とと姉ちゃん (第121回・8/22) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第21週『常子、子供たちの面倒をみる』『第121回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
常子(高畑充希)の発案した商品試験が電気製品を対象に本格的に始まる。花山(唐沢寿明)は、全社員に覚悟をもって臨むようげきを飛ばす。手始めにトースターからと活気づく編集部に星野(坂口健太郎)から一本の電話がくる。自社製品を試験の手助けに提供したいという申し出を、常子は試験の理念を守るため断る。申し訳ないと感じる常子。美子(杉咲花)からおわびに伺えばと勧められ、星野の家を訪ねてみることにした常子だが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今後に絶望しか与えない、今回のアバンタイトル
今回のアバンタイトルも酷い作り。思い返し欲しい。映像は、以下の3種類だけ。
● 当時の最新家電製品(テレビ、洗濯機など7種)
● 出版社内でのミシン針の事故
● 「純粋にやってみたいんです」と意気込む常子(高畑充希)、
それなのに、語りでは以下の4つを盛り込んでる。
● 家電製品は経済性が優先されている
● 安全性が疎かな商品が増えている
● 消費者の視点に立つ雑誌を作ろう
● 良い品を読者に知らせる企画をやろう
これ、先週の出来事をまとめた “つもり” なんだろうが、全部語りで言っちゃった。映像だけで語りで伝えたい部分まで読み取った人は相当な “想像の翼” の持ち主だ。
本作のような内容がほぼ無くて、ただ “騒動” が起きて “結果” を見せるだけの構成では、映像で表現することを軽んじたらおしまい。だって、動く紙芝居に檀ふみさんの語りで進行するのと同じだから。その上、残念ながら宇多田ヒカルさんの声が流れると悲観的な流れしか想像出来ないと言うお粗末さ。
アバンを観ただけでも、描けば描くほど、話が進めば進むほどに、放送開始前の期待感がどんどん削られていく。もう、テコ入れは無理かもしれない、そう思わせた絶望しか与えない今回のアバンだった。
脚本家が演出家を信用せず無視するからつまらない
その後の約2分間の商品テストのくだりも、アバンと同じ手法。大切な試験作業をまるで走馬灯のように次々と繋げて、いい感じの語りで常子や出版社の「主張」や「意見」を視聴者に代弁。前回(土曜日)はまだ常子や花山(唐沢寿明)で語られたのに、ついに今回は語りになっちゃった。
これでは完全に、ただ脚本家が演出家(映像)を信用せず(または無視して)に、自分の言いたいことを檀ふみさんに一任してるのと同じ。語りは、脚本家の代弁者ではないのだが、そんなことばかり繰り返すから、いつになっても登場人物の言動が自身の中から生み出されているように見えないのだ。
かわいい子役で視聴率狙いをされた方がマシ
物語中に全く必要のない常子の恋バナの振りのシーンで、本作の駄作さがまた露呈した。それが水田家での目玉焼きのくだり。水田(伊藤淳史)と鞠子(相楽樹)の娘・たまき(稲垣来泉)が実に屈託のない笑顔で、失敗した目玉焼きの話を生き生きと演じた。語りがないから、たまきの台詞がたまきの声にきちんと聞こえたからだ。
しかし、その後の鞠子と美子(杉咲花)の会話の貧弱去ったらありゃしない。ただひたすらに数週間前の常子と星野(坂口健太郎)の完成のおさらいと説明と明日からのための前振り。ホント、こう言う説明台詞の会話劇が一番つまらない。まだ、かわいい子役で視聴率狙いをされた方が潔いと応援したいくらいだ。
時代考証の天野隆子氏、もう少ししっかりやろうよ
時代考証もおかしな点が多いような。冒頭で語りが言っていた「昭和30年代」の一般庶民の生活とすれば、子供の服装だって「つぎ当て」が当然のような時代。美子がセーターを着ているが、当時は手編みが基本。まっ、服装全体がきれいすぎる傾向は強いが。
それに、給食は安価なマーガリンでバターはまだまだ高級品と言う時代だし、パン屋さんの紙袋なんて手提げの付いたものなどでなく単なる袋。物を持ち運ぶには風呂敷が基本だったはず。時代考証の天野隆子氏、『ごちそうさん』『花子とアン』も仕事が甘かった。もう少ししっかりやろうよ。
あとがき
そして、終盤で強引に星野の登場シーンを突っ込んできましたね。公私混同の激しい常子も登場。更にどうでも良いんですが、星野家に最初に居たお手伝いさんは何処へ?まさか、常子がさっさと敵は物語から退場させたのかな。やはり、常子の敵は退場、味方はとことん利用なんだ。応援しづらいヒロインだなあ。
※ 前回の感想記事に、たくさんの「web拍手」を頂き、ありがとうございました。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
95 96
第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
103 104 105 106 107 108
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
109 110 111 112 113 114
第20週『常子、商品試験を始める』
115 116 117 118 119 120
第21週『常子、子供たちの面倒をみる』