リオ五輪の閉会式での「トーキョーショー」の演出を考える
「日の丸⇒赤い丸⇒赤いボール」と国旗からスポーツへ
全体的な演出が気を衒わず(1か所だけ気になるが後述する)1つのテーマに沿って構想・構築されたのに好感を持った。それが日本の国旗「日の丸」の赤い丸をアイコンとした一連の演出。
冒頭の「君が代」斉唱から真っ白なフィールドに「赤い丸」が映し出される。ここまで明確に「日の丸」でなく「赤い丸」をアイコンとして提示するには、演出家としたら結構勇気がいるはず。
しかし、その後の映像展開を見ると、やはり日本を感じさせる「日の丸」よりも、あくまで東京のアイコンとして「赤い丸」を位置付けたのは上手い。そして、「赤い丸」を「赤いボール」に連動させて、スポーツへ上手く繋げていく発想も無理がなくて面白い。
動きと静物の組み合わせが絶妙
東京の名所と競技とそのアスリートの動きの組合せの絶妙さには驚いた。また、黒い部分をやや多めにした上に、赤色の明度を下げて落ち着いた赤にしたことで、重厚感と落ち着き感を醸し出して、映像の後半部分との差別化を図ってる。
そして、世界的に人気の日本発の人気アニメキャラクターと、世界的に有名な日本のトップアスリートとの共演も見事。中でもパックマンの動きとフィールド競技を合わせたり、北島康介さんの泳ぎと首都高速を連動させたり、とにかく登場人物の動きを最大限に活かした映像になってる。
1964年開催の東京オリンピックへのオマージュも
また、1964年開催の東京オリンピックへのオマージュを感じさせて止まない、当時のポスターと同じ構図の動画も見事堪えアリ。
安倍首相がマリオの衣装を脱ぐのを一呼吸長く待てたら…
安倍首相が登場してから、演技のテンポが悪くなるのが最大の難所なのだが、「マリオ」と「リオ」をベタに掛けてる辺りとか、地球の図でわかり易く説明しているのも全世界向けと言えば納得。
最後の安倍首相がマリオのコスプレを脱ぐのが一呼吸長く待てたら最高だったのに…
【追記 2016/8/24 12:45】
その後の報道で、マリオの衣装は安倍首相が足で踏みつけていて、立ち上がると物理的に外れるようになっていたようです。従って、安倍首相の立ち上がるタイミングよりも、マリオで立っている状態を保てるような仕掛けになっていなかったことが原因だったようです。
動画の冒頭に登場する一人の女子高生に違和感…
気になったのが、動画の冒頭で一人の女子高生が登場する部分。女子高生にどう言う意味が込められているのか知らないが、のちのストーリー展開にほぼ無関係。官公庁はJKを利用する傾向があるにはあるが、ツカミの部分だからこそ物議を醸し出すのを避けて、せめてベタに高校生の男女で良かったように思う。
動画を含めた「トーキョーショー」の動画を観たい方はこちら
【ハイライト】2020へ期待高まる!トーキョーショー | NHKリオデジャネイロオリンピック
http://sports.nhk.or.jp/video/element/video=30468.html
あとがき
全体的にはメリハリあり、躍動感あり、東京らしさもあり、人気アニメキャラクターの登場もあって、全世界への2020年の東京オリンピックだけでなく、東京観光の良きプロモーションになっていましたね。エンブレムや競技場問題で揺れていたのが嘘のようです。これで今度は、開会式の演出が楽しみになって来ました。
ただ、ちょっとうがった見方をすると、この動画を含めた今回の「トウキョウショー」は、いつもの安倍政権が上手くやってるプロパガンダの集大成とも言えます。アニメを使い、人気者を使い、大事な物から目線を逸らせるのは、世の権力者がやってきたこと。今回もそんな恐ろしいものを背後に感じました。
2020年の東京オリンピック。エンブレムや競技場、スポーツ振興の現状の稚拙さを目の当たりにすると、2020年までは日本がお得意のイケイケ文化で進むにしても、盛大な宴のあとには必ず楽しい二次会があるとは限りません。気がついたら日本中が負の遺産だらけってことになる可能性もあります。浮かれるだけではダメです。
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