから、君子は一言二言と頷くだけ。
常子が、どんどん高飛車女になっていく…
ここを書いてる時点で絶対に、このシーンが不要なことは承知のはず。それを削除しないで残すんだから困るのだ。そこへまた「男手一つでお子さん二人を育てるのは大変みたいです」って軽々と報告する上から目線の常子が入る。きっと脚本家は気付かずに書いているのだろうが、常子がどんどん高飛車女になるだけなのだが。
だって星野、仕事も子育ても頑張ってるじゃん。ここは素直に「星野さん、男手一つでお子さん二人を立派に育ててらっしゃいました」で良い。どうせ、次回には子育ての手伝いに行くんだから。かつて甘酸っぱい恋愛関係にあった元カレを悪く、それも身内に言うのは益々常子の高飛車化を推進するだけだ。
あれっ?花山が常子の指揮下に入ってる?
そして、残り4分間になって漸く出版の話。いや、きちんと言っておく。残り4分になってやっと本作が描くべき常子社長と花山編集長の雑誌づくりの奮闘や苦悩、喜びや辛さのくだりがやってきた。ただ、評価すべきは僅か4分でも仕事のシーンを入れただけ。
雑誌編集の過程も、いつのまにか常子が全体の指揮を執り、花山は常子の指揮下に入っている。まあ、『あなたの暮し出版』が同族経営でワンマン社長が取り仕切ると言うなら話は別だが、私の記憶が正しければ、記事の内容の精査や編集過程の責任者は編集長の花山だったはず。
大事なエピソードのほうを手抜きするって?
それに、なぜ花山が今回のトースターの試験の記事だけ、これ程までに苦しんで原稿を書いているのかも完全に説明不足。これ、花山の苦悩こそこの雑誌の存在意義と人気の秘訣に繋がる大事なエピソード。なのに、また脚本も映像もそんなのお構え無しに、また手抜きの「美子の視聴者に対してお節介コーナー」で処理。
本来なら、全権を委任されている編集長の花山が苦しんでいるのを、社長の常子が美子の台詞を言って社員たちと花山の苦しみを共有するシーン。そこを社員たちの反応は美子のアップで代用、花山の苦しみもアップで代用、でも常子だけは「遅くまで寄り添って」の語り付き。こう言う男女差別が所々に入るのも反吐が出る。
常子の優しさだけを描こうとするから、矛盾だらけになる
と言うか、この花山の苦悩の話は完全におかしい。なぜなら、試験対象商品のすべてが基準以下でも、それをそのまま記事にするのが花山流。いや、そう決めて走り出したのが「商品試験」の企画。だから、花山が悩むのはおかしな話。
これ、きっとあとあと「トースター試験」でまた “騒動” が起こる明らかな、そして下手くそな伏線張りに違いない。きっとトースター製造メーカーにも大中小があって、小さな電機メーカーから茶々が入るんだね。その時点で後出しじゃんけんで、「実は花山が悩んでいたのは…」ってタネ証し。
でもね。そもそも悩む必然性がない花山が悩んでる時点でおかしいの。無駄に、無意味に、常子の優しさだけを描こうとするから、矛盾だらけになる。今さら私が熱弁しても時既に大遅しだが…
あとがき
『常子の星野家の子守り日記」と『トースター試験の顛末記』は、この調子だと土曜日まで並行に描くようですね。いつもならサブタイトルにもなってる『子守り日記』は水曜で終えて…がパターンですが、脚本家がそれだけ入れたいのでしょう。
しかし、どう考えても総集編では『常子の星野家の子守り日記」はバッサリカットでしょ?そんな部分になぜ力を入れて描くのでしょう?描くべきは『トースター試験の顛末記』であり、どう捉えても雑誌の存在意義と人気の秘訣に繋がる大事なエピソードですよ。そっちがおまけって言うのが全く理解できません。
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大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
花森安治のデザイン
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花森安治 増補新版: 美しい「暮し」の創始者 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
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「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
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第17週『常子、花山と断絶する』
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第18週『常子、ホットケーキをつくる』
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第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
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第20週『常子、商品試験を始める』
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第21週『常子、子供たちの面倒をみる』
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